機能面はもちろんのこと、持っていて気分が上がり、日常生活が楽しくなる日用品を知りたい。フードコーディネーターや雑貨店オーナー、インテリアスタイリストなどさまざまなプロが2023年に出合ったいいものをヒアリング
日下 明のカレンダー
ポストカード形式のカレンダー。「部屋の壁に貼ろうか、などいろいろと妄想中。早く2024年が来ないかな」/本人私物
デライフの革小物
スマートフォンケースや財布、小物入れなどをまとめて肩がけしているという。キーカバーは推しカラー。/本人私物
グッチのリング
後輩と色違いで購入。「最初は二人、『え、ほんまに買うん?』ってちょっと引きぎみだったんですよね」/本人私物
「2023年はお買い物のスタイルが少し変わったと思うんですよね」と、蛙亭のイワクラさんは話す。
「若手の頃、お金がなさすぎて欲しいバックパックが買えなかったことがあって。今はお仕事をいただけるようになったので、長く大切に使えるものに限り、悔いのないように買ってOKと自分でルールを決めているんです」
その中でも厳選した3点を教えてもらった。まずはレザーブランド〈デライフ〉の小物ケースにフォーカス。
「財布やスマホ、鍵など本当に忘れ物が多いので全部一緒にまとめられるものを探していたときに出合いました。蔵前のお店には、目移りするほどたくさんのアイテムが! 以前から少しずつ買い足していて、2023年は首に掛けるストラップを新調したばかり」
2つめは2024年のカレンダー。イラストレーターの日下明さんとは意外なエピソードが。
「日下さんのイラストを知ったのはX(旧Twitter)がきっかけ。深い青の色合いや月のモチーフなど、自分の好みにぶっ刺さって。とっても可愛くて素敵なんです。オンラインでグッズを見ようとしたら、なんとInstagramで日下さんが自分のことをフォローしてくれていたことを知りました(笑)」
最後に、〈グッチ〉の指輪には特別な思い入れがあるのだとか。
「2022年に漫才衣装用のドレスを購入したときに接客してくれた店員の方の応対が素晴らしく、今回もお願いしました。プライベートで初めて迎え入れたメゾンブランドです。指輪は後輩のエルフの荒川と、紅しょうがの熊元プロレスの3人でお揃い。お互い仕事を頑張ろうぜ!とモチベーションを上げるために頑張って買いました。手もとを見るといつも勇気が湧いてきます」
1990年4月10日生まれ、宮崎県出身。NSC大阪校34期で同期の中野周平さんとともにお笑いコンビ「蛙亭」として活動中。ボケとネタづくりを担当し、「キングオブコント2023」(TBS系)にて決勝進出するなど注目を集めている。趣味はカメラ。
器に合わせて、どんな食材を楽しもうか、思案する。想像力が膨らむお皿やグラスを選んで、豊かな食事を
中村友美のやかん
今井幸恵さん(PHAETON スタッフ)
ゆっくりと湯気が上がっていき、沸騰するにしたがって勢いを増していく様子を眺めながら、紅茶を入れることが日課。朝も夜も茶を飲むので、ずっとキッチンに出しっぱなしにしています。毎日使えるタフさ、機能から生まれる様式美。すべてを味わい尽くせるものを選ぶようにしています
金づちで金属を叩いて加工する"鍛金"という技法で製作。石川県にあるティーサロン「TEATON」でも使用されている。見栄えも美しい。やかん/本人私物
掛谷康樹の皿
柿本真希さん(編集/ライター)
友人のお店『工芸喜頓』で行われた個展で出合いました。最初に購入したのは左のもの。日常的によく使うので買い足していて、今では計5枚愛用しています。ぬくもりがありながらどこかシャープ。和洋中どんな料理にもなじみ、おいしそうに見えるんです。次こそは思い切って大皿を!
