【MAX1,000円台】おすすめの【コンビニワイン】をソムリエの田邉公一さんが厳選【うち飲み向上委員会vol.43】

身近なものの値段が上がり続ける中、コンビニエンスストアで販売されている安旨ワインの存在はミラクル! コスパが良いだけでなく、じつは有名生産者のワインも取り扱われていたりと、お酒好きにとってこんな幸運を逃す手はない。昨年秋にお届けしたコンビニワイン編の大好評に応え、今回のうち飲み向上委員会では再びソムリエの田邉公一さんをゲストにお迎え。今買うべきコンビニ4社のワインと、おすすめのペアリングをナビゲートします!


ソムリエのお墨付き! MAX1,000円台のおすすめコンビニワイン

エディターAKIYAMA(以下A)今回はMAX1,000円台のコンビニワイン! お財布に優しく、おいしいワイン6本と、そのペアリングのおすすめを田邉さんに教えていただきます!

田邉公一さん(以下T)リーズナブルなワインはフードとのペアリングにより、味わいが完成します。そうすることで価格以上のおいしさが楽しめるので、ぜひトライしてみてください。

ライターYOKOMIZO(以下Z)恒例の「ベストうち飲み賞」もお見逃しなく!

【ファミリーマート】世界で称賛される造り手「ドメーヌ・アラン・ブリュモン ル・プティ・アルブージェ」

ドメーヌ・アラン・ブリュモン ル・プティ・アルブージェ
ドメーヌ・アラン・ブリュモン ル・プティ・アルブージェ〈750㎖〉¥1,078/ファミリーマート

T ワインの生産地であるマディランは、銘醸地として有名なボルドー地方からさらに南に下ったところにある、スペインのバスクに近いエリア。造り手のアラン・ブリュモンはフランス南西地方最高の生産者と言われているような、すごく有名な方なんですよ。そんな造り手のワインをコンビニで買えるというのがすごい!! 

Z 最高の造り手がコンビニに降臨〜! しかもファミマ限定、前回ご紹介したロスヴァスコス然り、セレクションに本気さを感じます

T 2〜3万円する高いワインからエントリーワインまで造っていますが、これは中でも本当にコスパが良い。実はアラン・ブリュモンのところで短い期間ですが修行させてもらったことがあるんです。

A なんと実際に現地へ行かれたのですね! どんな造り手なのですか?

T ドメーヌと呼ばれる、自分たちで管理している自社の畑を使っているので、たくさん造るというよりは、良いものを厳選してリリースしているところです。このタナという品種はタンニン(=渋み)の語源となった葡萄なんですよ。つまりタンニンが強い葡萄で、味わいは渋みが強くて骨格がしっかりしています。カベルネ・ソーヴィニヨンに近いけど、より渋いと言われたりしていて、それだけにちょっと敬遠されがち。でもアラン・ブリュモンが造ったものは、世界的に評価されていてかなり人気ですね。

Z クセつよ品種を手なずけちゃうブリュモンさん、かっこ良すぎやしませんか! そんなお宝ワインがせっかくコンビニにあったというのに、私たちは気付けずにいたので、田邉さんの導きに感謝(涙)。

A このワインの味わいに造り手らしさは表れていますか?

T そうですね、タンニンはあるんですけど緻密で決して粗くない。カシスやブルーベリーの凝縮した果実風味と、シナモンやナツメグの心地よいスパイスのニュアンスはアラン・ブリュモンらしいキャラクター。渋いのが苦手という人も飲みやすい、バランスの良さですね。

A ペアリングは「3種の醤油仕立て豚角煮をおすすめされていますが、その理由は?

T 現地は豚肉も有名なので、テロワール合わせで良いかなと思いました。

A お醤油と合いますね、麻婆豆腐とも食べてみたい。しっかりとした赤ワインが飲みたい人は大満足のはず!

【ローソン】 チリのロングセラー赤ワイン「カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン」

カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン
カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン〈750㎖〉¥1,527/ローソン

Z ローソンなどで販売中のカッシェロ・デル・ディアブロは超有名ですね! でも飲むのが初めてなので、楽しみです。これだけ愛される理由って何なのでしょうか?

