【サイゼリヤのコスパ最強ワイン】ソムリエ田邉公一さんがメニューから厳選した10本をお届け!

ソムリエが飲み比べ! 選んで間違いなしの鉄板ワインをセレクト

SPUR.JPで連載中の「うち飲み向上委員会」で紹介した、サイゼリヤのワインにフォーカス。ソムリのエ田邉公一さんがセレクトした1,000円〜2,000円台のとっておきのワインを10本ピックアップ。酒好きの間で高い支持を集める「サイゼリヤ」の定番ワインと、限定店舗ワインをチェックして!

乾杯からいける! 微発泡の赤「ランブルスコセッコ」

ランブルスコセッコ
ランブルスコセッコ〈750㎖〉¥1,100/サイゼリヤ

A トップバッターは微発泡のランブルスコ。なんといって飲みやすさが魅力、高級スパークリングに比べて価格が手頃なことも嬉しいんですよね〜。

T とはいえ、このランブルスコセッコの¥1,100という価格には驚きました。安すぎます!! ランブルスコはテーブルワインなので、ラフにタンブラーグラスとかで飲んでもOK。そういう意味でも、イタリアのカジュアルな食卓をイメージさせるサイゼイヤのスタイルとバッチリ。

Z 後ほどロゼのランブルスコも紹介しますが、こちらは赤ですね。そもそもランブルスコは、どうしてリーズナブルなんでしょう!?

T 種類は辛口も甘口もあり、赤とロゼがほとんどですが、白も造られていますよ。ランブルスコはタンク内二次発酵で、プロセッコと同じ醸造方法です。熟成なしでリリースするので、軽快な味に。一度にたくさんのワインを生産することができるためコストダウンがしやすく、リーズナブルな価格での提供が可能に。長期熟成するのではなく早飲みするワインなので、じゃんじゃん飲むのが正解です。

Z このランブルスコセッコは渋みが少なく爽やかな飲み心地。我らのジェダイマスター、田邉さんの教えの通り、じゃんじゃんグラスが進みます! 飲むタイミングとしては前菜から飲みたいですね、最初の一杯として。

T ランブルスコはいい意味で造り手によって大きく品質に差がないワイン。シンプルでフレッシュ&フルーティな味わいが特長です。これは比較的酸味が立っていて、ドライに仕上げているタイプ。食中酒向けに造られていますね

A ペアリングは何を合わせましょう?

T ランブルスコの主要産地はエミリア・ロマーニャ州。この辺りにはパルマという街があって、パルミジャーノチーズとか生ハムなどの食材で有名です。テロワール合わせで、ランブルスコと生ハムのペアリングはすごく相性がいいんですよ。

Z では、まず「生ハムとバッファローモッツァレラの盛合せ」をオーダーしましょう!

T いいですね。メインはパンチェッタ入りの「パルマ風スパゲッティ」がベストマッチ。トマトやきのこも合うので「野菜ときのこのピザ」もおすすめですよ。

規格外のプライスとおいしさ! 「マグナム白」

マグナム白
マグナム白〈1,500㎖〉¥1,100/サイゼリヤ

T 1500mlで¥1,100ですよ! これは規格外。一般的にグラス一杯は100mlなので、およそ15杯飲めます。

Z 先日行った銀座のワインバーは、グラスワインが¥1,500スタート。グラス一杯よりも安いマグナムボトルってどういうこと!? このマグナムボトルの凄さを表すならば規格外なあの人しかいない、『呪術廻戦』の五条悟です。マグナムボトルに五条が封印され、サイゼリヤ事変が起きました。

A ありえない価格だけど、マグナムボトルは特級呪物じゃないし、事変は起きてません(笑)。ここはピースフルですよ。サイゼリヤのハウスワインは、赤・白ともにイタリアの契約ワイナリーで造られているオリジナルなんです。グラスだと¥100。自販機の水より安いってもう入店とともに飲むしかない!

T めちゃくちゃ安いけど、品質的には全く文句をつけるところがありません。イタリア中部のモリーゼ州で造られていて、葡萄畑には地中海からの海風が。香りはニュートラル、柑橘系の爽やかなフレッシュな味わいでドライな仕上がりです

Z 味わいはマスカットっぽく、清涼感があってグビグビいけますね。これはもう大人のポカリです。

A 中の人のお話によると、ゴルフ帰りの人などが打ち上げ的に利用するケースは多いみたいだよ。このメガサイズボトルが出てきたら、確かにテンションが上がるよね。

T 海外ではある程度人数がいて、たくさん飲みたい時にマグナムボトルを頼むことは多くて、やっぱりこれだけ大きいと盛り上がりますよね。サイゼリヤは現地の暮らしをすごく意識していて、文化を広めるという意味合いでもマグナムがあるのではないかなと思っています。

A ボトルは持ち帰ることができるから、デキャンタを頼むか悩むなら、マグナムいっちゃいましょう! 店内で3杯くらい飲んで、家に帰ってまた飲んで! ペアリングはいかがでしょうか?

