2021.10.08

なめ子もみんなも、まだまだ知らない「プレジャー」の世界! 最新プレジャートイのフェムテック関係者に取材をして、改めて「体」のことを考えた【フェムテック調査団】

なんとなく話しづらく、長らく語るのがタブーとされてきた性に伴う「プレジャーの世界」。そして「女性器」の話題。しかし、ここ最近では自分の体に関して、「なかったことにするのはどうなのか?」「本当のところよく知らないので、誰か教えて欲しい!」などの声も多く、秘密にすることに問題を覚える人も多くなっている。

そこで、今回フェムテック調査団では辛酸なめ子さんと、「偏見のない、プレジャーの今について知りたい!」というテーマから、深掘りするべく、セクソロジストやプレジャートイメーカーの方、また最新プレジャートイのユーザーの方にもインタビュー。取材で、血流がよくなり、エンパワメントが高まったという辛酸さん。ぜひルポを読みながら、自分の「体」のことを考えてみて。

セレブをはじめ、女王もタブーとされてきた世界の扉を開く

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instagram@womanizerglobal リリー・アレンはアンバサダーだけでなく、コラボ限定機種も発売!

ポジティブな自己愛を高めていくと「セルフプレジャー」にたどり着くのかもしれません。この単語を心の中で反芻するだけで内側が火照る感じがしますが、このところ、セクシュアルウェルネスを高めるためのフェムテックやセックストイの業界が熱いです。

セレブもセックストイやセルフプレジャーについてのエピソードを解禁していて、グウィネス・パルトロウが「Goop」でセックストイをリリースしたり、ダコタ・ジョンソンやリリー・アレンがセックストイブランドで製品開発に関わったり、エヴァ・ロンゴリアが女友達にはバイブレーターをプレゼントすると公言したりしています。世界はプレジャーリーダーを求めているのかもしれません。さらにイギリスではなんとエリザベス女王がアダルトグッズメーカーに「2021年度イギリス女王賞・企業部門」の賞を授与! 確実にプレジャーのうねりが来ています。

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instagram@loradicarlo_hq 2020年11月、カーラ・デルヴィーニュは「ローラ・ディカーロ」の共同オーナーに。

「Womanizer(ウーマナイザー)」を開発したWOW Tech Group(ドイツ)で、セクソロジストとして研究の仕事をしているエリザベスさんにインタビュー

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エリザベス・ノイマンさんは大学で性科学の修士号を取得した後、10代の若者への性教育に携わり、2018年よりWow Tech社でウーマナイザーに関する研究をしているセクソロジスト。

業界では女性の活躍もめざましいです。これまで卑猥なイメージが漂い男社会だったセックストイ業界に、健康的でポジティブな女性目線が加わりました。そんな中、まず、お話を伺ったのは超有名なセックストイ「Womanizer(ウーマナイザー)」を開発したWOW Tech Group(ドイツ)で、セクソロジストとして研究の仕事をしているエリザベスさんです。以前なら「Womanizer」というとブリトニー・スピアーズの曲が連想されましたが、今は誰もがこの大ヒット商品を一番に思い浮かべることでしょう。某女性タレントが、不倫相手と使っていたことで話題になり日本でも爆売れしました。「吸引系」という新しいジャンルを打ち立てた画期的アイテム。吸い付く感じは何となく筋膜リリースの吸引マシーンを繊細にしたようで肩こりにも効果がありそうです。

まず、エリザベスさんにセックストイを使うことで得られる健康的な効果について伺うと……。

「マスターベーションする人はオーガズムの快感が大きくなったり、自尊心が高まったり、夫婦やパートナーとの性的満足度が高くなったりしています。セックストイの使用は仕事にもいい効果をもたらし、生産性が高まります」とのこと。今回の質問内容をメールでもお送りしていたのですが、インタビューとは別に英語できっちり答えを書いていてくださって、エリザベスさんは仕事のできる女性の有能オーラにあふれていました。生産性が実際に高まっている証拠です。「仕事だけでなく人生自体で満足度が高まります。気分が向上し、性機能も改善します。骨盤底筋が強化され尿もれ防止になり、更年期障害の緩和に役立ちます」

それは大人として無視できない健康上のメリットです。自己愛や自己肯定感も高まるのでしょうか?

