AIと結婚する選択は、私たちを救うか?(編集I)

video direction: Soshi Nakamura videography: Ryuichiro Imae lighting: Yusuke Nakada music: Ryo Konishi〈Zoo-Min-Sha〉 sound engineering: Seiji Morita〈Vanilla House Sound Lab.〉 photography: Shun Komiyama styling: Naoko Shiina〈Tiber Garden〉 hair: Miho Emori〈KiKi inc.〉 make-up: UDA〈mekashi project〉  painting: Manabu Sakuraba model: Nancy, SEED-Noid-Mover〈THK〉 cooperation: Motoeigakan, Lead-gen, Annie Fuku

動画と誌面でお届けするSPUR10月号の「AIに恋して~ロボットをパートナーに、という選択」。これはとても挑戦的な特集でした。きっかけは、一人の音楽ライターさんの言葉でした。「30代後半にさしかかり、これから結婚する予定もありません。一人で老いていくのはなんだかなぁ、と考えたとき、将来的にAI搭載型のロボットをパートナーにする選択肢があるならば、私のような孤独な人の救いになるのでは、と思うんです。そういう近未来のファンタジーをSPURで特集しませんか?」とのこと。これは面白い!ということで、実現に向けて動き出しました。そこからマイクロソフトとNTTレゾナントのAI研究者の方にコンタクトを取り、インタビューに協力していただきました。現段階の研究で「AIと恋する未来」はどの程度可能性があるのか、ということについてお話いただいています。

と同時に、ファッションストーリーの撮影協力のロボット探しが始まるのですが、これが困難を極めました。10社ほどに連絡したものの「研究室から出せない」「アメリカからの輸送費用が100万円かかる」「当社のロボットは人間のアシストとして開発しているため、ロボットと人との一対一の関係、という企画には貸出しできない」など、さまざまな理由で断られてしまいます。諦めかけたころ、THKという機械部品を製造する会社がこの企画に興味を持ってくださいました。THKが開発したSEED-Noid-Moverというロボットは、人間による遠隔操作で動くプラットフォーム型ロボット。今後のソフト開発次第では将来的にAI搭載も可能だそうです。下半身は車輪となっているため道路の上でも走ることができます。腕、首、指、腰、膝を実になめらかに動かすことが可能。人間らしい「機微」を表現するのにぴったりです。こちらはモデルであるナンシーと一緒に大きなキャンバスにペイントするシーン。

刷毛をしっかりと握って描く姿には心底驚きました。あまりに人間らしい動きに、撮影しているうちに、思わずこのSEEDには感情が宿っているのでは?と錯覚してしまうほどでした。

AIの開発では、孤独な人の生活を癒す用途が注目されているにも関わらず、タブー視されているのが現状です。その是非に関してはもちろん議論がなされるべきですが、ひとつの問題提起として、SPURはこの架空の物語を送りたいと思います。ストーリーは、共生、記憶、芸術、性、感情、共感、という6つのテーマを背景に進みます。ぜひ動画と誌面でじっくりお楽しみいただければと思います。

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