「服好き」は必読。世界のデザイナーが語るモードの行方(編集I)

その数、実に23組です。シュプール8月号の「デザイナーたちは希望を紡ぐ」特集には、日本はもちろんアメリカ、パリ、ミラノ、アフリカ、上海まで世界中のデザイナーがインタビューに応じてくださいました。コロナ禍の打撃によって、ファッション業界全体が従来のコレクション数やスケジュールを見直す必要に迫られています。それはまた、持続可能な社会に向けた取り組みをいよいよ本格化する原動力にもなっています。どのデザイナーも現在のファッション業界に問題意識をもち、また同時にファッションの明るい未来を信じています。その言葉はとても強く、ファッション業界に携わる人、そして服を愛する人ならば、今何よりも読みたい特集となりました。

インタビューの中から、デザイナーの言葉を抜粋して紹介します。
「ファッションは文化の鏡であり、社会へのリアクションでもある。今、世界で起こっていることに注意を払わず創造を続けるのは大きな間違い」(トム・フォード)
「新作を披露するという意味でのショーはほとんど誰もやっていない。現代のショーはマーケティングの場であり、ブランドとそのフォロワーがコネクトする場。そして問題提起の場」(ヴァージル・アブロー)
「実はもうそんなにたくさんは要らない、ということに、皆気づいたんじゃないかな」(フィリップ・リム)
「自分の信念とビジョンのために立ち上がるのです。それこそが、他人とは違うボイスをあなたに与えるのだから」(スチュアート・ヴィヴァース)
「医療従事者は働きづめで、家族と話す時間もない。だから、携帯電話も収納できるマルチポケットがついたベストが欲しいと依頼され、3日間で制作し医療現場に届けました」(アニヤ・ハインドマーチ)
「僕らはデザインするとき、これは理にかなった服か?と考える。服は抗うつ剤でも、注目されるための手段でもない」(クリストフ・ルメール&サラ リン・トラン)
「新しい服の生産を減らし、ショーの回数を減らし、旅を減らす。縮小、減少、削減。それは意味ある未来のための、より良い思考に他ならない」(マリーン・セル)

同じことを言っている人は誰一人としていません。今後のウィズコロナの世界で服を作り、売り、選び、そしてまとうためのヒントとなる、珠玉の言葉が満載です。
最後に、コロナ禍の中でリモートインタビューに応じてくださった23組のデザイナーの皆さんと、ブランドの関係者の皆様に心より御礼を申し上げます。ご協力くださった方々のお名前は、上の画像でご確認ください。

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