「はい、そうです。さまざまなポジティブな効果が発生し、緊張をほぐしたりしてリラックスでき、自己肯定感も高まります。セックストイは、自分の体を発見し、よりよく知るためのさまざまな遊び方を提供してくれるので、マスターベーションの敷居を下げてくれます。自分のニーズや好みに気づくことはとてもエンパワメントになります」


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人気のウーマナイザーの中でも、再生可能なプラスチック「BIOLENE」を使用したサスティナブルな最新トイ。ウーマナイザー・プレミアムエコ¥27,500/ラブピースクラブ

日本人は性的快感を追求することに少し罪悪感を抱きがちですが、どういう風に乗り越えていけば良いのでしょう……。

「快楽は、自然が私たちの体に与えてくれた贈り物であるだけでなく、性の権利宣言やジョグジャカルタ原則(※注)にも書かれているように、基本的な人権でもあります。大人になると、社会から『快楽は恥ずかしいもの、隠すべきもの』と教えられ、快楽を経験することに罪悪感を感じるようになります。この罪悪感から解放されることで、自己愛と自尊心を高めることができます。また、将来の世代のために、社会が一般的にセックスポジティブになるように戦っていく必要があります。いつかセックストイを使うことが普通の世の中になるかもしれません」

「Womanizer」からセックスポジティブムーブメントが巻き起こりそうです。使用の年齢制限は特にないそうで、気になった時が使い時なのかもしれません(国によって、セックストイを購入できる年齢制限はあるそうです)。

※注 
ジョグジャカルタ原則/性的指向と性同一性に関わる国際人権法の適用に関する原則。

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ウーマナイザー・プレミアム レッドゴールド¥25,463 ウーマナイザー史上初のボタンを押さずとも肌に触れるだけで吸引が始まる「タッチセンサー」を搭載!毎回予測できない刺激を楽しめる「パイロットモード」機能もプラスされた最上モデル。

とはいえ学校の性教育となると、まだそんなにオープンな空気ではないようで……。

「ドイツの性教育は完璧とは言い難い状況です。生物学の授業のカリキュラムに組み込まれていますが、多くの教師が生徒と性の話をすることに抵抗を感じているため、授業では思春期の解剖学的、身体的変化に重点が置かれています。プレジャーやマスターベーション、同意やコミュニケーションについての議論はほとんどありません。学校のクラスに外部の人を招いて性教育を行うNGOがあり、そこでは深い内容を学べます。私も教えたことがありますよ」
 
日本の性教育も同じく体の機能や変化についての説明のみで、性的快感については触れられなかったと記憶しています。エリザベスさんは性教育の重要性について語ります。

「子どもたちにとって、自分の体のすべての部分の名前を学び、体の健康を維持する権利があることを知ることは重要です。子どもたちへの性教育は、性的虐待を防止するための重要な要素です。大人になってからの性教育は、思春期のティーンエイジャーに寄り添い、性に興味を持ち始めたとき、恋をしたとき、身体の変化に気づいたときなど、あらゆる質問に答えてあげられるようになるためにも大切です。また、さまざまな性的欲求や指向、性自認について話し、それらがすべて正常であり、差別を防ぐためにも受け入れるべきであることを教えることも重要です。

セクシュアリティとは、単に挿入の行為だけではなく、個人のアイデンティティや身体的経験、生活を形成する重要なエネルギーです。ですから、人々が望むように自分のセクシュアリティを自由に生きることができるように、どの世代でもセクシュアリティについてもっと話し合うべきです」

セクシュアリティも多様性の時代ですね。とはいえ実際セクシュアリティについて友人知人と話す機会はまだなかなかないので、この機会にお伺いしたいでのすが、膣について、大人の女性が知っておくべき重要なこととは何でしょう?

「『膣』という言葉は性器の内側の部分だけを指しますが、『外陰部』は、クリトリスの亀頭や大陰唇の内側と外側など、目に見える外側の部分も含めて、性器全体を表します。ですから、女性器は、正しくは『外陰部』になります」

ちなみにドイツ語では「外陰部」は「VULV(ブルバ)」と表現するそうです。

「出産や更年期などのイベントによってホルモンが変化し、それが膣にも影響を与えるため、外陰部は人生の中で変化することを知っておくことが大切です。特に更年期以降は、潤滑性が低下するため、乾燥して感染症にかかりやすくなることがあります。これらの変化は危険なものではありませんが、日常的に膣の不快感を感じている場合、お医者さんに行くことをお勧めします。

また、外陰部の形は人それぞれで、大半はポルノに出てくるような外陰部ではないということをお伝えしておきます。大陰唇やクリトリスの大きさや色は様々で、多くの女性は自分の性器がどのように見えるか不安に感じています。ポルノでは、剃毛された小さなピンク色の外陰部が描かれていますが、このような限られた外陰部の表現に惑わされないようにしてほしいと思います。外陰部にはさまざまな色、大きさ、形があり、すべてのブルバは美しいのです」

