ろう者や難聴者、ろう者の親を持つ聴者(CODA=コーダ)など、視覚で生きる人々はどんなふうに世界を捉えているのだろうか。“視覚による知性”を育む場として2023年10月、東京都の西日暮里に「5005(ごーまるまるごー)」がオープンした。日本では数少ない「デフスペース」の概念を取り入れたその空間は、ろう者たちが集まり、身体的にも感覚的にも心地よく過ごせる場所となるよう、さまざまな工夫が凝らされている。視覚表現が持つ豊かな世界とその可能性に触れてみたい。
視覚で生きる人たちが心地よく過ごせる空間設計
ビルの1階にあるガラス張りの外観からは、中の様子を見渡すことができる。視界が開けていること、目で見て確認できることは、ろう者が安心して過ごすための重要な要素だ。「初めから、ここには視覚で生きる人にとって快適な条件がそろっていました。エントランスが目の形に見えるのですが、それも私たちの活動にぴったりだなと思ったんです。内装の設計は聴者の方にお願いしましたが、ろう者の方々と話し合いながら一緒に作っていきました」と牧原さん。「5005」の隣にある「麺屋 義」は、ろう者の店主が営むラーメン店だ。ろうコミュニティがすでにできていたこともあり、「拠点を作るならここしかない」と確信した。