T  イキイキとした柑橘のフレーバーに塩味が伴っていて、サラダや前菜にぴったり。「グリーンサラダ」、「モッツァレラトマト」、「柔らか青豆の温サラダ」とヘルシーなペアリングをどうぞ。

シーフードの気分にはコレ一択「ベルデッキオ」

ベルデッキオ
ベルデッキオ〈750㎖〉¥1,100/サイゼリヤ

T この白に使われているベルデッキオという葡萄は、シーフードと抜群に合う品種なんですよ。

Z イタリアの土着品種ですか?

T はい、マルケ州の地元品種で、アドリア海に接しているエリアです。魚型のワインボトルを見たことないですか!? あのボトルに使われている葡萄がベルデッキオ。海の香りとか、塩気を伴うような爽やかな味わいが特徴的。もともとリーズナブルな品種ですが、それにしてもサイゼリヤは安いですね(笑)。

A あの魚ボトルと同じ品種なのですね。フローラルなアロマとグレープフルーツを思わせる果実味、夏っぽい味がする〜。

T サイゼリヤなら「小エビのカクテル」や「ムール貝のガーリック焼き」とぜひ。海沿いのレストランで食べるようなペアリングを楽しんでください。クリーミーな味付けより、あっさりオイル系や柑橘の風味が合うので、メインは「スープ入り塩味ボンゴレ」でいかがでしょう!

リピートしたくなる心地よい甘口「ランブルスコロゼ」

ポルタ カルメネール
ランブルスコロゼ〈750㎖〉¥1,100/サイゼリヤ

T ランブルスコロゼはチェリーやシナモンの香りが広がって、ほんのり甘く、デザートとのペアリングがイチオシ。とはいっても、チョコとの組み合わせはミスマッチ。ランブルスコには、濃厚で重い味付けは合わないので、軽やかな味のものがおすすめです。家だったらフルーツ盛り。サイゼリヤだったら「ジェラート&シナモンプチフォッカ」と一緒にどうぞ。

Z ベッタリとした甘さの甘口ワインは苦手だけど、ランブルスコ ロゼのストロベリーのような甘さはおいしいです! 酸でキュッと引き締まる。

T これはドルチェワインとエチケットにも書かれているように、残糖感がありますね。8%の低アルコールというのもポイントです。ワインを飲みなれていない人も素直においしいと思えるはず。

A デザート以外のメニューと合わせるのは難しいでしょうか?

T 甘口が好きな人なら食中も問題なくペアリングできますよ、微発泡かつ酸があるので最初の一杯にもぴったり。「爽やかにんじんサラダ」や「モッツァレラトマト」など、フルーティな甘みがあるメニューに合います。

肉料理のベストパートナー! 「キャンティ ルフィナ リゼルバ」

キャンティ ルフィナ リゼルバ
キャンティ ルフィナ リゼルバ〈750㎖〉¥2,200/サイゼリヤ

T サイゼリヤで提供しているワインは、すべてイタリアワイン。イタリアの赤ワインの代名詞ともいえるキャンティも押さえていて、さすがです。キャンティを造っているエリアの中には、格上とされる7つの特定地域があります。このワインの産地であるルフィーナは、その選ばれし特定地域のひとつで有名。メニュー表の説明に、大樽で3年間熟成という説明書きがありますが、これ相当すごいですよ!

A さらっと記載されていて見逃しそうですが、皆さん注目ポイントです! つまり、どういうことですか!?

T 葡萄が強くないと酸化熟成に耐えられないので、イコールいい葡萄を使っているということ。そして熟成させることにより、より複雑性のある風味が生まれます。味わいも落ち着き、よりまろやかに。それで¥2,200は考えられないですね。ちょっと高いワインを飲みたいなという気分や、ワインラバーのニーズを満たしてくれる一本だと思います。

Z 少しタンニンを感じる、チョコレートっぽいニュアンスがあります。柔らかな口当たりで、フードフレンドリーな赤ですね。

T ランブルスコの軽快な味には、ソーセージやハムのような適度に脂質のある加工肉が合いますが、脂がもっと多い食材にはこのキャンティがおすすめ。シンプルな味ではなく、深みと複雑性を感じられ、タンニンと酸の豊かさががこってりとした脂と合うんです

A おっしゃる通り、お肉が食べたくなる味わいですね。「ミートソースボロニア風」といただけば、エナジーもフルチャージ!