広島県福山市で作陶する、掛谷康樹の深盛鉢と耳手付角深鉢。経年変化する粘土を重ね合わせ、文様にする"練上げ"という技法を用いた作品が代表的。皿/本人私物
山野アンダーソン陽子のケーキ皿
奥田香里さん(TEA & TREATS主宰)
ほかにはない凛とした静謐な佇まい。このケーキスタンドにはずっと憧れていました。自分へのご褒美として、inkギャラリーで開催された個展で奮発して購入。まずは重厚なフルーツケーキを載せたいですね
1810年に創業しスウェーデンで長い歴史を誇る「レーミューレ工房」と山野アンダーソン陽子が共作したガラスブランド〈in pencil〉の作品。ケーキ皿/本人私物
小泉敦信の茶碗
よしいちひろさん(イラストレーター)
もともと白磁のドラ鉢を持っていたのですが、2023年は茶碗が仲間入り。大陸の骨董のような雰囲気もあり、どこかモダンで、日常使いできる普遍性もある。中華料理の取り皿にぴったりで、料理もおいしそうに見えます
中国や李朝の古い焼き物から影響を受け、白磁の器を作る陶芸家の作品。釉薬を数種類使い分けることで、うっすらと青みがかった色みを表現。茶碗/本人私物
リーデルのウィスキーグラス
長尾智子さん(フードコーディネーター)
リーデルのワイングラスはいろいろ愛用していますが、ステムが短くて小さめのものが欲しくて。前から気になっていたこのグラスは、少し広がった形がきれいなんです。デザートにも使えそうなので、今後も買い足す予定
反り返ったリムが口当たりをなめらかにし、アルコールの刺激を和らげるウィスキー用のグラス。ボウルの形状により飲み物の風味を引き出す。グラス/本人私物
照宝のせいろ
引田 舞さん(CIRCUS ディレクター)
気負わずどんな食材も入れられる。冷蔵庫にある野菜を蒸して、日々の食卓に活用しています。来客時はシューマイを作ると喜ばれます。お手入れはしっかり乾くよう注意すればいいだけなので、とても扱いやすいです
横浜中華街に店を構える調理器具専門店「照宝」で販売中。サイズや使用する木材の種類で、バリエーションを豊富に取り揃える。せいろ/本人私物
自宅でゆっくりと過ごすひとときに、やさしく寄り添う相棒となる一脚を
アンティークのエキパルチェア
長尾智子さん(フードコーディネーター)
ずっと欲しかったメキシコの椅子。神宮前の『サムエルワルツ』で偶然アンティーク品を見つけて、欲しかったのはこれだと思いました。新品よりも使い込まれた具合がちょうどいい。シンプルな部屋に民藝を置くことでテイストのギャップと素朴さが加わり、存在感を発揮すると思います
木の骨組みに豚革を張ったエキパルチェアは、15世紀から続く製法で作られているメキシコの伝統的な民藝家具。釘などの金属パーツを極力使わずに耐久性を高めた構造。椅子/本人私物
Yellow Nose StUDioの椅子
竹内優介さん(インテリアスタイリスト)
"子どもの頃の自由な世界に戻ろう"というコンセプトのもとデザインされたという椅子。展示会にお伺いしたとき、ひと目見て惹かれました。円と四角だけで構成されたおおらかな佇まいを見ていると、まさにコンセプト通り、幼少期に遊んでいた積み木の玩具のことをふと思い出すんです
ホシンインとドンカイミンの二人によってドイツ・ベルリンで設立されたデザインスタジオの作品。図面の中にある基本的な幾何学模様を組み合わせたアーティスティックな立ち姿が特徴。椅子/本人私物
ミラ・ナカシマの椅子
水澗 航さん(ENKEL 主宰)
2023年、スペシャルな一点を迎え入れました。ジョージ・ナカシマの娘、ミラの作品はどの角度から見ても美しい、アートピースのような椅子です。アメリカの交響楽団のためにデザインしたもので、11月に日本で初めてお披露目するにあたり、見本で作ってもらったニューホープ製の特別な一脚です
