Kカルチャーに酔いしれる? 日本で買える韓国のお酒BEST7【うち飲み向上委員会vol.39】

K-POPや韓国ドラマ・映画、韓国文学、さらにはグラフィックデザインやファッションまで――とどまるところを知らない「Kカルチャー」の勢い。かつてほど気軽に韓国には行けないかもしれないけれど、せっかくなら日本でも韓国気分を味わいたいもの。今回のうち飲み向上委員会では、Kカルチャーに詳しい韓国在住SPUR.JPスタッフのNODAと、ソウルへ足繁く通うライターのもてスリムさんをゲストに迎え、お酒から見えてくるKカルチャーの現在を紹介しながら、日本で買える韓国のマッコリやビールなどをナビゲート!

Kカルチャー好きが日本で飲むならこんなお酒

エディターAKIYAMA(以下A)Kカルチャーに精通しているNODAさんともてスリムさんは、ソウルでも何度も一緒に遊んだり飲まれたりされてるそうですね。今日はそんなおふたりに日本で買える韓国のお酒のなかからオススメを紹介してもらいます。

NODAさん(以下N)アーティストがお酒をプロデュースしていたり、K-POPファンならではの楽しみ方があったり、お酒という観点からKカルチャーを見ていくのも面白そう!

もてスリムさん(以下M)日本ではまだまだ買える商品が少ないのも事実ですが、今回紹介するお酒をきっかけにこれまで知らなかったカルチャーに触れられると楽しそうです。

韓国コスメブランドとマッコリのコラボレーション「ボクスンドガ赤米マッコリ」(もてスリムリコメンド)

ボクスンドガ赤米マッコリ
ボクスンドガ赤米マッコリ〈935㎖〉¥2,200/盛邦貿易(ボクスンドガ)

M 以前紹介したボクスンドガソンマッコリ」が、コスメブランドの「ハンユル」とコラボレーション。当初は年末年始だけの限定販売だったのですが、大好評で日本でも販売が続けられることになったそうです。赤米を使ったピンク色のマッコリは見た目にもかわいらしく、もちろん味もお墨付きです。

A こんなにきれいなピンク色になるんですね、可愛い! ボクスンドガソンマッコリは伝統的な醸造方法でつくられているマッコリですよね。お酒が弱くても飲みやすいし、マッコリは乳酸菌、食物繊維、ビタミンBを摂取できるのもうれしいですね

N マッコリって韓国ではおじさんの飲み物というイメージが強かったんですが、最近はそのイメージを払拭しようとリブランディングが進められたり、新しいブランドがつくられたりしています。クラフトマッコリは2010年代前半から増えているそうですが、最近はおしゃれなクラフトマッコリもいろいろ発売されています。

M 昨年『The New York Times』でもマッコリの盛り上がりを報じる記事が公開されていました。コロナ禍によって国内の製品や文化への関心が高まり、マッコリが注目されている側面もあるみたいです。感染対策のロックダウンの期間中に自家醸造を楽しむ人もいたんだとか。

N たしかにInstagramを見ていても、この1〜2年で新しいブランドがどんどん増えている感じがします。

M 日本でも最近「ポクトッパンナチュラルマッコリ」のオーナーが来日してイベントを行なっていましたが、今後日本でも買える商品が増えるといいですよね。

ドーナツ屋がつくった、スイーツと合うビール!? 「Knotted スマイルウィートエール」(もてスリムリコメンドリコメンド)

Knotted スマイルウィートエール
Knotted スマイルウィートエール〈500㎖〉¥420/韓国フリーマー

M 「Knotted スマイルウィートエール」は、ドーナツブランド「Knotted」が韓国のコンビニチェーン「GS25」とコラボレーションしてつくったビール。ドイツの本格バイエルン酵母を使用したクラフトビールで、オレンジピールによって爽やかな味に仕上げられているのがポイントですね。

A オレンジがしっかり香っていて、ほんのり甘いので飲みやすいですね。たしかにドーナツのようなスイーツとも合うのかも。Knottedはどんなブランドなんですか?

N ソウルではこの数年ドーナツブームが続いていたんですが、Knottedはそのなかでも代表的なドーナツブランドですね。私も家に帰る前にお店に立ち寄ることもありますし、今はもう一種のスタンダードなスイーツとして根付いている気がします。

A こういうビールがコンビニで買えるのもうれしいところ。

N GS25はけっこういろいろなビールを売っていて、バタービールを売り出したりビールとサイダーを割った「メッサ」を売ったりもしています。たしかに日本のコンビニでは見かけないようなビールもたくさん置かれているのかも。

M 日本でもクラフトビールはかなり広まった感じがしますが、「CRAFTBROS」など韓国もクラフトビールは充実していますよね。ビールとドーナツなど、めずらしいペアリングも面白い。せっかくうち飲みをするなら、いろいろなスイーツと合わせてみるのも楽しいかも?

