T 僕が初めてカルディに行った時に買った、ワイン第一号です! ワインコーナーで目にした瞬間、これだと思いました。ラベルを見るとエリアは「フランケン」、品種は「シルヴァーナー」、そして辛口を示す「トロッケン」と書いてあるので間違いない。熟成度を表す「カビネット」は一般的に葡萄がしっかり熟成していてちょっと甘い場合が多いんですが、トロッケンとついていることからドライでフードフレンドリーであることが読み取れます。
Z ワイン探偵がすごすぎる! こんな謎めいたボトル、迷宮入りと思われた事件が速攻で解き明かされました!
A どんなワインなのか想像が付かず、なかなか手は出せないよね。飲んでみると、ライムやグレープフルーツのような柑橘系の中でも酸味がきりっとした味わいがおいしいのに!
Z この瓶は生産エリア特有のものなんです。日本の人には珍しいだろうけど、そういうワインをあえてすすめるのが専門家の矜持でもあるので。しかもフランケンのシルヴァーナーなら通常はもう少し高いのでハイコスパですよ。今回をきっかけに急激に在庫が動いたら嬉しいですね(笑)。
A 棚を動かす男! すべてがクリアになったので、これからは迷わず買えます! おすすめのペアリングは何でしょう?
T イタリアの王様と言われるバローロ。長期熟成で作られるワインは高級感のある味わいが有名で、値段もはります。これは2018年のもので5年目に入るので普通はもっと高いから、破格の値段です! どれだけのクオリティなのか気になって飲みました(笑)。
A 飲んでみていかがでしたか?
T ネッビオーロという葡萄の個性が出ていてちゃんとバローロ、お買い得のワインだと思います。第3アロマといわれるアロマがバローロの特徴で、それはなめし革のような動物的な香り、マッシュルームやポルチーニのような土っぽいニュアンス、クローブみたいなスパイス感など。そういったアロマをちゃんと感じられますね!
A ペアリングは何が合いますか?
T バローロは、アルバという高級白トリュフで有名な街の近く。カルディでは白トリュフオイルを売っているので、それをカルボナーラにかけてぜひ。クリーム系のパスタにも赤のタンニンって結構相性が良く、本場イタリアではよくあるペアリングです! 高級路線でありつつも、だいぶお手頃に贅沢な味を楽しめる組み合わせです。
Z ところで、なぜバローロって大き目のワイングラスに入れるんですか? 貴族のお戯れではないですよね?
T 違いますね(笑)。グラスの大きさ=ワインのエネルギーの大きさ、なんです。シンプルで軽いワインは、大きいグラスだと香りが飛散して持て余すので、小ぶりのグラスが最適。逆にバローロのように、色んな香りがあるワインが小さいグラスだとその力を十分に発揮できなくなってしまう。あるはずの香りが感じられなくなってしまうので、大きなグラスで広げてあげる感じです。
T シャンパーニュ以上に、世界で今最も消費されているスパークリングワインがプロセッコ。プロセッコという名前さえあれば、ある種ハズレがないんです。
A コストコの回でも、プロセッコが大人気になったことにより爆誕したロゼプロセッコを紹介していただきました! それほどのトレンドになった理由は?
T 決してシャンパーニュの品質が下がったわけではないんですよ。プロセッコの方がさらに作り手によるクオリティに差がない、ということ。理由はプロセッコを名乗るための規定として、生産地がベネト周辺のエリアであること、品種や醸造の仕方が指定されていて、フルーティなスタイルということも決められているから、どうしたって味わいが似てきます。しかも長期熟成しないで、どんどん作ったら出荷していくからスパークリングとして手に取りやすい値段が可能に。
Z 高級酒でなく、どれを飲んでも味わいやおいしさにバラつきはないって嬉しいし安心! 果実味があって飲み飽きない味わいは、春夏の定番にしたいです。
T そうなんです、だから恐らく世界でウケたのかと! 泡が飲みたいと思った時に、プロセッコのこういった特徴を思い出してくれると選びやすくなりますよ。
A迷ったらプロセッコ、一か八かの博打買いは卒業しましょう!
T ペアリングはテロワール合わせで、「生ハムの切り落とし」にしました。プロセッコを生産するエリアは、南にパルマ、生ハムの産地であるサンダニエーレも近くて生ハムがよく食べられています。余裕があればパセリをのせ、ちょっとだけオリーブオイルをかけて食べるのがおすすめ。十分前菜として成立しますし、見た目も華やかになりますよ。