2003年にデザインされたチェアが、初めて桜製作所で製作されたもの。12月26日まで銀座店で開催している「ミラ ナカシマ展」で限定販売。椅子/本人私物
BAUMANNの椅子
よしいちひろさん(イラストレーター)
丸くて厚みのある座面や、包み込まれるような座り心地が気に入っています。新調したダイニングテーブルに合う椅子を……とじっくり考えた甲斐がありました。ボルトナットなど細部まで美しく、見るたびに悦に入ります
フランスを象徴する家具メーカー〈バウマン〉が設計。1950年代のホテルや劇場などで使用され、現在もヴィンテージを求める人が多い名作。椅子/本人私物
アート作品、枕、ビデオカメラ……生活を豊かにする逸品をジャンルレスに横断してセレクト
ÉphĒlisのライト
羽根郁美さん(moor galleryオーナー)
〈エフェリス〉は作品の背景にあるストーリーがドラマティックで、心惹かれます。この壁掛けライトは"愛する人との対話"をイメージしたもの。部屋の中に明かりがふわっと広がる様子を見ていると、時間を忘れて、違う次元にいるような錯覚に陥ります。希望を灯す、宝物のような一品
クチュールデザイナーの経歴を持つ香港出身のセラミックアーティスト、クウィーニー・チャンが手がけるブランド。照明¥204,600/アトリエエムオー(エフェリス)
高野夕輝の木彫りの熊
水澗 航さん(ENKEL 主宰)
ここ数年でますます注目されている木彫りの熊。その人気を索引する高野さんの個展で衝動買い。なかなか手を出せずにいましたが周囲の後押しもありついにデビュー。つぶらな瞳が愛らしく、表情が絶妙でツボです
北海道の鹿追町で活動する木彫り作家。主に熊と山をモチーフに選び、伝統的な雰囲気と愛らしい表情や丸みを帯びたフォルムを得意とする。木彫りの熊/本人私物
鈴木信太郎のリトグラフ
広沢幸乃さん(ライター)
神保町の浮世絵を扱う専門店でばったり、出合いました。彼の描く絵は無垢で、みずみずしさがあり、そしてやさしい。眺めるだけでほっとします。視界に一番入りやすい低めの書棚の上に、花と一緒に飾っています
1895年東京都生まれの洋画家。童心に帰るような、明るく彩り豊かな作風が魅力。『マッターホーン』『こけし屋』の包装紙でもおなじみ。リトグラフ/本人私物
石田屋の枕
今井幸恵さん(PHAETON スタッフ)
この枕は、よい睡眠時間を保てるパートナー的な存在。次の日のパフォーマンスも変わりますし、寝返りを打つときも心地いいんです。頭を乗せた瞬間、秒で眠りに落ちてしまうほど、肌ざわりもとても気持ちよく寝心地も快適。石田屋には寝具選びの大切さを教えてもらった気がします
吸放湿性や耐久性に優れ、欧州で古くから貴族が愛用してきた馬毛を採用。イタリア製リネンを用いたカバーが付属。枕¥121,000・ピローケース¥14,850/石田屋
LANのお香立て
引田 舞さん(CIRCUS ディレクター)
ガラスの揺らぎが光に当たると、キラキラと輝いて本当にきれい。深く湾曲しているので、しっかり灰を受け止めてくれるのもうれしいポイント。お香を立てないときも、オブジェとして美しい佇まいを見せてくれます
デザイナーの井上蘭が手がけるガラスワークブランド。繊細な色の混ざりや気泡など、細部も美しい。上部を取りはずしてアクセサリートレイにも。お香立て/本人私物
SONYのビデオカメラ
オカモトレイジさん(OKAMOTO’S ドラマー)
モデル名は"DCR-SR100"。最近、一番高頻度で使っているかもしれません。リサイクルショップに時間つぶしで行ったときにその場のノリで買ったんですが、その後液晶が割れてしまい、2つめを新調したほどのお気に入り
331万画素CCDを搭載した高精細映像を、内蔵するハードディスクに約7時間記録可能。撮影したデータの再生・編集もしやすい。ビデオカメラ/本人私物