T 日本に入ってきた20年くらい前は、コンビニで並んでいるワインではなかったんです。レストランとかシティホテルのダイニングで、グラスワインで出されていて。飲食店で提供されるレベルのワインがコンビニで誰でも気軽に買えるようになったというのは、すごく良いことですね。そういう背景がなかったとしても、長く愛されているのは飲んで満足度が高いという証だと思います。

A 赤ワインが好きな人にはたまらないフルボディですねペアリングでおすすめされた「肉厚!とろけるチーズハンバーグ」との組み合わせも、どちらもジューシーかつパンチがある味わい同士で間違いないです

T カッシェロ・デル・ディアブロは安いけどカジュアルな印象を受けない味で、複雑性も風味も豊かにあり、カベルネ・ソーヴィニヨンの品種個性としてもしっかり出ています。ハンバーグは肉の旨みがありつつ香ばしくて、玉ねぎが入っていて甘みもあるのでカベルネとよく合いますよ。

【セブン−イレブン】イタリアのフレッシュな白「ポッジオアルザーレ ソアヴェDOC」

ポッジオアルザーレ ソアヴェDOC
ポッジオアルザーレ ソアヴェDOC〈500㎖〉¥778/セブン−イレブン

A 前回のコンビニワインでは同じ生産者のキャンティをご紹介いただきましたね、あれもすごくおいしかった〜! 今回は白ワインで、500mlの飲みきりサイズ。同じくセブン−イレブンで販売されています。

T この白ワインは北部イタリア、ヴェネチアがあるヴェネト州から。『ロミオとジュリエット』の舞台になったヴェローナという街のすぐ近くのソアヴェで造られました。

Z 品種はガルガネーガとトレビアーノ。どちらも初めて飲む品種です。

T ガルガネーガはソアヴェが得意としていて、他ではほとんど使っていないギリシャ系の品種ですね。そこにトレビアーノという品種が少し入っています。基本的にはドライで、よく冷やすと爽やかに飲めますよ! 良い意味での果実の熟度の高さで、甘さを感じるように思うかも

Z これを選ばれた理由は?

T ソアヴェは、キャンティのように世界的に人気な銘柄で、いち早くイタリアで有名になった白ワイン。まずソアヴェ自体のキャラクターが一定しているので、どのワイナリーで造られたものでも味がブレることが少なく、予測しやすいんです。フレッシュな辛口で、嫌いな人はいないんじゃないかな。

A ペアリングに選ばれた「たことブロッコリーバジルサラダ」は好物で、よく食べています。気分は海辺のトラットリアに!

T ワインとおつまみを合わせても、1,000円ちょっとで気軽に楽しめますよ。

【セブン−イレブン】トレンドを牽引するニュージーランドワイン「カープーカー ソーヴィニヨン・ブラン」

カープーカー ソーヴィニヨン・ブラン
カープーカー ソーヴィニヨン・ブラン〈750㎖〉¥1,078/セブン−イレブン※一部地域では取り扱いが無い場合があります。

Z ソーヴィニヨン・ブランらしい、清涼感たっぷりな味わい。

A ニュージーランド産なんですね、生産地はマールボロ。

T マールボロはニュージーランドのワイン生産地の中で一番有名で規模が大きいエリア。ソーヴィニヨン・ブランで世界的に大ブレイクしました。ニュージーランドでは、造られる70%のワインがソーヴィニヨン・ブランを使っているんです。元々はフランスの品種ですが、今ではニュージーランドのスタイルが世界のソーヴィニヨンブランの基準に。

A マールボロのソーヴィニヨンブランのスタイルというのはどんな特徴がありますか?

T アロマティックでトロピカルなフルーツ香を含んだ、爽やかな酸味のソーヴィニヨン・ブランですね。ソーヴィニヨン・ブランは柑橘類と同じ成分の香りを持つ品種なのですが、ニュージーランド産はさらにパッションフルーツの香りが出てくるのが特徴。きれいなミントのハーブ香もあります

Z ドライすぎないのもいいですね。クールだけど程よく果実味もあって、沼らせるツンデレ具合です♡

T 一般的にニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの価格帯はそんなに安くなく、2,000円以下はほぼありません。これはかなりコスパが良いですね。尚且つ、マールボロのソーヴィニヨン・ブランのキャラクターもしっかり出ているワインだったので、ぜひ紹介したいと思いました!

A ペアリングはいかがでしょうか?

T 油ののった魚と柑橘類のニュアンスはよく合うので、ツナやトマト、きゅうりのサラダはおいしく食べてもらえるかと思います

Z ツナサンド、ツナマヨの手巻き寿司という手もありですよ〜!

