選んだのは温泉日本一の別府
ディスティネーションは日本中に広がる有名温泉の中から、悩むことなく「まずは別府!」と、別府一択でした。理由としては、源泉数、湧出量ともに日本一! 湧出量は1日約95,728L、そして源泉数は約2,850本。世界的にも第1位の源泉数とか。8つの温泉郷を持つ、別府へ。
「天国」ステイのためのホテル選び
そこで、大事になってくるのが、この上ない天国ステイをつくるためのホテル選び。 ビジネスホテルに泊まるときも、疲れを癒やしてくれる温泉つきホテルを選ぶことが多いのですが、それとはちょっと違う、温泉がメインの温泉ひとりっぷ。自由にすごせ、静かなその時間に浸るには、ラグジュアリーホテルステイが間違いナシ! 滅多にないご褒美旅なので、思い切りこだわります。
セレクト理由としては①ぼーっとしていても飽きない絶景ビューがある②朝食にこだわりがあり、おいしい③そこにしかないものがある④寝たいときに寝て、ゴロゴロ三昧で過ごしても寂しい感じにならない空間⑤細かい配慮がある⑥いい感じにほうっておいてくれて、望めば会話も弾む⑦小さなストレスがない⑧館内や部屋から、忙しない空気感がない。大きくはそんな観点から。ホテル内でどれだけ、のんびり楽しめるかに通じる、リゾートひとりっぷ経験に近い感覚です。そして、大事なのが、「連泊」すること。日常の慌ただしさから解放されるには、1日では全然足りません。
世界一「地獄」がポジティブな町、別府
せっかくなので、別府の温泉街のことを少し。大分空港から車を飛ばして、1時間弱で別府市内に到着。町のあちこちから白い煙がでている光景が広がり、古き良き湯治場の雰囲気が残っています。 中には明治時代から続く宿もあり、歴史ある町並みです。国の名勝に指定された、海地獄・血の池地獄・龍巻地獄・白池地獄の4つの地獄があり、鬼のモチーフでラッピングされたバスで観光が楽しめたり、お土産ものにも地獄と名前のつくものがたくさんあり、さらには地獄温泉ミュージアムも。こんなにも地獄をポジティブに楽しめるところは、そうそうありません。また、入浴剤がつくられる、江戸時代から300年続く、湯の花小屋なども見ることができます。
そこで、最終的に選んだホテルが、別府の高台、明礬(みょうばん)温泉のさらに上に位置し、別府市街と別府湾が一望できるANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ。温泉天国ステイの始まりです。
まずはインフィニティ家族風呂(プライベート温泉)を満喫
知人からANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパを勧められた理由のひとつが、この家族風呂。完全なるプライベート空間です。この日は霧がたちこめていますが、それも一興。そこにあるのは遮るもののないすぐそこの大自然と温泉、そして自分だけです。誰の気配も感ぜずに、気ままに過ごせます。「ひとり時間を満喫する」とは、「この空間で過ごすためにある言葉かも」、なんて思ったくらいでした。プライベートな静かな空間です。
ひとりで湯船につかっていると、どんどん感覚が鋭くなっていくような気がします。木を揺らす風の音や、霧の動き、自然の木々の香り……。心も体も緩みはじめます。
自然の音だけの時間もよいですが、推しの曲をながして、ひとりライブを満喫しても。
プライベート風呂でゆっくり楽しもうと思い、映画『PERFECT DAYS』の中で役所広司さん演ずる平山が読んでいた幸田文の「木」を持参しました。自然の風ときりっとした空気を顔に感じながらつかる温泉読書。幸せな時間です。部屋に置かれていた別府の名産品である竹籠のバッグに水と本を入れ湯船に持参し、あきるまでお湯にひたります。部屋の冷蔵庫にはきんきんに冷えたお水も用意されています。
湯上がりにダイブしてもOKなタオルシーツのベッドでうたた寝!
