photography: Kazuhei Kimura styling: Tomoko Kojima hair & make-up: Tamae Okano Interview: Tomoko Ogawa あまりフィクションで泣かない方なのですが、なぜか杉咲さんのお芝居ではよく泣いてしまいます。壮大なBGMの響く「ここぞ」というシーンだけでなく、特に何の演出もない、さりげない瞬間でぽろぽろ泣いてしまうことも少なくありません。ここ数年、「どんなふうにカメラの前に立つのだろう、いつか杉咲さんのファッション・シューティングをしてみたいな」と考えていました。そんな願いが叶ったのが11月号の「ミーツ・ザ・レッド」です。 テーマのもととなった映画「ミーツ・ザ・ワールド」は、金原ひとみさんがSPURで連載していた小説が原作。リアルタイムで読んでいる時は、その斬新な設定そのものを面白く読んでいたのですが、改めて小説を読み返し映画を観ると、一見特殊な関係の中に知っている感情がたくさん散りばめられていて、他人事のようで遠い世界の話ではないと気がつきました。杉咲さんをはじめとする役者の皆さんのお芝居の力も相まって、グッと胸を突かれる作品です。 本作で主演を務める杉咲さんを、忙しいなか福島県に連れ出してのロケ撮影。事前にご相談していたものの、猛暑のなか冷房も効かず、移動距離も長く、なかなかハードな現場でした。しかし当の杉咲さんは、初めて訪れる新しい場所や、今シーズンの新作衣装に興味津々。ニコニコしながらスタッフみんなと朗らかなコミュニケーションを交わし、撮影準備は始まりました。 いざカメラの前に立つ瞬間も、所謂「パチッとスイッチが切り替わる」という感じではありませんでした。とても自然体で、さらさらと立ち位置につき、最初からこの場所にいたかのように穏やかに撮影は進んでいきました。今回はフィルムでの撮影だったので、杉咲さんもスタッフもモニターを確認しないまま。撮影だけに集中する、あまりにも楽しい時間が流れていたのですが、現像した写真には私たちが思い描く“新しい”杉咲花さん像が最高の形で表現されていました。 この企画には、場所も服も全部自分のものにして、強く自身の存在感を放ちながらも新しい杉咲花さんの肖像があります。彼女を日頃応援している方はもちろん、彼女のお芝居を信じている人にもぜひ見ていただきたいなと思っています。つい写真について話りすぎてしまいましたが、自分自身の言葉で丁寧に紡いでくださったインタビューも必読です。 10月24日より公開する映画「ミーツ・ザ・ワールド」と合わせて、楽しんでいただけると幸いです! SPUR11月号の予約はこちら Amazon 楽天ブックス タワーレコード HMV&BOOKS online