T キャンティはサンジョベーゼという品種が使われています。サンジョベーゼは、トマトの香りがするとか、黒オリーブの香りとよく評されるんです。酸味もちょっとトマトっぽいので、トマト系のパスタとのペアリングは間違いなし! 牛肉100%の「イタリアンハンバーグ」もおすすめ。肉の旨みと熟成からくる溶け込んだタンニンが合いますよ。

肉料理に合わせるならこれ一択「キャンティ」

キャンティ
キャンティ〈750ml〉¥1,100/サイゼリヤ

Z この「キャンティ」は全店舗で取り扱っている定番です。どうぞ!

T ちょっと余韻が酸っぱいでしょう? これが葡萄のサンジョベーゼらしさなんです。赤ワインなんですけど、後味に酸が残る感じ。より重厚なタイプである「キャンティ・クラシコ」と比べると、ライトな感じに仕上げていてフルーツ香も赤いベリー系

A 飲みやすいですね。果実味が主体で甘酸っぱい印象

T でもね、「キャンティ」は基本的に辛口なんですよ。タンニンはきめ細やか、樽熟成のニュアンスをつけず比較的フレッシュな味わいが特徴です。キャンティをブラインドで飲むと、ピノ・ノワールと間違える人もいるくらい

Z そして田邉さんおすすめの「ソーセージピザ」とのペアリングがうま〜! 
T トスカーナ州の赤ワインはソーセージともよく合います。家でベーコンとトマトソースのパスタを作るのもいい。ペアリングがうまくいくと、味が立体的になるんですよね。第三の味みたいなものが出てくる。僕はサイゼリヤこそ、ペアリング次第でおいしさが倍増すると思います。

A お手頃価格でぐびぐびいけるので、皆さんもぜひペアリングをあれこれ試してみて!

おいしさがワンランクアップ! 華のある白「バケレット」

バケレット
バケレット〈750ml〉¥2,200/サイゼリヤ

Z サイゼリヤには、ワンランク上のスペシャルワインを提供する店舗があるんです。とはいっても市場に比べれば、リーズナブル! お酒好きなら、ちょっと足を延ばしてでも試してほしい。

T 僕もずっと気になっていたんです。この白ワイン「バケレット」は中部イタリアの代表的なワイン産地であるマルケで造られていて、品種はベルデッキオ

Z アロマティックな香りですね、おいしい!

T 本来は柑橘っぽさやディルとかのハーブのニュアンスが特長的な葡萄ですが、このワインはより華やかに仕上げていますね。青リンゴやマスカットの香りと、フローラルなニュアンスがあり、飲んだ時はまずジューシーな果実の甘みが印象的。そしてきれいな酸があり、後味は爽やかです

A バケレットは¥2,200! サイゼリヤでは高額カテゴリに入りますが、外食で¥2,000台はお安い。

T フルーツの熟れた感じもあり、単純に軽快なワインというのではなく、¥5,000〜6,000ぐらいのポテンシャルがあるおいしさだと思いますよ

A ワインに合わせたのは、「バッファローモッツァレラのマルゲリータピザ」。ペアリングのポイントは?

T マルゲリータの発祥はナポリで、そのエリアで造られているフィアーノというワインとバケレットのフレーバーが似ているんです。そしてマルゲリータはピザの中では軽やか。トマトソースの酸味やフレッシュチーズの爽やかさが、白ワインと合う

Z 確かにマルゲリータは白ワインが合いますね! これまでなんとなく、ピザには赤ワインを合わせがちでした。

T トマトソースと白ワインは意外と合うんですよ。あるいはロゼかな。キンキンに冷やすと香りの個性を抑えてしまうので、冷やしすぎないようにご注意を。

昼も夜も! スパークリングで乾杯「ドンラファエロ」

ドンラファエロ
ドンラファエロ〈750ml〉¥1,100/サイゼリヤ

T このスパークリングワインは全店舗で飲むことができる1本。プロセッコ的なワインを狙ったんじゃないかな。カジュアルで手頃、幅広い料理にマッチして、多くの人がおいしいと感じるタイプです。

A スパークリングワインがボトルで¥1,100! めちゃめちゃお値打ち価格ですが、泡として味わい的には合格点ですか?

