【南アフリカワイン】が今アツい! MAX2,000円台の極旨ワインをレポート!【うち飲み向上委員会vol.44】

うち飲み向上委員会にご登場いただいたワイン通たちから近頃よく耳にするトレンドワード1位「南アフリカワイン」。ワイン新興国の中でも情報量の少なさからビギナーにはハードルが高そうに感じていたけれど、じつはリーズナブルでおいしい、コスパ最強のワインが揃っているんです。そこで今回は東京・日本橋にある南アフリカワイン専門店の「アフリカー」に伺い、MAX¥2,000台で買える絶品ワインをナビゲート!


MAX2,000円台の絶品南アフリカワインを飲みくらべ!

エディターAKIYAMA(以下A)吹き抜け天井が気持ち良い店内には、南アフリカワインだけで約400種類3,000本があり、大充実の品揃え! 今回は「アフリカー」オーナーの小泉俊幸さんにおすすめの南アフリカワインと、その魅力を教えていただきたいと思います。

小泉俊幸さん(以下K)一概には言えないけれど、例えばフランス産の人気ワインと同ラインのものが、南アフリカ産なら半額で楽しめます。他にもこの国ならではの素晴らしいところがたくさんあるので、6本のワインを通して魅力をお伝えできればと思います!

ライターYOKOMIZO(以下Z)アフリカーで販売しているおつまみにうってつけの食材から、ペアリングもご紹介。こちらもぜひ、「ベストうちのみ賞」とともに参考にしてみてください!

破格のヴィンテージ白「ライオンクリーク2017」

ライオンクリーク2017
ライオンクリーク2017〈750㎖〉¥1,200/アフリカー(ネイピアワイナリー)

Z 一本目は¥1,200、ワインショップに来てこの価格でワインが買えるというイメージがありません! なんだかんだで¥2,000前後だろうと思っていたので、南アフリカに初っ端からカウンターくらいました! 

K しかもこれはヴィンテージの2017年、ちょうど今が飲み頃なんですよ

A え!? 成熟した深みがあるおいしさで、芸能人格付けチェックで出題されたら迷わせられる代物です! GACKTさんに飲ませてみたい(笑)。

K ワイナリーがあるウェリントンは、南アフリカの最もメジャーなワイン産地・ステレンボッシュから車で3〜40分くらいのところにあります。プレミアムなワインを造っているところで、今回はエントリークラスのワインです。シュナンブランとソーヴィニヨンブランのブレンドなので、フルーティ

A こっくりしていて、飲み心地もシルキーです。この銘柄なら2017年がおすすめということですね?

K はい、こんなヴィンテージを¥1,200では買えないので2017年を見つけたらラッキーと思って即ゲットしてください! 澱を使って熟成させるシュールリー製法で造っていて、2017年がちょうど良いコクになってきています。ペアリングはブレッツのサワークリーム味のポテトチップスをどうぞ。

Z ブレッツのポテチ大好きです! リッチな味同士で相性抜群♡

K 熟成されたワインのコクと、サワークリームのクセを合わせました。サワークリームのフレーバーにハーブがちゃんと効いていて、それがソーヴィニヨンブランの清涼感と良い感じでマッチしますよ。

A このヴィンテージは破格かと思いますが、全体的に南アフリカのワインがリーズナブルな理由はどこにあるのでしょう?

K そもそも欧米に比べたら物価が安い国。あと物流コストが欧米よりも安いんです。

A なるほど! 価格以外のところで、南アフリカワインのアピールポイントを知りたいです。 

K 一番の魅力は、サステイナブルなワイン造りがされていること。南アフリカの豊かな自然を保護しながらワイン造りをしてください、という国の方針があります。政府が定める基準に準じたワイナリーにサステイナビリティシールを貼ることを認めているんです。これは他の国ではない取り組みですね。

Z 自然との共存、素敵です。そうした取り組みを知ると、ますます南アフリカワインを買いたいという気持ちになります!

K ワイン造りにおける過程において、例えば化学薬品の使用を最低限にする、排水を適切に浄化する、害虫から畑を守るための方法(自然な方法)などすべてを測定、監査し、その基準をクリアしたワインにはサステイナビリティシールが貼られています。今回紹介するワインには、すべてこのシールが貼られていますよ!

インディーズ系造り手が旬「ザ・フレッジ フックスティーン 2019」

ザ・フレッジ フックスティーン 2019
ザ・フレッジ フックスティーン 2019〈750㎖〉¥2,640/アフリカー(ザ・フレッジ)

K 南アフリカは先ほどお話ししたように環境基準が厳しいので、畑も設備もあらゆる面でワイナリー経営にお金がかかります。そういう理由からワイナリーを持っていないけれど、設備を借りて醸造している人たちが結構いるんです。畑も持たず、契約農家から葡萄を買い、収穫と醸造は自分たちで行い、独自のブランドとして販売する。ザ・フレッジもインポーターを通さず、うちで直輸入しているインディーズ系のような造り手です。

Z インディーズ系! バンドみたいで格好いいし、これを手土産にできたらかなり通っぽいですよっ。

K 拠点はケープタウンから車で5〜6時間かかるところにあるのですが、葡萄はワイン造りのメッカであるステレンボッシュのもの。

Z 直輸入されるほど、この造り手にグッときたところは?

