アメリカからヨルダン、リビアまで。今知っておきたい、世界のフェムテックアイテムが一堂に集結!内側からエンパワーメントされる「Femtech Fes!」をレポート

POPな風船のゲートをくぐると、眺めのいい空間に未来のアイテムが並んでいました。六本木ヒルズ49階「アカデミーヒルズ」で開催された「Femtech Fes!2021」(fermata株式会社主催)。想像以上におしゃれで最先端な空気が漂っています。

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日本ではほとんど「フェムテック」という言葉が知られていなかった2019年に始まったこのイベントは回を重ねるごとに盛り上がり、今年は世界6地域、約30カ国から約150社が集結。会場は「月経」「更年期」「妊活・不妊」「妊娠・産後」「メンタルヘルス」「女性特有疾患」「セクシャルウェルネス」などのゾーンにわかれていて、ふだん誰にも相談できないような悩みやトピックについて研究している会社が世界中にこんなにたくさんある、という事実だけでも感動します。

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ガジェット好きとしては見逃せない、女性のための最新アイテムで気になったものをいくつか挙げさせていただくと……。
・アンジャ ステムセル コレクションキット (アメリカ)
 臍帯血&臍の緒と胎盤を同梱しラボにて凍結保存する臍帯血&臍の緒バンク。日本だと臍の緒は思い出に保管する風習がありますが、乾燥してしまっています……。
・フィネス (アメリカ)
 尿道口を覆うように装着し、一時的に尿漏れを防ぐ製品。絶対尿漏れできない大事なシチュエーションで使えそうです。
・フライツ (アメリカ)
 医療用シリコン製で膣内に挿入し、一日5分の使用で骨盤底筋を鍛える。ステイホーム中に活用できそうです。
・ファーティリリーカップ (オランダ)
 性交後にカップを膣内に挿入することで子宮頸管まで到着する精子量を増やす。そんな裏技があったとは……。
・ペリシム (カナダ)
 医療従事者や医学生の実地学習で使う、3Dプリントで作られた女性器のモデル。色がワントーンなのでオブジェのようです。

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・スマートエレクトリックブレストバンド (フィンランド)
 充電式のワイヤレス搾乳機。さすが北欧の人の発想は違います。
・分娩監視装置iCTG (日本)
 赤ちゃんの心拍とお母さんの陣痛を計測する。日本らしい堅実なマシーンです。
・ジーナアプリ (オーストラリア)
 膣痙攣の解消を手助けする世界初のアプリ。ユーザーが痛くないセックスを行えるようにサポート。膣痙攣の都市伝説もこれでもう終焉に……。
・オーナット (アメリカ)
 性交痛に悩むカップルをサポートするリング。見た目もかわいいです。
・ドリップスティック (アメリカ)
 性行為後に体内に残った体液を拭き取るスポンジ。あったら便利な発明品です。
・リビア (イスラエル)
 マイクロパルスを発し、中枢神経を占領することで月経痛の信号を受信させないようにするアイテム。すごいテクノロジー。さすがイスラエルです。

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・サニタリーパッド (インド)
 化学物質を使用していない、バナナや竹の繊維でつくられた、土に還る生理用ナプキン。体への負担も軽そうです。
・タンプライナー (イギリス)
 タンポンとパンティライナーが合わさった生理用品。商品名がキャッチーです。
・トゥルーリー (ヨルダン)
 ナプキンの中にチップが入っていて健康状態をチェックできる製品。こちらもハイテクで、無理そうと思いながらも、もしかしてチップが使い回せるのか気になります。

など、ドラえもんの秘密道具級の数々に圧倒されました。各国、得意な技術でせめぎあっています。月経痛の信号を受信しないパルスを出すとか、ナプキンの中のチップで健康状態をチェックとか、フェムテックの進化が半端ないです。骨盤底筋トレーニングアイテムが結構多くて、加齢とともに尿もれ対策に悩むのは世界共通のよう。この会場を回るだけでも、将来自分の体に起こるトラブルやリスクについて学び、備えることができます。

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会期中は、興味深いカンファレンスも数々開催されました。前回「セルフプレジャー」の取材でもお世話になったドイツ人セクソロジスト、エリザベスさんが登壇される「性の科学者・セクソロジストが語る、日本と海外におけるセルフプレジャーの違い」をまず受講させていただきました。

最初に話題のプレジャートイ「ウーマナイザー」などを使った「セルフプレジャー」から得られるメリットについて説明が。コルチゾールレベルが上昇することによる「免疫力の向上」、「自分の身体とニーズを知れる」、オーガズムの際に放出されるエンドルフィンによって「質の高い睡眠をもたらす」、ドーパミンの分泌で「心身ともにリラックスし、幸福度UP」とのこと。様々な健康法が世間で取り沙汰されていますが、そろそろ健康雑誌でセルフプレジャー特集があってもいい頃かもしれません。

