T ワインの生産地であるマディランは、銘醸地として有名なボルドー地方からさらに南に下ったところにある、スペインのバスクに近いエリア。造り手のアラン・ブリュモンはフランス南西地方最高の生産者と言われているような、すごく有名な方なんですよ。そんな造り手のワインをコンビニで買えるというのがすごい!!
Z 最高の造り手がコンビニに降臨〜! しかもファミマ限定、前回ご紹介したロスヴァスコス然り、セレクションに本気さを感じます。
T 2〜3万円する高いワインからエントリーワインまで造っていますが、これは中でも本当にコスパが良い。実はアラン・ブリュモンのところで短い期間ですが修行させてもらったことがあるんです。
A なんと実際に現地へ行かれたのですね! どんな造り手なのですか?
T ドメーヌと呼ばれる、自分たちで管理している自社の畑を使っているので、たくさん造るというよりは、良いものを厳選してリリースしているところです。このタナという品種はタンニン(=渋み)の語源となった葡萄なんですよ。つまりタンニンが強い葡萄で、味わいは渋みが強くて骨格がしっかりしています。カベルネ・ソーヴィニヨンに近いけど、より渋いと言われたりしていて、それだけにちょっと敬遠されがち。でもアラン・ブリュモンが造ったものは、世界的に評価されていてかなり人気ですね。
Z クセつよ品種を手なずけちゃうブリュモンさん、かっこ良すぎやしませんか! そんなお宝ワインがせっかくコンビニにあったというのに、私たちは気付けずにいたので、田邉さんの導きに感謝(涙)。
A このワインの味わいに造り手らしさは表れていますか?
T そうですね、タンニンはあるんですけど緻密で決して粗くない。カシスやブルーベリーの凝縮した果実風味と、シナモンやナツメグの心地よいスパイスのニュアンスはアラン・ブリュモンらしいキャラクター。渋いのが苦手という人も飲みやすい、バランスの良さですね。
Z ローソンなどで販売中のカッシェロ・デル・ディアブロは超有名ですね! でも飲むのが初めてなので、楽しみです。これだけ愛される理由って何なのでしょうか?
T 日本に入ってきた20年くらい前は、コンビニで並んでいるワインではなかったんです。レストランとかシティホテルのダイニングで、グラスワインで出されていて。飲食店で提供されるレベルのワインがコンビニで誰でも気軽に買えるようになったというのは、すごく良いことですね。そういう背景がなかったとしても、長く愛されているのは飲んで満足度が高いという証だと思います。
T マールボロはニュージーランドのワイン生産地の中で一番有名で規模が大きいエリア。ソーヴィニヨン・ブランで世界的に大ブレイクしました。ニュージーランドでは、造られる70%のワインがソーヴィニヨン・ブランを使っているんです。元々はフランスの品種ですが、今ではニュージーランドのスタイルが世界のソーヴィニヨンブランの基準に。
T ワインを濾す時に、不純物などを取り除くために清澄剤として卵白を使うことがあって、そうすると動物性になっちゃうんですよ。清澄剤はいくつかあって、これは動物性ではないものを使用しているということ。赤ワインは特に卵白と相性が良く、黒葡萄が9割方のボルドー地方では昔からたくさんの卵白が使われていて、卵黄が余ったことからカヌレが生まれたと言われています。
Z へ〜!!! カヌレが副産物的に生まれたとは知りませんでした。
A この赤ワインはブレンドですが、どんな印象ですか?
T カベルネ・ソーヴィニヨンはチリが得意とする品種。カルメネールはフランス原産なんですけど、チリの土地柄に適していて今では専売特許みたいになっています。スパイシーでエレガントなシラーは世界的に人気が上昇し、栽培面積も広がっていて。チリのスター的品種3つをブレンドしているのはすごい。普通はシラーとカベルネ・ソーヴィニヨンを混ぜませんし、カルメネールが入っていることでチリらしさがぐっと強まります。