「服が余っている現代においては、社会的に意味のある服をデザインしなければ価値がない」そう淀みなく話すのは、CFCLの代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介さん。コンピュータープログラミングで編んだ彫刻のようなシルエットのニットウェアが一躍話題を呼び、デビューからわずか1年半でパリコレへの進出を果たした、今もっとも勢いのあるデザイナーのひとりだ。「現代生活のための衣服(Clothing For Contemporary Life)」と銘打つ優れたデザイン性と機能性もさることながら、ファッション業界が直面する人権や環境にまつわる問題にも真摯に向き合い、環境負荷を軽減する服作りを目指している。
2022年7月、世界的な認証制度「Bコーポレーション(以下、Bコープ)」を日本のアパレル企業として初めて取得し、さらなる注目を集めたことは記憶に新しい。洗練されていながらも、社会にとってベネフィットのある服を提案するCFCL。気鋭ブランドのトップが見据えるファッションの未来とは? 10月にオープンしたばかりの表参道の旗艦店で、話を聞かせてもらった。
評価されたのは、コンピュータープログラミングニットがもたらすビジネスインパクト
2030年までに温室効果ガス排出量「実質ゼロ」を目指して
「Bコープ」は、認証を取得したあとも3年ごとに更新が必要となる。取得すればめでたしというわけではなく、大事なのはそれを維持できるかどうかだ。CFCLは、2030年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にすることを目標に掲げている。そのためにファーストシーズンから実施しているのが「ライフサイクルアセスメント(LCA)」。原料調達から生産、流通、販売、着用(洗濯機の使用)、そして廃棄に至るまでの一連のライフサイクルにおいて発生する温室効果ガスの量を測定する手法で、国内ではアパレル業界初の導入となった。
再生素材を“売り”にはしない
「Bコープ」を取らないという選択肢はない
1985年生まれ。2010年に三宅デザイン事務所に入社後、2013年に「イッセイ ミヤケ メン」のデザイナーに就任。2020年に独立し、CFCLを設立。2021年に「第39回毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞」および「ファッション プライズ オブ トウキョウ 2022」を受賞。VOL.4(2022年秋冬)コレクションより、パリファッションウィークでコレクションを発表している。