K 本格的なワイン造りをしているけれども、お手頃価格というのが一番の理由かな。エチケットのセンスも良いですし!

A 酸も穏やかで、飲み心地がいいです。南アフリカのシュナンブランがそういう特徴なのですか?

K シュナンブランは、南アフリカで一番造られている品種です。元々は結構酸味を強く感じる葡萄ですが、南アフリカ産は比較的マイルド。さらにこのワインは樽熟成由来のちょっとクリーミーなスタイルが特徴になっています

A おすすめペアリングのブリーチーズに、樽香が相性抜群です! 

K ソフトなブリーチーズくらいがちょうど良く、夏にぴったりの組み合わせだと思います

脱サラ組のこだわりロゼ「ビッグ・フラワー ロゼ 2019」

ビッグ・フラワー ロゼ 2019
ビッグ・フラワー ロゼ 2019〈750㎖〉¥2,420/アフリカー(ボタニカ)

K ここも直輸入しているワイナリーで、造っているのはアメリカ人の女性です。元々彼女はNYでコンサル会社を経営しながら、個人的な趣味でワイン造りをしていました。M&Aでコンサル会社が買収されて、そのタイミングでこれからは趣味だったワインの仕事をしよう、世界中を巡った後に南アフリカに決め土地を買いワイン造りの道へ。花が好きな人なので、花も造って輸出したり、ワイナリーと一緒にホテル経営をしたりしています。

Z 全人類が憧れる夢物語ですよ! ドラマだって、うまくいきすぎてこんなストーリーは書けません。

K 確かに(笑)。キャリアウーマンでインテリなんですけど、やはりオーガニックにこだわっているので農業では苦労していましたね。

A このロゼは、香りがすごく良い! きれいなピンク色も気分を上げてくれます。

K カベルネフランで造った2019年のロゼ、今が飲み頃です元々あったフレッシュ感が落ち着いてきて、これから甘みが出てくるかな。余韻に少しだけ塩っけを感じられるのがユニークだなと思います

A ここのワインを直輸入しようと思った理由は?

K 彼女が造るシュナンブランのワインがめちゃくちゃおいしくて、最初はそれがお目当てでした。エチケットも花が描かれていてデザインが素敵ですし。

Z コルクにまで花が描かれているんですよ、おしゃれ〜! ギフトにも良いですね

K 南アフリカのひとつの特徴として、ワイン造りをやるぞって海外からやって来る人が結構多い。ワインのおいしさはもちろん、南アフリカのワインカルチャーの象徴として今回ピックアップしました。

Z サステイナブル、インディーズ、ボーダーレス! 南アフリカの進歩的なムードにも惹かれます。

K ペアリングはミニトーストにイタリア産トマトソースをつけたブルスケッタはいかがでしょう。このロゼにちょっとトマトを感じたので、合わせてみました。

A 先ほどおっしゃっていた塩っけですね、大正解の組み合わせです! トーストの香ばしさもアクセントに。

南アフリカらしさを堪能「トライ! ピノタージュ」

トライ! ピノタージュ
トライ! ピノタージュ〈750㎖〉¥1,485/アフリカー(マン)

Z ラグビーのエチケットですね! 名前の通り、トライしている様子が描かれたイラストがアイキャッチー。

K 3人の醸造家がやっているワイナリーで、彼らのパートナーの頭文字を取って「MAN」という名前に。高めのワインも造っていますが、一番お手頃なワインのトライシリーズも十分おいしいんですよ。

Z トライシリーズはどんな特徴がありますか?

K このワインに関してはピノタージュの特徴がよく出ていて、樽を少しローストして熟成させているのでスモーキーな感じが個性に。今年はラグビーのW杯があるので、ぜひこれを飲みながら気分を盛り上げて楽しんでほしいですね!

A ピノタージュは南アフリカの赤によく使われている品種と聞きますが、味的には?