そう同性に励ましてもらうと、エンパワメント感が駆け上ります。

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日本では、女性のマスターベーションは年間平均28回であるのに対し、男性は120回であり、日本の女性のマスターベーションは男性よりも77%少ないことになります。(Wow Tech社調べ)注:オーガズムとマスターベーションは違い、オーガズムを感じなくてもマスターベーションはできます。資料は、マスターベーションの習慣に関するデータです。


エリザベスさんがリサーチしていて驚いた、最近の20代~30代の動向はありますでしょうか?

「20代、30代の女性の多くは、自分の欲望やセクシュアリティについて率直に語り、それをもう隠したりしません。彼女たちは、"slut "や "bitch "といった言葉をポジティブな自己表現として取り戻し、社会が彼女たちを辱めることを許さないのです」

ところで「Womanizer」は快感がエグすぎてヤバい、という感想も聞きますが、使いすぎてしまう危険はないのでしょうか。

「日常生活で好きなだけ使っていただくぶんには問題ないです。ただ、これを使わないと日常に支障をきたしてしまう、ないと生きていけないとなったら問題なので、その場合はいったん使用をやめるべきです」

愛用者の声でエリザベスさんが発見したことや驚いたエピソードはありますか?

「今までオーガズムを感じたことがなかった女性が、ウーマナイザーを使って初めてオーガズムを感じたというケースは、年齢を問わず多くあり、今でも驚いていますし、世界中の女性の人生を変えるような体験に貢献できることに感謝しています。6~70代のご夫婦が『Womanizer』を導入したことで夜の夫婦生活が復活したという話もありました」

性的に淡泊になりがちな日本人の夫婦にも良いかもしれません。とはいえ、日本人はマスターベーションの平均回数が男女でかなりの差があり(女性は年間平均28回で男性は120回/Wow tech社調べ)、女性もセックストイを使ってセルフプレジャーをもっと体感する余地があるようです。WOW Tech Groupでは「イコールマスターベーションデー」を設定し各国の「マスターベーションギャップ」を埋めるためのキャンペーンも行っています。



アジア諸国の女性が2021年にマスターベーションをすると主張する年平均回数を示しています。(Wow Tech社調べ)

エリザベスさんから日本の女性へのメッセージは……

「実際にクリトリスがついていることについて考えてみてください。それがついていることは喜びを味わっていいという証明になると考えています。一度自分に自由を許せば、人生も変わって、自信がついて、自分の体が本当の自分の家みたいに感じることができます」

 ステイホーム生活をしていたらインナーホームに気付く……そんな時期なのかもしれません。エリザベスさんと話しているだけでも、ポジティブなセクシュアリティのバイブレーションが伝わってきて、血行がよくなる体感がありました。

最後に、実際の愛用者のコメントを伺いました。「Womanizer」愛用者のYさんによると「私は他のセックストイも使うのですが、Womanizerで得られるオーガズムが一番特大です。他のトイはじーんという感じですが、Womanizerはピカッという感覚。背骨を抜かれるみたいな感じです。そのあと安眠できます」とのこと。「実際吸引の繊細さを男性にも触ってもらって勉強してほしいです。グリグリ触るのではなくデリケートに扱うべきだとわかります」と、Yさん。ひとりでもカップルで使っても有効そうです。体験談を聞くだけでもさらに血行が良くなった感が……。

業界初のスマートバイブレーターを開発したSmartBod Inc.(米)の共同創設者、アンナさんにインタビュー

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ライオネスを開発したSmartBod Inc.の共同創設者兼エンジニアリング責任者であるアンナ・リーさん。アマゾンやキンドルでのエンジニアとしてのキャリアを経て、セクシャルウエルネスの業界に。フォーブスでは30歳未満の部に、またタイム誌では「知っておくべきアジアの女性クリエイター」に選ばれている。

続いてお話を伺ったのは、スマート・バイブレーターを開発したスタートアップ企業、のSmartBod Inc.共同創設者兼エンジニアリング責任者、アンナ・リーさん。スマホのアプリにオーガズムのグラフを記録できたり、膣の健康状態を測定できるというハイテク機器です。テクノロジーとオーガズムが融合しました。