そして、温泉から上がると迎えてくれるベッドがこちら。体を軽くバスタオルでふきとり、すぐさまベッドにダイブしても、タオルシーツが優しく迎えてくれます。バスローブで、ごろごろ。最高の湯上がりが待っています。期待超えの満足度。温泉ひとりっぷ、出だしから好調です。
ちなみに、この家族風呂ですが、宿泊者限定ではなく、ビジターの方の利用も可能だそう! 嬉しいサービス。
温泉で緩めた体をとことんほぐす、ハーンヘリテージスパへ
すっかり温まった体を、さらに癒やすために、タイの高級スパブランド「ハーン」のスパに向かいます。とことん体を緩めるための選択です。そして、ホテル選びでこだわったポイント、ここにしかないもの。そのひとつが、こちらの「ハーンヘリテージスパ」。日本国内では、ヘリテージとつくスパはここだけだそう。長く続く入口へのアプローチが期待を高めてくれます。
選んだメニューは「ひょうたんDストレスマッサージ(60分)」。背中のオイルトリートメントでリラックスした後、別府名物のひょうたんを温めて、背中の筋肉をほぐす内容です。問診票を記載した後で、着替え、足湯からスタート。その後ベッドにて、ハーブの香りにつつまれながら貴重なオイルを使ったハンドマッサージ。疲れで重くなった体がどんどん解放され、体が温まってくると、内臓がきゅるきゅるとなり始め、動き始めました。ゴリゴリに凝り固まった背中から首までの間をツボをおすように、温めたひょうたんでプレスをされると、血流はさらによくなり、体がどんどん軽く感じていきます。疲れを手放し、元気をチャージするよう、生気を体に取り込んでいるようでした。温泉後のハンドマッサージは格別で、 人の手のパワーやテクニックに癒やされた、かけがえのない時間。おかげで、旅の目的である、心と体が本当に緩みます。
内湯は2つのエリアを男女日替わりで楽しめる
広々とした中に石造りのモダンなフレームの大浴場。お湯は明礬エリアならではの「美肌の湯」。
外の露天では、市街を眺めながら温泉を。ひんやりした空気の中での、温泉は格別!高台ならではの絶景は必見です。また、夜も記憶に残る美しさ。朝、昼、夜、3回別のイメージの中で、のんびり楽しんで。
洗練されたデザインの檜のお風呂。中にはサウナ、水風呂も完備。
湯上がりはウェルネスラウンジ「アクア」へ。JBL ・パラゴンのスピーカーで一息
大浴場横にあるのがウェルネスラウンジ「アクア」。ひときわ目をひくヴィンテージスピーカーが目印です。本棚に「テルマエ・ロマエ」を見つけて、微笑んでしまいました。館内3箇所にあるライブラリーの本はBACHの幅允孝さんセレクトだそう。
部屋でゴロゴロ、「何もしない」最高の時間
部屋にこもって何もしない選択も、温泉ひとりっぷの贅沢のひとつ。そのときに、ちいさなストレスもないことが、ラグジュアリーホテルの本質でもあります。湯上がりで冷えたジュースが飲みたいと思ったら、ワンコールで氷を部屋まで届けてくれたり、ベッドで横たわり、充電しながらスマートフォンを触りたいと思ったときにコンセントがちょうどいい場所に設置されていたり。そういう小さいストレスが部屋にないって重要だなと思うのです。
意外とコードの長さがベッドまであとちょっと足りなかったり、頭の上の方から垂れ下がったり、「コンセントがなぜここ?」などストレスなときもありますよね。そういう、小さな「困った」ことがありません。寝心地もよく、横たわれば、すぐに心地よい眠りに誘われました。怠惰にゴロゴロは最高の贅沢です。
ただ、ホテルの特徴として知っておきたいこととしては、横長に広い建物なので、ホテル内移動の必要性があります。それは何もしていない分、運動になってよいなと思った程度。もし館内移動を少なくしたいと思うならば、別府湾側の部屋を選べば問題解決します。あとはいちばんの高台ホテルなので、徒歩でいけるコンビニなどはありません。それをストレスと感じるか、それがまた非日常でよしと感じるか、ですね。