T はい! ほどよい酸があり軽快、青リンゴっぽい香りでフルーティ。誰からも嫌われない味で、昼からぐいぐい飲みたい感じですね。最近、サイゼリヤ創業者である正垣泰彦さんの著書を読んだんです。値段を考えずにとにかく好きなものを頼んでほしいというのがお店のコンセプトだと仰っていて、それはすごく幸せなことだなと思いました。好きなものを気にせず食べられたら、よりおいしく感じられますから。

Z ワイン好きでこだわりたいという人は、スペシャルワインをオーダーして、あれこれ考えずに頼みたいという人はグランドメニューから気分でチョイスしてもいい。ニーズに合わせて、差別化できているのが素敵ですね。

A スパークリングワインは良い意味での甘みがあって、飲みやすい

T キンキンに冷やしていただくのがおすすめです

A ペアリングは「たっぷりコーンのピザ」。意外なチョイスでした!

T ホワイトソースと白葡萄の組み合わせにしたくて、このメニューを選びました。肉系の脂ではなく、コーンでフレッシュに。互いの甘みが合いますよ。家で料理するならコーンバター、ツナコーンのサラダなどを作ってみてはいかがでしょうか。

お手本みたいな赤ワインの味「マグナム赤」

マグナム赤
マグナム赤〈1,500ml〉¥1,100/サイゼリヤ

T 前回は白の「マグナム」をいただきましたが、赤の「マグナム」も飲んでみたいなと思いまして。産地のモリーゼはすごく小さな州。イタリア半島をブーツで例えると足首あたりに位置し、白の「マグナム」も同じ場所で造られています。トスカーナのキャンティ、ピエモンテのバローロなどメジャーなワイン産地と比べると、穴場的存在かな。

Z 店頭で提供しているグラスワインは、1杯¥100なんです。「マグナム」には同じハウスワインが詰められているのですが、1,500mlあるので1杯100mlとして、グラスあたり¥73くらいの換算になる。つまりマグナムはめちゃお得!!!

T リーズナブルなワインでありながら、全体としてのバランスの良さを感じます。中庸さが個性となっていて、テーブルワインとしてすごく優秀

A 安心・安定感が抜群ですね。

T 品種の記載はされていなかったんですけど、おそらくモンテプルチアーノを使っているのではないかと推測。中部イタリアのメイン品種ですね。適度にタンニンがあり、まろやかな酸味、地中海性気候による熟した葡萄の味がちゃんとします。

A ペアリングは「ミラノ風ドリア」をおすすめされていますが?

T サイゼリヤの人気定番同士のペアリングにしました! このワインのコンセプトは、メニューにも記載しているように“何にでも合う”。ミラノ風ドリアとはミートソースの風味と、赤ワインのニュアンスがマッチしますよ

Z 開封した「マグナム」は早めに飲みきりたいところですが、何かアイデアはありますか?
T 赤ワインをジンジャーエールで割る、キティというワインカクテルがおいしいですよ。1対1の割合で、氷も入れてOK。清涼感があり、アルコール度数も下がるけど、赤ワインの香りは楽しめます。

ファミレスの常識を変えるリッチなテイスト「サリーチェサレンティーノリゼルバ」

サリーチェサレンティーノリゼルバ
サリーチェサレンティーノリゼルバ〈750ml〉¥2,200/サイゼリヤ

Z こちらの赤は限定店舗のスペシャルワインです!

T やはり高級感がありますね。香りも複雑で、凝縮感がある。産地は南部のプーリア、品種はネグロ・アマーロと記載されていて、地元で有名な葡萄品種で造られています。「ネグロ」は黒い、「アマーロ」は苦いという意味。ブラックベリー系の凝縮した果実味とコク、あとフルーツの熟した甘みがありますね

A 熟れた感じ、わかります! 太陽をいっぱい浴びていそうな、たっぷりとした果実味。スペシャルワインはこちらで2本目、今までのところ印象はいかがですか?

T 洗練された味がしますよね。ワインラバーも十分に満足できると思います。ただ、これだけのクオリティならガラスのワイングラスがあったらいいのにな。ガラス製で口がすぼまったグラスで飲むと、おいしさが上がるはず。

A 確かにこのおいしさでプラスチックというのはちょっともったいない気がします。

Z ペアリングは「辛味チキン」と。ソフトドリンクと飲んだらスナック的に楽しめるけど、ワイン合わせだとぐっと深みが出るような。これが第三の味か〜っ!

T 辛味系の味わいって結構ペアリングが難しいんです。タンニンが強いと、辛味が立ってしまう。ワインの甘みで包みこむようなイメージで、この組み合わせにしました。一緒に食べると、甘辛い系の味が楽しめる。家でチョリソーを焼いて、おつまみにするのもおすすめ