K ピノタージュはピノノワールとサンソーを交配した品種。とはいえ、ピノノワールほど軽快なテイストではなく、もう少しボリュームがあります。果実味はチェリーや苺の香りはピノノワールっぽい

Z 葡萄本来のジューシーさと複雑味があって、¥1,000台というのが信じられません

K スパイシー味のナッツとペアリングしてみてください。ピリ辛のオリエンタルな味と、ワインのスモーキーなニュアンスが合いますよ。

A この組み合わせは気軽でうま〜い、ナイストライ! ラグビーW杯のテレビ観戦のお供はこれに決まりっ。

世界で躍進するシラー「ポークパインリッジ シラー 2021」

ポークパインリッジ シラー 2021
ポークパインリッジ シラー 2021〈750㎖〉¥1,980/アフリカー(ブーケンハーツクルーフ)

K 産地のスワートランドは評論家やコアなワイン好きの間で最近評価が上がっているエリアで、その理由のひとつがシラー。そういったトレンドも踏まえ、今回ご紹介したいなと思いました。

Z つまり、おいしいシラーが造られているということでしょうか?

K 南アフリカのシラーが世界的に躍進した背景にはいくつか理由がありますが、若手の醸造家が試みた新スタイルの登場が大きいですね。昔ながらのシラーは濃い味筋ばかりだったんですけど、軽やかなシラーを造ったら世界的にウケた。南アフリカのワインで、こんなエレガントできれいなワインを造れるのかとサプライズを与えました

A 確かにシラーはスモーキーで重いイメージでした。このワインは重すぎず、軽すぎず飲みやすい!このワイナリーはどんな造り手なんですか?

K ここは大手で、プレミアムワインからカジュアルなものまで造っています。南アフリカのハイクラスなワインの中では、一番売れているワイナリーなんじゃないかな

Z エチケットに描かれているのはハリネズミでしょうか? 産地に生息している動物ですか?

K これはね、実はハリネズミではないんですよ(笑)。ワイン名がポークパインなんですけど、ポークパインを訳すとヤマアラシ。ワインの売り上げの一部を、ヤマアラシの生態系研究費用に寄付しているんです。

A ヤマアラシだったとは!ワイナリーレベルでの環境保護への取り組みも素晴らしいですね。

K ペアリングはブルーチーズを。チーズはワインに合うイメージがありますが、もう一歩踏み込んで種類も合わせたいところ。青かびなら赤、ブリーみたいな白かびはクリーミーな白がおすすめです

お値打ちピノノワール「カトヴィス ピノ・ノワール 2020」

カトヴィス ピノ・ノワール 2020
カトヴィス ピノ・ノワール 2020〈750㎖〉¥2,750/アフリカー(ザ・フレッジ)

K 2本目と同じ造り手のピノノワールです。今回はエルギンという、南アフリカでシャルドネやピノノワールの銘醸地の葡萄を使っています。

Z インディーズ魂を感じるエチケットですね! ナマズが描かれているのは何か理由があるんでしょうか?

K ワインを造っている拠点にもナマズがいて、崇拝しているんですよね。ナマズは適応性があってどんなところでも生きていける魚だから、それをワインに表現したと説明しています。

A 飲み疲れない感じの味でおいしい! 夏場はどっしりした味のカベルネより、これくらいの軽快さが気分です。南アフリカ産ピノノワールの特徴はありますか?

K フランスの有名産地よりは暖かいので、果実味や甘みはフランスよりも強まりますね。でもカリフォルニアのピノノワールほど派手な味ではない。どちらかというとブルゴーニュ寄りの味で、バランス的には程よくておすすめです。

Z 控えめな感じだけど、垢抜けた味がします。水色もルビー色でめちゃくちゃきれい。ナマズのインパクトから、野趣溢れる味を想定していたのですが、すごくエレガントです! 

A このピノノワールのワインは¥2,750ですが、もしブルゴーニュ産だったら¥5,000以上ということでしょうか?

K このクオリティを求めたらそれくらいになるかなと。¥2,500〜3,000くらいのワインを探している時なら、南アフリカはおいしいものが揃っている価格帯なのですおすすめですよ

Z ペアリングはヘーゼルナッツ入りのサラミを用意していただきました。ピノノワールの程よいボリュームにぴったりですね。店頭では切り落としの生ハムを買うことができ、こちらも今度試してみたいです!

〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表します!〜

Z  南アフリカワインはMAX¥2,000台でこれだけのクオリティがあって、飲まないなんてもったい無い! なかでもまずビギナーが飲むなら、どのワインから始めるのが良いでしょうか?

K 白はシュナンブランで、ザ・フレッジの「フックスティーン」赤はピノタージュで、マンの「トライ! ピノタージュ」から飲んでもらうと南アフリカワインらしさも魅力も満喫してもらえるかと思います!

A アフリカーの店頭には有料試飲サーバーもあるので、気軽にテイスティングも。この機会にぜひ南アフリカワインをトライしましょう♪

アフリカー
http://af-liquor.com
03-6231-0264

【うち飲み向上委員会メンバー】 
小泉 俊幸
ANPAN代表取締役。JSAソムリエ。南アフリカのワインに特化し、卸売り業、小売り業を営む。「南アフリカワインをお茶の間へ」をテーマにお手頃で美味しい南アフリカワインを全国の皆様へお届け。

ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。

エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ3年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。

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