海の実情を知る

増え続けるプラスチックゴミや排水による深刻な汚染問題、漁業資源の乱獲、そして安価な水産物の裏側に潜む知られざる事実。さまざまな角度から海洋問題に迫る作品をピックアップ。プラスチックゴミの軽減やシーフードの選び方の見直しなど、身近な行動を変えるきっかけに。

世界が目撃したプラスチック汚染の事実

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短縮版が国連本部でプレミア上映されるほど話題になった『プラスチックの海』。シロナガスクジラに魅せられ、幼少期からその生態を追い続けてきたクレイグ・リーソン監督自身が、海洋学者や環境活動家と共に世界の海で何が起きているのかを調査。危機的なレベルで海洋汚染が続いていることに警鐘を鳴らす。「軽くて便利なプラスチックが捨てられることで、どのように海を汚染し生物を傷つけているのかを壮大なスケールで伝えてくれます。海鳥のお腹から200片以上のプラスチックの破片が出てくるシーンは衝撃的です」(関根さん)

『プラスチックの海』(2016)
監督/クレイグ・リーソン 
出演/クレイグ・リーソン、デイビッド・アッテンボローほか

環境課題に取り組む子どもたちの視点

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ニューヨーク在住の環境活動家でドキュメンタリー映像作家の佐竹敦子が、プラスチック削減に向けた子どもたちの活動を記録に収めた作品。ブルックリンに住む小学5年生たちがプラスチック汚染問題を学び、解決に向けてアクションを広げていく2年間を追う。作中では子どもたちの素朴な疑問に対して専門家が丁寧に解説。プラスチック問題がわかりやすく描かれているので、大人も子どもも楽しめる。「子どもたちの純粋さと実行力に感銘を受けると同時に、一人一人の行動が大きな力になることを改めて実感しました。日本語吹き替え版もあるので、息子たちに観せられるのがうれしいです」(編集H)

『マイクロプラスチック・ストーリー 〜ぼくらが作る2050年〜』(2021)
監督/佐竹敦子、デビーリー・コーヘン
出演/ニューヨーク市ブルックリンPS15小学校の皆さん、チェルシー・ロックマン、ジュディス・エンク、マーカス・エリクセン

シーフードにまつわる、現在進行形の犠牲

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©Vulcan Productions, Inc. and Seahorse Productions, LLC.

世界有数の水産大国であるタイには、人身売買業者に騙されるなどして漁船で働かされている「海の奴隷」が数万人存在するといわれている。『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』では、彼らを救出すべく命がけの航海に出るタイ人女性、パティマ・タンプチャヤクルの活動を追う。日本で暮らす私たちの食卓に並ぶ安価なシーフードはどこからきたものなのか? そんなことを考えさせられる作品。「現代にも奴隷が存在するという衝撃の事実を伝えています。私たちも彼らが獲った魚を消費しているかもしれない。なぜなら日本は世界第2位の水産物輸入国だから。違法漁業や乱獲についての報道は比較的多いものの、『海の奴隷』と呼ばれる人々が存在している実態は知らされていません」(関根さん)

『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』(2018)
監督/シャノン・サービス、ジェフリー・ウォルドロン
出演/パティマ・タンプチャヤクル、トゥン・リン、チュティマ・シダサシアン(オイ)





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