オリジナルラベルで“推し”とソジュをコラボレーション「チョウムチョロム」(NODAリコメンド)

チョウムチョロム
チョウムチョロム〈360㎖〉¥306/Yesmart

N 「チョウムチョロム」は韓国でもかなりメジャーなソジュのひとつです。韓国語で「はじめてのように」を意味する名前のとおり、まろやかで飲みやすいのが特徴ソジュはしっかり冷やし、小さなグラスに入れてストレートで飲むのが一般的です

M たしかに飲みやすい! 日本ではソジュというとチャミスルを見かける機会が多い気がしますが、キリッとした飲み味のチャミスルと違って、チョウムチョロムはまろやかな分、甘みも感じられますね

A ストレート以外の飲み方もあるんですか?

N ちょっと前にはソジュのソーダ割りにアイスバーを入れるスタイルも流行っていましたし、ラッパーのイ・ヨンジのYouTube番組ではソジュの紅茶割りも紹介されてました。韓国では「セロ」というノンシュガー版チョウムチョロムも販売されていて、こちらも大人気です。

M 紅茶割りはおいしそうですね。ノンシュガーだともっと飲みやすくなりそう! ソジュってほかにもいろいろあると思うんですが、なぜチョウムチョロムを選んだんですか?

チョウムチョロム
Nが現地で友達からプレゼントされたラベル。ラベル上部は商品名처음(チョウム)の代わりに好きなアイドルの名前を入れるのが一般的。ラベル下部には日本語訳で「初めから上手くやれる人は宇宙人」という、友人の推しの座右の銘(?)が入っているそう。

N 日本にはないサービスなんですが、ラベルの文字をカスタムできるようになっているんですよね。K-POPファンのなかでは、推しの名前をラベルに入れて写真を撮るのが流行っているんです。

M へー、オリジナルラベルをつくれるんだ! K-POPファンならではの楽しみ方ですね。そう言えばチョウムチョロムの広告にはBLACKPINKのジェニーが起用されてますし、チャミスルにはIUが使われていたり、「チョンハ」というソジュには同名のチョンハが起用されていたり……。好きなアーティストに合わせてソジュを選んでみてもいいのかも。

済州ビールから韓国のブームを想像する「済州 ウィットエールビール」「済州 ペロンエール」(NODAリコメンド)

済州ビール
(左)済州 ウィットエールビール、(右)済州 ペロンエール〈各355㎖〉各¥310/Yesmart

N 「済州ビール」は日本のYesmartでも売っていて割と手軽に買えるクラフトビールのひとつです。今回は「済州 ウィットエールビール」と「済州 ペロンエール」の2種類を用意してみました。

M チェジュビールは韓国発のグローバルクラフトビールブランドらしいですね。どちらも飲みやすいですが、ぼくは「済州 ペロンエール」の方がサッパリしていて好みです。

A 私は「済州 ウィットエールビール」の方が好みかも。チェジュの蜜柑ピールやオレンジピール、コリアンダーが使われているから柑橘系の爽やかな香りが気持ちいいですね。Nさんはなぜ済州ビールを選んだんですか?

N
 日本では手に入らないんですが、韓国だと済州ビールがノンアルコールビール「済州ヌーボー」も販売しているんです。大人気エッセイ『女ふたり、暮らしています』の著者の2人のPodcast「여둘톡(ヨドゥルトーク)」で紹介されたことをきっかけに人気に火がつきました。

M 「CASS」を筆頭に韓国のビールって度数が低くて飲みやすいものが多い気がしますが、ノンアルコールビールも増えているんですね。飲んでみたいな。

N 韓国だと「CASS」や「hite」がノンアルコールビールの先駆けとなる存在みたいです。チョウムチョロムのシュガーフリー版もそうですが、ノンシュガー・ノンアルコール製品の人気が高まっていて、韓国でも健康志向の高まりを感じます。

グラフィックデザインの革新はお酒のシーンにも「ソウルの夜」(もてスリムリコメンド)

ソウルの夜
ソウルの夜〈375㎖〉¥1,018/Yesmart

M 「ソウルの夜」は、完熟梅を使った蒸留酒です。アルコール度数が25%とやや高めなのがポイント。ストレートで飲むとスッキリした味わいを楽しめます

A おお、けっこうしっかり梅の香りが感じられますね。でも日本の梅酒とは違った味わいでおもしろい。オンザロックやカクテルなどほかの飲み方でもおいしいかも

N ソウルの夜はパッケージのデザインがモダンですよね。


M
 そうですね。ここまでに挙げたクラフトマッコリやクラフトビールもそうですが、この数年でかなりデザイン性の高いブランドや商品が増えている印象があります。「SOOL SOOL」のようなリカーショップのSNSを見るだけでも、日本では見かけないようなデザインのお酒がたくさんあってテンションが上がりますよ。


