まだまだ暑い日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。きりっと冷やした白&スパークリングワイン及びビールの消費量が例年に増して加速中のライター門前です。
vol.27では話題のオレンジワインをご紹介しましたが、今回は白ワインにフォーカスします。こんなに暑いと、マイ“ハウスワイン”としてお値打ち白ワインをまとめ買い&常備しておきたいもの(私だけ?)。前回に続き、¥1,000台で「おいしい」「できるだけナチュラルな造り」「かわいいエチケット」という門前基準をクリアした優れものたちをご紹介します。
エスニック料理から焼き菓子までマッチ! バランスのよい「アザン ブラン」
個人的な話ですが、こちらは私が“いちばん売ったことがある”ワインかもしれません。以前、勉強も兼ねて少しだけワインショップでアルバイトをしていました。店内でもっとも安く、オーガニックかつ開けやすいスクリューキャップということで、大人気だったのがこのワイン。リピーターさんも多く、同じ値段の赤ワインとともに、お店いちのベストセラーでした。
造り手は、南仏のなかでも海沿いの地域にワイナリーを構えるドメーヌ・アザン。1985年から除草剤や化学肥料を使わないビオロジック農法による葡萄栽培を始め、徐々に栽培面積を増やしてきた家族経営のワイナリーです。上質な葡萄を育む石灰質の土壌や、海沿いならではの強風に防虫効果があることなど、このエリアにはナチュラルでクオリティの高いワイン造りにぴったりな要素が揃っているのだそう。
色はほんのりオレンジがかった……というと語弊がありますが(オレンジワインではありません)、少し温かみを感じるイエロー。今回ご紹介する3本はいずれも淡いイエローですが、そのなかではいちばん濃い色味です。使用品種はヴィオニエ100%。華やかな香りとリッチな果実味で知られる葡萄です。柑橘や林檎、そして蜂蜜を思わせる香りと味わいがあり、程よいボリュームも。単品でも食事のお供としても楽しめるワインです。
ある程度ボリュームやコクが感じられるので、ローストチキンやポークなどザ・赤身以外の肉料理のほか、カルボナーラなどチーズを使った料理にもマッチ。また、豊かな果実味と蜂蜜感がスパイシーなエスニック料理とも好相性。〆切前で家に缶詰状態だった日にウーバーイーツで取り寄せたインドカレーにもぴったりでした! スイーツとも合わせやすく、特にレモンタルトは相性抜群。甘口ワインではありませんが、甘党の方にも推したいワインです。
“大人のレモン水”と呼びたい、爽やか&軽やかな「マス・サルダーナ ブランコ」
続いてはスペイン北東部のカタルーニャ(州都のバルセロナが有名ですね)より。造り手はソムリエ&ワインコンサルタントとしてイギリスの有名レストランでキャリアを積んだフランス人、フランク・マサール。ソムリエとしても、イギリスのコンクールでチャンピオンに輝いたことがある凄腕だとか。スペインに移住した後、スペイン屈指のワイン産地、プリオラートに畑を購入してワイナリーをスタートしました。
こちらはナチュラルワインが充実しているスペイン料理店でもよく見かける白ワイン。カタルーニャの伝統的なダンスを描いたキュートなエチケット(ラベル)が目印です。有機認証は受けていませんが、農法はビオロジック。色は今回ご紹介するワインのなかでもいちばん明るく淡いレモンイエロー。使用品種はカタルーニャや南仏で多く栽培されているグルナッシュ・ブラン。柑橘やハーブのような香りが特徴的な葡萄です。
穏やかですが、確かにレモンやハーブのようなニュアンスを感じる爽やかな香り! 夏っぽい〜! さらりとした飲み口で、非常にフレッシュな味わい。程よい酸味があって、きりっと冷やしてレモン水感覚でごくごく飲みたいワインです。後口にグルナッシュ・ブラン由来の心地よい苦味があるのも特徴。焼き魚や魚のフライ、フリットなどと好相性です。鮎なんか完璧に合いそうだなあ。そのほか、サラダや野菜が入ったサンドイッチのお供にも最適かと。爽やか&軽やか、“大人のレモン水”と呼びたくなる1本です。
夏のBBQに持っていきたい! 「エル・コンベルティードソーヴィニヨン・ブラン」
同じくスペインから、こちらは中央部のカスティーリャで造られているワインです。元ワインバイヤーのイギリス人オーナーであるラファエル・デ・ハーンによるワイナリーで、“高品質のワインを手頃な価格で提供すること”“地球環境に配慮したワイン造り”がモットー。所有する葡萄畑すべてがオーガニック認証を取得しており、ヴィーガン認証も受けているとのこと(ヴィーガンについては前回の記事をご覧ください )。ワイナリーで使用する電力の大半を敷地内の太陽光発電でまかなう、数年後のカーボンニュートラル達成を目指すなど、環境に配慮した取り組みにも熱心です。
色は先にご紹介した2本の中間くらい。「アザン ブラン」からオレンジっぽい色味を取ったような淡めのイエローです。使用品種は白ワイン用の葡萄のなかでシャルドネに続く知名度を誇るソーヴィニヨン・ブラン。浅葱のような香りが特徴的と言われますが、このワインもハーブや柑橘を感じる爽やかな香りと味わい。先のグルナッシュ・ブランと似た要素をもちつつ、こちらはレモンというよりグレープフルーツ。細かい例えですが、グレープフルーツの皮の白い部分を思わせるかすかな苦味があるんですよね。ネガティブな方向ではなく、味わいに奥行きを与える苦味です。
12%とワインのなかでは低めのアルコール度数ですが、フレッシュな柑橘味、ハーブの爽やかさとともに力強さも備えているのが特徴。同じ要素つながりで、柑橘やハーブをきかせた前菜や冷菜ならオールマイティに合いそう。時間が経つにつれて後口にスパイシーなタイプのオリーブオイルに似た苦味、辛味が少し出てきますので、オリーブオイルと相性のよい温菜……例えば焼き野菜との相性も抜群です。開けやすいスクリューキャップですし、夏のBBQなんかにぴったりではないかと。
いずれも魅力的ですが、今回の「ベストうち飲み賞」は果実味と爽やかさのバランスがよい「アザン ブラン」にしたいと思います。
vol.28では、今すぐ(今日の夕食にでも!)ごくごく飲みたい&常備しておきたいお値打ち白ワインをご紹介しました。全部買っても¥5,000以下。いずれも軽やかで爽やかという共通点はありますが、そのなかに個性が光るワインたち。3本買って飲み比べてみるのもおすすめ。似たタイプだからこそ細かな違いが際立って、より自分の好みがはっきりするはずです。
【うち飲み向上委員会メンバー】
門前直子(もんぜん なおこ)
食べること&飲むことが大好きなフリーランスエディター/ライター。エンゲル係数がやたら高いものの、日々見て見ぬ振り。セレクトショップ「ガリャルダガランテ」から昨年スタートしたライフスタイルライン「カーサ ガリャルダガランテ」では、期間限定で販売するフード&ドリンク(ワインや日本酒、シードルなど)のセレクトを担当。https://www.instagram.com/gkgkmgmg/?hl=ja