生理は赤ちゃんではなく、「自分」のために。 バービーさんが考える、生理の主体性について

2020年から開始したYouTube「バービーちゃんねる」で、生理や女性の身体についての話題を配信しているお笑い芸人のバービーさん。昨年8月にテレビ東京で放送された、生理を取り上げた異色の番組『生理CAMP』に出演したことでも話題に。今年は下着ブランドとコラボレーションして吸水ショーツをプロデュースしたり、私生活では結婚も発表した彼女に、生理について発信している理由や生理にまつわるパートナーとの関係、そして今後の展望を聞いた。

生理の情報が若年層にも届くように

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―― YouTubeで生理について発信するようになったきっかけは?


生理がある人にとって生理は生活の一部なのに、その情報が大人でも行き届いていないと感じていて、若年層は相当困っているんじゃないかなと思ったんです。YouTubeを始めようと思った時、マスメディアでは扱わなくて、私ならではの発信ができるテーマを考えたとき、生理の情報がベストだと思いました。内容は特に初潮をむかえるくらいの子を意識して発信しています。


―― 普段はどんな生理用品を使っていますか?


YouTubeを始める前から、生理にまつわるアイテムは自分自身で色々試していました。基本はナプキンが多いですが、量に合わせてタンポンや吸水ショーツと組み合わせることも。量の多い二日目はタンポン、夜用ナプキン、吸水ショーツのフル装備、段々と量が少なくなる三日目くらいからタンポンとナプキンだけ、といった感じで使い分けています。あと「シンクロフィット」があると、つたい漏れの悩みが軽減されますよ。


タンポンや吸水ショーツのハードルが高いという声もありますが、無理にチャレンジする必要はないと思うし、私も強制するつもりはありません。でも生理に限らず、自分の性器の状態を知っておいて損はないと思うので、触ってみたり確認したりするうちに、怖さも減っていくのかなと思います。


―― 吸水ショーツをプロデュースしたきっかけは?


もともと下着ブランドのピーチ・ジョンさんとは別の商品でコラボレーションしていて、その流れで、自分が使って良いと思っていた吸水ショーツを出すことになりました。こだわったのは、腰まで広げた吸水ゾーン。寝ている時の漏れを心配しなくてよいので、とても快適です。2,000円代と手に取りやすい価格をめざしました。


吸水ショーツをいろいろ試して感じたのが、ずれないように漏れないように作られているので、どうしても足口が締まっていたり、ガード力が強いんですよね。そこで、ウエスト部分はなるべくお腹を圧迫せず、 穿いていて苦じゃないカシュクールデザインにしました。サイズもSから3Lまで展開しています。今回作った吸水ショーツはぜひ定番化してほしいです。

番組を通じて知ることができた「怖い」と感じる人の気持ち

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――『生理CAMP』が放送されてから反響はありましたか?


すごいスピードで軒並み他の番組でも生理の話題を扱うようになりましたね。周りからの「やってくれてよかった」という声だけでなく、「生理の番組やってたね〜」というふわっと見ている層の感想もあって、地上派でやる意義を認識しました。


それまで私は、積極的に情報を手に入れたり経験したりするタイプだったので、「なぜ自分で情報を手に入れないの?」と思っていた気がします。だけど、番組を通じて、生理を怖いと感じる人の気持ちも知ることができて良かったです。


―― かかりつけの婦人科はありますか?


私が初めて婦人科に行ったのは、 20歳そこそこの頃で、最初は「アフターピル」を処方してもらうためでした。 20代半ばから「低用量ピル」を飲み始めて、その後、疾患が出て通院するようになったのは20代後半から30代にかけて。自分に合う病院を探すというよりは、この施術がうまい病院、この疾患に強い病院といったふうに用途に合わせて分けていて、多い時は3つのクリニックに通っていました。


今は困ったときにお友だち感覚で行けるクリニックに通っています。YouTubeでも紹介した竹元葉先生のクリニック、sowaka women's health clinicです。この前クリニックに行ったら、私のYouTubeを見て来てくれた人がいたらしく、診察してみるとガンが見つかったそう。私の発信によって病気の発見につながったようで、やってて良かったなと思いました。


YouTubeのコメント欄などを見ていると、「先生に乱暴な言葉使いをされた」といったコメントもあったりして、安心して通える病院ばかりではないのも事実ですよね。私も横柄な先生に診てもらったことがあるので、簡単に「婦人科は行ったほうがいいよ!」と言いづらいのも事実。だからちょっと足を延ばしてでもクチコミがいい病院に行ってみるとか、少しでも嫌だなと感じたらすぐに病院を変えるなどしながら、情報を集めて自分に合ったクリニックを探すのが大切だと思います。


―― PMSとはどのように付き合っていますか?


失敗ばかりですよ(笑)。いきなり「今日休みます」ってことはないですが、スケジュールを調整してもらって仕事を休むこともあります。生理前はイライラして当たり散らしちゃうのでパートナーもPMSのときは私がいつもと違うのがわかるようで、 穏やかに過ごせるように配慮してくれているのを感じます。生理中は隠さずに「今日は1日目です」と頻繁に伝えています。そういえば以前、夜中にパンツが血だらけになっちゃたときは、脱がせて洗ってくれました。そういうときは甘えさせてもらっています。

パートナーは「私の体についていちばん伝えている人」

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―― 結婚されたパートナーと生理の話はしますか?


結婚前から変わらないのですが、自分以外でいちばん私の体について伝えている人です。生理についての私の発信を見て、「知らなかったよ」と感想をくれたり「ナプキンってどれくらいで替えるの?」と質問してきたり、生理のことは自然な感じで会話に出てきます。 私は聞かれる前に話す方なので、「ナプキンはオーガニックのものだとかぶれにくいんだよ」とか日常的に伝えますね。


逆に、パートナー以外の人、たとえば事務所のマネージャーにはあまりそういうことは言ってきませんでした。でも、最近は生理の取材を受けたり、エッセイで書いたりする機会が増えて、間接的に知ってくれるようになりました。私が体を冷やさないようにしていると知ってからは、部屋の温度をとても気にしてくれます(笑)。


でも、生理については家族でも話しづらいという人も多いですよね。特に子宮周り、膣周りのことに関しては主体性をもってはいけないという意識が、日本女性にはのしかかっているのかなと感じることはあります。


生理が語られるとき、どうしても「未来の赤ちゃんのために」という文脈になってしまうのが、ちょっとだけ腑に落ちないなと感じていて。それ以前に、自分の体が痛さや辛さを抱えているのなら、まずは「自分のために」でいいんじゃないのかなと思ったことはあります。

―― 最後に、今後はどんな活動をされていきたいですか?


生理関係に限らず、商品作りはいろいろ始めています。アパレルや地域創生など、私がいいなと思ったものをひっくるめたウェブサイトができたらいいな。地元・北海道の雇用を生むことについても最近考えているので、いろいろ提案していきたいと思っています。