N 単にスタイリッシュなデザインのパッケージなら日本にもたくさんあると思うんですが、ポップなデザインのお酒をつくっているブランドもたくさんありますよね。


M スモールブランドも多いので日本ではほぼ手に入らないのが実情ではありますが、うち飲みしつつ気持ちだけでもソウルにいる気分になってみましょう。

スイートなトックリイチゴ酒のルネッサンス「ビンタンボク」(NODAリコメンド)

ビンタンボク
ビンタンボク〈370㎖〉¥850/韓国フリーマー

N 「ビンタンボク」は、韓国産のトックリイチゴを使ったお酒です。アルコール度数が7%と低めですし、甘いのでかなり飲みやすいのが特徴ですね


A おー、たしかに甘くて美味しい! 赤ワインのような味わいがありつつも、ジュースのように飲めちゃいますね食事やデザートとのペアリングを考えるのも楽しいかも。


M 
トックリイチゴって初めて聞きました。韓国のブラックベリーやラズベリーのような果実なんですね。香りもしっかりしてるし、めちゃくちゃ飲みやすいですね。


N
 トックリイチゴ酒(韓国語で복분자주・覆盆子酒ポップンジャジュ)は韓国の伝統酒なのですが、ビンタンボクはスパークリングで飲みやすく、幅広い層から人気があります。マッコリもそうですが、コロナ禍を経て伝統酒が再び注目されている気がしますね


M 
韓国の伝統酒がブームになったら、韓国のカルチャーをより多くの人が知るきっかけにもなりそうですね。

世界的人気を誇るラッパーがソジュをプロデュース!「WON SOJU」(NODAリコメンド)

「WON SOJU SPIRIT 」
WONSOJU SPIRIT 24%₩ 12,900*表記価格は現地での購入価格(2023年3月27日現在1₩=0.10円)

N 今回オマケとして紹介したいのが、「WON SOJU SPIRIT」です。これは「AOMG」や「H1GHR MUSIC」といった音楽レーベルのファウンダーとしても知られるアーティストのパク・ジェボムが立ち上げたソジュブランドなんです

A 自分でソジュのブランドを立ち上げたんですか!?

M 
勢いがすごいですね。

N
 現時点ではまだ日本で売られていないのですが……昨年ソウル・ヨイドのショッピングモール「THE HYUNDAI SEOUL」で行われたポップアップストアも大盛況だったようです。アメリカ進出分の在庫の準備が整ったというニュースも報じられていたので、日本に進出する日も近いのかもしれません。肝心の味はというと、24度とアルコール度数が高く、クラブで飲むショットのような味わい(笑)。チャミスルのようなソジュよりも価格が高いので、高級路線のブランディングを取っているのかなと思います。

A K-POPアーティストとお酒といえば、BIGBANGのT․O․Pが手掛けたワインブランド「T'SPOT」のワインが販売から1週間で完売してしまったというニュースもありましたね



M
 今後もこうした動きは増えていくのかもしれませんね。


〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表します!〜

A いろいろなお酒を飲み比べてみると、それぞれの特徴が際立って楽しいですね。

N
 味だけではなくて、韓国国内のブームや社会の変化を調べてみるとお酒の楽しみ方も変わりそうです。韓国の人気クラフトビール「済州ビール」はみなさんにぜひ飲んでいただきたいです。

M 個人的にはやはり「ボクスンドガ赤米マッコリ」に一票。日本でも普通に買えるのがありがたいです。

N 本当はもっと紹介したいお酒がたくさんあったのですが、日本で買えるものが少なく紹介できなかったのが残念です。「うち飲み企画」ではなく、韓国旅行の「ホテル飲み」企画があったらぜひ紹介させてください!

A ぜひ教えてください!次回はソウルでお会いしましょう!

【うち飲み向上委員会メンバー】

NODA
マイベスト市場は望遠市場。暖かくなってきたので、そろそろ家を飛び出して漢江沿いでピメク※ピザ+メクチュ(ビール)を嗜みたい今日この頃。韓国の野外フェスで音楽を楽しみながら飲むお酒も待ち遠しい!

もてスリム
東京在住のライター/編集者。好きなビールはCass Light。ソウルに行ったら必ず徒歩で漢江を渡るようにしています。今年は地方都市のクラブに関するリサーチを進めたいです。

エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ3年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

FEATURE
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