欧州を中心にグローバル展開している、スキンケアブランドのSENSAI(センサイ)。自然や人との関わりを大切にしながら、「丁寧に、繊細に生きる」精神こそが真のラグジュアリーであるという考えのもと、メイド・イン・ジャパンにこだわったものづくりを続けている。デビューから40年となる今年、この理念をより深化させ、具現化するための取り組み「Japanese Sustainable Luxury(ジャパニーズ サステナブル ラグジュアリー)」が始動した。SENSAIが追求する持続可能な世界観に触れてみたい。
坂 茂氏が手がける、再生可能な木材を有効活用したポップアップ空間
自然への敬意と感謝を込めて、物を長く美しく使い続けるという価値観は、今やブランドの重要な基盤となっている。SENSAIが今秋新たに打ち出した「Japanese Sustainable Luxury」の取り組みは、大きくふたつ。ひとつは、再生可能な資材を使ったトラベリングポップアップイベントの開催。解体時に廃棄物が大量に出てしまうという従来のポップアップイベントが抱える課題へのアプローチとしてスタート。2023年秋からヨーロッパ各国を巡回している。
空間デザインを手がけたのは、建築家の坂 茂氏。紙管を木材の代替材料として使用したウクライナの人々の避難所をはじめ、難民や被災者のためのシェルターを数多く手がける社会活動家としても高く評価されている。自然や人との関わりを大切にするSENSAIのフィロソフィーに坂氏が賛同するかたちで、今回の取り組みが実現した。
木を主役にしたクリーンでモダンなポップアップ空間は、L字型の合板を組み立てて構成される。この仕組みは、施工や解体を容易にするだけでなく、輸送量もコンパクトになるため、CO2排出量削減に貢献。解体後、木材を何度でも再利用できる上に、各会場に合わせて空間のサイズを柔軟に変えられることから、資材の無駄を極力抑えることにもつながる。
今回のポップアップイベントは、2023年春のアムステルダムを皮切りに、ミラノ、マドリード、チューリッヒを巡回(日本での開催はなし)。イベント終了後も木材が廃棄されることはなく、坂氏が設計したフランスのポンピドゥー・センターのような、子どもたちのアトリエ展示スペースや読書スペースの資材として再利用するプランが検討されている。
使う人と物の美しい関係を築く、京都の老舗・開化堂とのコラボレーション
「Japanese Sustainable Luxury」の一環として始まったもうひとつのプロジェクトが、日本の伝統的なものづくりにフォーカスしたプロジェクトだ。世代を超えて受け継がれる匠の技術、人と人との絆を讃えるべく、日本で最も古い歴史を持つ京都の手作り茶筒工房、開化堂とコラボレーションしたスペシャルパッケージのクリーム(2つのレフィル付き)を、欧州と日本で数量限定発売した。
開化堂の茶筒と同じ製法で手作りされたケースは、手を離すと力を加えずとも蓋が静かにゆっくりと閉まっていく。その研ぎ澄まされた意匠と、なめらかな動きは、1875年の創業当時から代々守られてきた独自の製法があってこそ。長く使い続けるうちに色合いが変化し、ツヤが増していく、表情の変化も味わい深い。日々の暮らしの中でうつろいでゆく美を堪能できる、至高の逸品だ。
日本固有の自然の恵みと先端科学が生み出した、プレミアムなスキンケア体験
カネボウ化粧品として、ロンドンの高級百貨店・ハロッズで販売を開始したのが1979年。その後、SENSAIは1983年にヨーロッパでスタートした。日本の「ものづくり」と「おもてなし」を原点に、茶道からインスパイアされたスキンケアリチュアル“Saho”を提案。ダブル洗顔、ダブル保湿を中心としたスキンケアを心を込めて行う、独自の美意識が評価され、欧州のラグジュアリー志向の人たちから厚く支持されるブランドに成長した。
ブランドの核となるのは、小石丸シルク。蚕の希少種である小石丸から生まれる、上質で繊細な絹糸だ。日本国内で養蚕できるのはたった2ヵ所。飼育が難しく、出荷も厳しく管理されていることから、“幻のシルク”とも呼ばれている。SENSAIのスキンケアアイテムには、この小石丸シルクから抽出した保湿エキスが配合されている。もともと繊維業としてスタートした鐘紡は、絹糸を紡ぐ過程で廃棄されていた材料から化粧品の成分を開発し、それを化粧品へと応用することに成功した。こうした自然の恵みを大切にするという考えをSENSAIは受け
継ぎ、ブランドのDNAにしっかりと織り込んでいる。
2013年には、最高峰スキンケアシリーズの「ULTIMATE(UTM)」が誕生。希少な小石丸シルクの保湿エキスと、卓越した生命力で知られる桜の保湿エキスを組み合わせた独自のフォーミュラを作り上げ、ブランドのラグジュアリー基準を引き上げるアイコン的な存在に。そこから研究を重ね、最新の知見を反映し、2023年秋に同シリーズのリニューアルが実現した。
新商品には、従来の小石丸エキスや桜エキスに加えて、農薬や化学肥料を使わない循環型農園で栽培された薬草、ゲンノショウコのエキスを含む、新たな保湿成分を複数配合。ローション・エマルジョン・クリームのそれぞれに、SENSAIが誇る高度な乳化技術が採用され、肌にのせた瞬間にとろけて一体化するような、心地よいテクスチャーにアップデートされた。さらに今回のリニューアルでは、クリームのレフィルも新たに登場。曲線的なラインが美しいガラスのパッケージを採用し、一部に再生素材を使用するなど、責任ある製品設計がなされている。
ブランドの立ち上げ時から、長く丁寧に使い続ける精神性を真摯に伝えてきたSENSAI。プレステージブランドでありながらもシンプルさを追求し、豪奢で華美な世界観とは一線を画す、唯一無二の存在であり続けている。物も人も時も、大切に扱い、決して無駄にしない姿勢こそが、SENSAIらしいラグジュアリーのあり方だ。匠の技術と感性に裏付けられたものづくりがさらなる進化を遂げた今年、新章への第一歩を踏み出した。真に贅沢な美容体験へと導くSENSAIの旅路は、まだ始まったばかりだ。
カネボウ化粧品
https://www.sensai-cosmetics.com/jp/ja/
0120-518-520