「ウーマナイザー」の開発秘話も紹介されました。2007年にドイツの発明家マイケル・レンケさんが「女性のほぼ半数がオーガズムを感じることはめったにない」という事実を知り、研究に着手。妻のブリジット・レンケさんと7年間の数百万回のオーガズム体験をもとに研究・開発したそうです。7年で数百万回!?  仮に300万回として年42万回、365で割ると1100回。1時間あたり約45回のオーガズムに達していたことになり、すごい濃密な夫婦生活で体力がいくらあっても足りません。お2人の写真を検索したら若々しく幸せそうで、毎分オーガズムに達していてもおかしくない多幸感にあふれていました。華岡青洲とその妻の医学的実験とは真逆のベクトルの気持ち良さを追求した実験でちょっと羨ましいです。

「ウーマナイザー」の新商品(初心者用スターレットや14段階も強度を調節できるプレミアムなど)の紹介の後はパネルディスカッションです。登壇者はドイツからオンラインで参加のエリザベスさん、ラブライフアドバイザーのオリビアさん、主催者フェルマータからリアさん、。

セクシャルプレジャーを初心者向けにどう広めるかというトピックでは、
「日本で発信するときは心理的なハードルを下げるようにしています。女性が抵抗感なく試せるように、デリケートゾーンのケアを健康のためにはじめてみては?と最初に提案することが多いですね」(オリビアさん)
「このトピックは大事なところです。女性器に触るのは怖くないよ、とプレッシャーを感じないように伝えています」(エリザベスさん)

参加者から出た「日本はセックスレスの夫婦が多い。何が原因なのでしょうか」という質問に対しては、
「家屋事情もありますね。夫婦だけの時間が取れなかったり。あとはスマホが普及するにつれセックスレスの割合が増えてきています。一人で性的なコンテンツが楽しめるので」(オリビアさん)
「私が見たリサーチの中では反対に、セルフプレジャーと接する機会が多い方はパートナーとセックスする機会が多くなっていて、より幸福度も高まっています」(エリザベスさん)
とのことで、家庭円満も健康も全ての道はセルフプレジャーに通じる、のかもしれません。

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フェムテック調査団メンバー2名も参加!「イベントがこんなにも明るく真面目に、さわやかな雰囲気で行われていることが、とてもうれしいです。来場者も年代様々で、関係者の方もパワフルかつ「等身大女性」。なんだか女子のお祭りかなと思うような、ワクワク感でした」とNさん。「女性を、今世を、120%楽しもうという情熱や、人生を少しだけ軽やかに過ごせるテクノロジー、現代に生まれてよかったと心から思える展示で、家族や友人、パートナーにもシェアしました。何より、会場の熱気やこんなにも多くのフェムテックが集っていることに希望やパワーをいただきました」Mさん。

続いて受けたのは「デリケートゾーン モヤモヤ発散会」です。産婦人科専門医の吉形玲美医師とタレントのIMALUさん、モデレーターの井土亜梨沙さんの3人で、デリケートゾーンのケアについてトーク。男性の方も少しいましたが、女子校っぽい空気が楽しいです。

腸内フローラは有名ですが、なんと膣内フローラも存在する、という驚きの情報から、実は膣はボディ用の石鹸で洗ったらNGという話まで、知らなかった知識をインプット。膣リテラシーも上がりそうです。膣の善玉菌、ラクトバチルス乳酸菌を保つためにはデリケートゾーン用のウォッシュやクリームを使って補うことが大切だとか。ボディソープだとせっかくの善玉菌を洗い流しすぎてしまうそうです。「ラクトバチルス乳酸菌」配合のデリケートゾーン専用ケアシリーズ「est’re(R)」(エストール)の魅力的な商品が紹介されました。

また、普段からちゃんとデリケートゾーンを見て、自分の大切な部分の状態を観察することが大切だとのこと。吉形医師も毎日鏡でチェックしているそうです。日本女性はなかなか自分の性器を自分で見ていない、という人が多いのではないでしょうか。デリケートゾーンをおろそかにしていたことを反省。洗った後はクリームやオイルを大陰唇(外の皮膚)に塗って保湿することで、健康的なVULVA(ブルバ/外陰唇)に。

フェムテックを活用し、デリケートゾーンをケアし、内外を健康にすることで自己肯定感を上げていきたいです。それに伴いQOLも高まっていくことでしょう。

illustration&text:Nameko Shinsan

 

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