廃棄する資源に新たな命を吹き込み、付加価値を与えるアップサイクル。すでに多くの企業が実践しており、その技術は日々進化を続けている。もちろんビューティ業界も例外ではなく、近年注目されているのが香水原料のアップサイクルだ。原料の再利用、もしくは製造時に出る副産物を再抽出して新たに作られた成分は、通常の香料よりも複雑で豊かな香りを生み出すという一石二鳥な側面も。本記事では、ヴィーガンフレグランスを手がける英国ブランド、ミラー ハリスが開発したアップサイクル原料にフォーカス。伝統的なルールに縛られない、未来あるものづくりの魅力に迫る。
自然を第一に考えた、ヴィーガン志向のフレグランスメゾン
コロナ禍を経て、香水をよりパーソナルなものと捉えるようになった人は多いだろう。まわりにどんな印象を与えるかよりも、より自分らしく、心地よく感じられる香りを求める傾向にある。ではその香りは、地球にとっても心地よいものなのだろうか。SDGsへの取り組みが加速する中、香水の製造過程における環境負荷にも目を向けたいところだ。
天然の香料として広く知られているエッセンシャルオイル(精油)は、香水を作る上で欠かせないものだが、そのオイルを抽出するためには大量の植物が必要となる。例えば希少なローズオイルの場合、1ccを抽出するために使われるバラは2,000本以上。大量の植物が消費されるということはつまり、それらを育てるために大量の水がいるということ。栽培後、エッセンシャルオイルを抽出する蒸留過程でも多くの水が使われている。
さまざまなニュアンスを含む、アップサイクルローズの馥郁たる香り
ヴィーガン志向に加えて、環境保全にも真摯に向き合うミラー ハリスは2022年、ブランド初のアップサイクル原料を配合した「ミリカミューズ オーデパルファム」を発売した。華やかな赤いベリーを用いて、食前酒をモチーフに調香されたフルーティ フローラル ムスク調の香りには、トルコ産ダマスクローズとインドネシア産パチョリのアップサイクル原料が使われている。
水の無駄遣いを減らすべく、セージの芳香蒸留水を代用した最新作
2023年6月に発売される「イドラ フィグ オーデパルファム」にも、新たなアップサイクル原料が使われている。「ミリカミューズ」とは打って変わり、フルーティなフィグ(イチジク)を中心に、シトラスとウッディノートが調和する爽やかな香りに仕上がっている。「エーゲ海の真珠」とも称されるイドラ島をインスピレーション源に、穏やかで複雑な調香の中に溶け合うのが、アップサイクルのハイドレイト セージとオークウッドだ。