まず、アンナさんにオーガズムを可視化するという機能を開発するきっかけなど伺いました。

「女性が自分の体について、科学とデータを使ってもっと知ることのできるツールを作りたいと思いました。開発当時、セックストイ業界は男性が中心で、女性の快楽やセクシュアリティにフォーカスした会社を起業するのはすごく難しかったんですが……。当時はいかがわしいエロスのイメージがあり、セックステックという単語も使われていませんでした。でも今は世界中で女性がトップに立ってセックストイの会社を起業しています。プレジャートイも進化しています」とのことで、今はテクノロジーと女性の力でむしろおしゃれで先進的なイメージの業界になりつつあるようです。

そして女性の体の健康の指針にもなるのがライオネス スマート・バイブの特徴。
「寝不足だったり、どういう薬を飲んでいるかとか、時間帯や気分によって、オーガズム時の膣の収縮の動きや頻度が変わってくるんです。自分でも気付かなかった体の変化を記録できます」と、アンナさん。

アプリには日々の快感のグラフを記録できて日記代わりに眺めるだけでなく、自分の健康上の違和感や変化に気付かされることもあります。スマート・バイブで健康診断する時代に……。
「定期的に使用していたアスリート女性が、ある日からオーガズムデータのグラフが変化したことに気付き、セラピストに相談したらその日に脳しんとうを起こしていたことが発覚しました」

体温や体重を測定するだけでなく快感や膣の収縮も健康のために記録すべきかもしれません。コーヒーを飲んだ後、お茶を飲んだ後などいろいろと条件を変えて測定するとグラフに変化が現れて、実験感覚で使うのも楽しいそうです。実験だと思えば毎日使用する大義名分が……。

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ライオネス スーマートバイブレーター¥24,750/フェルマータ

「私自身、この仕事をする前は性にオープンではなくセクシュアリティに怯えていたのですが、ライオネスを使うことでセクシュアリティの価値観が変化しました」と、アンナさんは明るい表情で語ります。

「開発チームとしては脳とオーガズムの関係性についても研究を進めています」とのこと。ちなみにグラフを通常とは全く違う形て活用したユーザーもいたそうで……。

「データを使って音楽を作曲した方がいて驚きました。筋肉の収縮の頻度や強弱を音程やトーンに置き変えて音楽にしていてクリエイティブでした」
まさにオーガズムは体が奏でる音楽なのかもしれません……。

自分ひとりで楽しむのも良いですがカップルの関係性を深めるためにも使えます。
「データを見ると、トイを使って達するのに何分かかるかわかるので、それをパートナーとの前戯の時間の参考にできます。自分の体はこの位の前戯を欲していると伝えることができます。例えば「私はスマート・バイブで1分半で達してしまうのですが……」などと、グラフのスクショを撮ってパートナーに見せることで、セックスについてコミュニケーションできます。今はリモート機能を開発しているので、ライブビューでパートーナーが遠隔で、相手のオーガズムの状態を見ることができます」

日本人は性に淡泊かもしれませんが、テクノロジーが好きなので、スマート・バイブの存在を知ったら興味を持つ人もたくさんいそうです。

「快感も大事ですが、SmartBod では科学とデータを重視しているので、大学病院と連動しながら女性のセクシュアリティの研究を進めたいなと思っています。世界最大のデータ量を生かしてセクシュアリティに貢献し、あらゆるライフスタイルや体の形、セクシュアリティに対応できるツールを開発していきたいと思っています」

アンナさんからもリア充オーラと知性が伝わってきました。セックストイ関連の仕事をしている方は皆さん肌つやが良いです。

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最後に、愛用者のLさんにスマート・バイブの使用感を伺いました。
「2つの操作ボタンは見なくても判別ができるので、暗い部屋やシーツの中でも操作できるのがポイント。クリトリスに当てる部分はいろんな角度に変えることができます。膣内に入れた瞬間、温度の変化を感知して、データを記録する、という機能もすごいです。

 私のオーガズムのグラフですが、筋肉が収縮して一回落ち着いてから、そのあともビビビビって快感の波が来ているんですね。ピークで終わりではなく、その後も快感が来ていることがわかります」と、快感の余韻までわかるそうでした。自分の体と深くコミュニケーションできるツールです。

今回話を聞かせてくださった方は、皆さん自己肯定感にあふれた素敵な女性で、快感や幸せを追求することは悪いことではない、と体現しているようでした。自分を愛するための扉はすぐそこにあります……。


Shop Information
Womanizer(ウーマナイザー)/アジュマ(ラブピースクラブ)
Lioness(ライオネス)/フェルマータ

illustration&text:Nameko Shinsan 

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