K サントリー生ビールは今年リリースされた新作です! サントリーといえばザ・モルツ、ザ・プレミアム・モルツで知られていますが、ザ・モルツ(缶)が販売終了になって次に誕生したのがサントリー生ビールなんです。
A 活躍が間違いない、ドラフト1位選手の登場じゃないですか! 期待値は高いですが、指名理由は?
K 味わいとしてすごくキレイにまとまっているなと思います。最近、どのビール会社もひと缶の満足感を上げる方向に。味わいの濃さや豊かさを感じさせながら、キレのある後味で飲み飽きない。ひと缶の中で味の曲線があるんですよね。
Z このサントリー生ビールもその路線ということでしょうか?
K そう思います。トリプルデコクションという、簡単にいうと麦の風味を引き出す製法を採用しているため、最初のアタックは味わいの強さがあるんですけど、後味は重たく残らない、どちらも両立しているのがすごい! だから飲み疲れないんです。
A バランスの取れた味という意味がわかります! 飲み応えがありながらすっと消えていく、いくらでも飲めそうな感じです。
Z パッケージに「生」と記載されていますが、これってどういうことなんですか?
K 生ビールと聞くと、サーバーから注がれるビールが生ビールというイメージだと思うんですけど、実際の意味は異なります。生かどうかというのは、缶か樽かに関係ありません。ビールを製品として容器に詰める際に、酵母の働きを止めたり、雑菌などの活動を抑制するために熱をかけるか、フィルターで除去しているかによります。ひと昔前のビールは熱処理をしていたので生とうたっていなかったんです。今の大手ビールのほとんどはフィルターでの除去を採用していて、熱は通していない。だから今日飲む大手のビールは基本的に生ビールなんです。
A なるほど、生ビールは居酒屋などでしか飲めないと思っていました(笑)。ペアリングのおすすめはいかがでしょう?
K はい。すごく広い大ホールみたいな場所で、ジンギスカンも食べられるんですよ! パッケージに描かれている、まさにこういうクラシカルな雰囲気のある施設になります。サマーピルスはサッポロビール園内のビヤテラスで飲めます(夏季限定)。
A うわ! ジンギスカンと爽快なサマーピルス、最高の組み合わせだろうなあ♡ 北海道以外でも夏期限定で飲めるというわけですね。ペアリングのおすすめはいかがでしょうか? ジンギスカン以外でお手軽に済ますならば。 K すっきりとした味わいのビールになるので、ペアリングというよりリセット効果を活かしたい。脂っぽい料理や、外でBBQして肉を食べたあとにこれでグビっと洗い流したら絶対おいしいです。日本人はビールを食中酒として飲む文化なので、それがちゃんと反映されていますね。
A 確かにサマーピルスは洗い流し効果最強です! 脂っぽい料理を食べたことまで帳消しにしてくれそうな(笑)。ちなみに缶ビールを、うちでよりおいしく飲む秘訣ってありますか?
K 買ってから、一日冷蔵庫で冷やして飲むのがおすすめです。取り出す時もなるべく揺らさないように注意してください
Z え! すぐ飲んじゃだめですか?
K ビールは炭酸を含むものなので、買ってきた当日は持ち帰りで振られた衝撃により、見た目に吹き出すことがなくても、水分の中にある炭酸が抜けやすい状態になっているんです。一日冷蔵庫に置いてあげるとそれが落ち着く。冷蔵庫でしっかり冷やされると、飲んでいる最中も温度も上がりづらいので、ピルスナービールならではの喉越しを長く楽しめますよ。
K キリン一番搾り 超芳醇は、サッポロビール園サマーピルスとは真逆の方向をゆくビールですね。キリンの定番、一番搾りといえば一番搾り麦汁だけを使って造るので味わい深さが魅力。超芳醇は、従来品よりも一番搾り麦汁をさらに高濃度に仕上げています。こちらも期間限定醸造です。
Z キリン一番搾り生ビールと味わいの傾向は同じということでしょうか?
K そうですね。日本には独自のラガー文化があると思います。大手メーカーの有名ビールは、種類でいうと大体がピルスナーというビアスタイル。日本人は突き詰めることが得意なので、同じピルスナーでも各社が味の違いを競い合ううちに、より洗練されたバリエーションのあるラガービールが増えている状況なんです。
Z なるほど〜! ぜひここで改めて大手4社の特徴を教えてほしいです。
K 代表的な銘柄を例に私なりに分類させてもらうと、サントリーのザ・プレミアム・モルツとキリンビールの一番搾りは麦のコクや味わいをしっかり感じさせるタイプ。サッポロビールのサッポロ生ビール黒ラベルはバランス型で、すっきりしながらある程度苦味もあります。そして、めちゃめちゃシャープかつ辛口系に仕上げているのがアサヒビールのアサヒスーパードライですね。
A ラーメン界でいうならば、キリンは天下一品。超芳醇は「こってり」の上をいく、「超こってり」でしょうか! 天下一品は大好きですので、リスペクトを込めています。濃い琥珀色とリッチな味わいが相まってご褒美感がありますね。
Z 柑橘類とビールは一般的に相性が良いと思いますが、日向夏とラガーは抜群。日向夏の清涼感のある酸味と、ラガー特有の喉越しの良さがたまりません!
K 九州CRAFT日向夏は、そもそものクオリティが高いんです。雑味がない、香りをうまくのせていて、こういうラガービールには滅多に出合えません。それをこの価格で買えるというのは素晴らしい!
Z しょーへいさんはフードペアリングインストラクターの資格も持っていらっしゃるんですよね! 実践しやすいビールとおつまみのペアリングのコツを教えていただけますか?
K 簡単に言うならば、いいペアリングに辿り着くコツは3つです! 1.ビールと料理の同じところを探す。例えば、柑橘を使ったビールには同じく柑橘を使った料理を合わせます。2.日常の組み合わせをヒントにする。燻製ナッツっておいしいですよね、この相性の良さを真似してスモークビールとナッツを合わせます。3.温度や食感、味わいにギャップをつける。熱々の餃子と冷えたビール、コクのあるポテサラに切れ味のあるビールなど、行ったり来たりの刺激が心地よいんです。
Z ビール×餃子の無限ループは行ったり来たりの刺激による快感だったのか、これは抗えないですよね! にんげんだもの。
A ちょっと、みつを風にまとめないで(笑)。おすすめのペアリングは何でしょうか?
K 1のコツに倣って、柑橘風味のあるポン酢はいかがでしょう。冷しゃぶや冷奴など、さっぱりとした料理がビールのテイストと合いますよ。