【ナチュラルローソン】人気ワイナリーのヴィーガンワイン「コノスル オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン / カルメネール / シラー」

コノスル オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン / カルメネール / シラー
コノスル オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン / カルメネール / シラー〈750㎖〉¥1,375/ナチュラルローソン

A 自転車マークでお馴染みのコノスルは、世界規模で売れているビッグなワイナリーですね! そこから今回は有機栽培葡萄100%の赤ワインをピックアップしていただきました。

T コノスルは低価格で失敗のないワインを造る生産者ですが、完全オーガニックのシリーズも造れるというのはいいですよね! これが売られているのもナチュローらしい。価格は変わらずリーズナブルでおいしく、ナチュラル感もちゃんと感じられ、複雑性がより強く出ています

Z このワインはヴィーガン認証取得と記載されているのですが、それってどういうことなんですか? 

T ワインを濾す時に、不純物などを取り除くために清澄剤として卵白を使うことがあって、そうすると動物性になっちゃうんですよ。清澄剤はいくつかあって、これは動物性ではないものを使用しているということ。赤ワインは特に卵白と相性が良く、黒葡萄が9割方のボルドー地方では昔からたくさんの卵白が使われていて、卵黄が余ったことからカヌレが生まれたと言われています。

Z へ〜!!! カヌレが副産物的に生まれたとは知りませんでした。

A この赤ワインはブレンドですが、どんな印象ですか?

T カベルネ・ソーヴィニヨンはチリが得意とする品種。カルメネールはフランス原産なんですけど、チリの土地柄に適していて今では専売特許みたいになっています。スパイシーでエレガントなシラーは世界的に人気が上昇し、栽培面積も広がっていて。チリのスター的品種3つをブレンドしているのはすごい。普通はシラーとカベルネ・ソーヴィニヨンを混ぜませんし、カルメネールが入っていることでチリらしさがぐっと強まります。

Z ペアリングはいかかでしょうか?

T 南米は赤身が主流なので、赤身肉のステーキとか良いかなと思います。味付けはペッパー系でシンプルだとシラーの味わいとマッチ。カルメネールはピーマン香があるので、インゲンやピーマンなどを余裕があれば添えてみてください!

【ナチュラルローソン】ハーフボトルのオーガニックワイン「ナチューラ シャルドネ エミリアーナ」

ナチューラ シャルドネ エミリアーナ
ナチューラ シャルドネ エミリアーナ〈375㎖〉¥770/ナチュラルローソン

Z ナチュローお得意のちょい飲みハーフボトルです! こちらをセレクトされた理由は?

T 生産者のエミリアーナはオーガニック栽培で有名。ここのスパークリングは飲んだことがあって、リーズナブルでおいしかったんです。そしてチリで白といえばシャルドネ。あともうひとつ、原産地のカサブランカヴァレーもポイントに。生産者、品種、原産地が揃えば間違いないだろうと思い選びました。

A カサブランカヴァレーはどんなところなんですか?

T チリは海側の方が涼しくて、ここは海寄りの冷涼なエリア。だから果実と酸のバランスが取れやすくて、新たに注目されている産地です。このシャルドネもまろやかで滑らかな酸味、フレッシュすぎない感じで、おいしいですね。

A ミネラル感がありつつも、余韻はすっきり! 食事しながら飲むと、常にリフレッシュしてくれそうな感じです。

T ちょっと塩味を帯びたような、まろやかでコクがありますよね。ちょっとだけ香ばしいニュアンスが「チリ産 銀鮭の塩焼き」と合うと思い、ペアリングにしました。

Z ただの鮭じゃなくてチリ産まで合わせる細やかさが心憎い、座布団一枚お願いします!

〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表します!〜

Z 今回もまた、うち飲みスタメンにしたいワインばかりでした! そこであえてベストを選ぶなら「ドメーヌ・アラン・ブリュモン ル・プティ・アルブージェ」でしょうか。本当の価値を知ることができ良かったです!

T 「カープーカー ソーヴィニヨン・ブラン」はニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランでこの価格は驚きだし、そしてクオリティもキープしています。季節的にこれからぴったりな味わいなので是非こちらも!

A 帰り道に早速コンビニのワインコーナーへGO! 気になったワインをペアリングでお楽しみください♪

【うち飲み向上委員会メンバー】

田邉公一
ソムリエ・ワインディレクター。レストランやワインショップ数社の飲料の監修を手掛ける。飲食店のワインはもちろん、コンビニやスーパーのワインにも一切の妥協なく日夜真剣に向き合っている。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」の講師。https://twitter.com/tanabe_duvin


ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。

エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ3年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

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