絶景とともに朝食を!高台ホテルバイキングの醍醐味
別府湾に朝日が昇るところが眺められるのが、4Fのエレメンツ前のバルコニー。ここも、ここにしかない絶景が広がります。季節が合えば、テラスで朝食をいただくのも、おすすめ。
2月だったこともあり、テラスよりの室内の席で、景色を眺めながらのんびり朝食を味わいました。テラスでは大きく深呼吸。冷たい空気が心をフレッシュにしてくれるよう。眼の前の自然、清々しい朝を満喫できます。
そしてホテル選びの条件になっている、美味しい朝食は癒やし旅の重要ポイント。大分の名産食材を使ったものや郷土料理、フレッシュなサラダやフルーツ、ジュースやヨーグルト、チーズやポテトフライなど、大満足の品揃えです。
豊後別府ちりめんをたっぷりつかったオムレツ。バジルソース添え。
クラブルームでは豊後の和朝食
クラブインターコンチネンタルルーム以上に滞在すると、クラブラウンジでの朝食も選択できます。クラブラウンジのみでいただけるオリジナルの「豊後の朝ご飯」。鶏めし、だんご汁など、大分ならではの朝ご飯。だんご汁に、柚子こしょうを入れても美味しいと知り、初体験。こういうその土地ならではの初めての味は嬉しいもの。アクセントになって、美味しかったです。
アフタヌーンティータイムにいただいた、大分名産かぼずジュース。爽やかな甘みを感じる柑橘のすっきりとした味わいが人気。
夜ご飯は炭火ダイニングで地のものをいただく
のんびり過ごすと決めたからには夕飯もホテルダイニングで。キッチンを囲むようにカウンターがつくられた「シグネチャーレストラン・アトリエ」は大分の竹炭を用いたグリルがメインのフレンチスタイル。オープンキッチンなので、シェフたちの動きを見ているのも楽しい時間です。地のものが集められた新鮮な食材からも、大分の豊かさが感じられます。
錦雲豚(きぬうんとん)のコンフィに黒トリュフを。下には百合根のペースト。
蒲江産伊勢エビ 白子、竹田サフランソース。ブイヤベースのような味わい。炭火の香ばしさと表面のカリッとした食感がいきる。
メインはおおいた和牛フィレ肉の炭火焼。戸次ごぼうを煮込んだり、チップス、ソースにしたりと、味わいとともに食感もアレンジ。ワインのペアリングコースとともに全6品。ワインペアリングも、ソムリエこだわりの5種。
インフィニティプールは眺めるだけでも癒やし
眺めるだけでも癒やしのインフィニティプール。湯上がりにぼんやり眺めていると、ラグジュアリーな非日常感に満たされます。冬は眺めるだけ……と思いがちですが、水温は27℃。オールシーズン泳げます。
高台のインフィニティプールからは、別府湾や別府市街を一望できる。インフィニティプール越しの白く沸き立つ湯けむりを眺められるのも、ここ別府ならでは。奥に見える屋根の部分が家族風呂。
自然とつながるパーソナルな時間。温泉、プールと、手がふにゃふにゃにふやけるほど、水と戯れたい。
別府の〆は冷麺で整う!
大分空港へ向かう帰宅前に、ホテルからタクシーで別府へ移動。駅前の百貨店「トキハ別府店」内のフードコートで、地元人に愛されている人気店「六盛」の冷麺を味わって別府の〆ご飯に。ゴクゴク飲める出汁のきいたスープで、さっぱり味わえます。湖月の餃子もと思ったのですが、オープン前に行ったにもかかわらず、すごい行列で次回の楽しみにして諦めました。その後、駅前に戻って大分空港へ。ノーストレスで、心と体を緩められた温泉ひとりっぷは正直クセになります。さて、次はどこに?? 今のところ、別府リピート説、濃厚です。