突然の大量発汗、冷え・のぼせ、体のだるさに不眠、そして、イライラ……。さまざまな不調が起こると言われる更年期について不安を抱えている人は少なくない。ドンズバ世代の40〜50代はもちろん、20〜30代も必ず訪れる更年期や更年期障害に対して、実際にどう対処したらいいのかよくわからない……という声が圧倒的。そこで、SPUR.JPフェムテック調査団では、更年期に関するアンケートを実施。読者887名が回答を寄せたその結果から読み取れる、更年期や更年期障害にまつわる素朴&切実な疑問や悩みについて、産婦人科医の池田裕美枝先生にあれこれ徹底取材! あなたの不安を解決に導くヒントが満載。
池田裕美枝先生
産婦人科医。NPO法人女性医療ネットワーク副理事長。京都大学医学部卒業後、総合内科研修を行ない、その後産婦人科に転向。現在は京都大学医学部附属病院産科婦人科などで臨床にあたりつつ、京都大学公衆衛生大学院博士課程で研究中。一般社団法人SRHR Japan代表。
そもそも更年期って何?
編集部(以下、編):「女性の更年期はいつ頃だと思いますか?」というアンケートでは、44%の人が50〜54歳と回答しました。そもそも更年期とは、いつの時期を指すものなのでしょうか?
更年期障害、受診のタイミングは?
編:アンケートでは更年期の症状を感じながらも、実際に受診している人は22%。「症状がそれほどでもないから」「更年期障害かどうかわからない」など、理由もさまざまですが、更年期のトラブルはいずれ過ぎ去るものと考えて受診しなくてもいいものなのでしょうか?
池:生理痛の人が全員受診しないといけないわけではないように、更年期だからと言って、全員が受診する必要はありません。そう、深刻に考えなくてもいいですね。つわりと一緒で、すごく辛い人もいれば、全く大丈夫な人もいる。女性の身体は移ろいやすいものです。更年期世代になると、特に妊娠と出産を経験していれば、自分の身体が変化するのをある程度知っているのではと思います。今の自分が更年期で変化しているのだなと思えるのであれば、病院に行かなくてはと必ずしも思う必要はないと思います。
効果的なセルフケアもいろいろ。 まずは「休む」癖をつけることも大事
編:アンケートでも悩んでいる症状として回答が多かったのが、突然のホットフラッシュでした。もしその場での効果的な対処法があれば、教えてください。
ホルモン補充療法(HRT)、そのリスクとメリットは?
編:ホルモン補充療法(HRT)についての関心が高まっていますが、実際に受けている人は少数派のように感じます。そもそも、ホルモン補充療法とはどんな治療なのでしょうか?
池:ホットフラッシュなどの自律神経異常、メンタルの症状、関節痛など、更年期にはいろいろな症状が出てきますが、それは、女性ホルモンの急激な変化に身体が追いついていかないのが原因です。ホルモン補充療法とは、女性ホルモンを体外から補充することで、それをソフトランニングさせるという単純な治療法のこと。あくまで自分の体調を良くするための治療で、受けなければ命に関わるというものではないので、ホルモン補充療法を行なって調子が良ければ続けていいと考えています。
更年期障害で悩む女性には、思いやりと共に
編:更年期に関して、心ない一言をかけられたという意見も多くありました。医師の立場から見て、更年期は社会でどう捉えられていると思いますか? 以前と比べて捉えられ方も変化しているのでしょうか?
欧米では更年期以降のセクソロジーに高い関心が
編:海外ではどんな関心が高まっているのでしょうか?
池:更年期から老年期の世代でセクソロジー(性科学)に対する関心が高まっていて、海外の学会に行くと、セクソロジーに関しては各国で大きな注目を浴びています。かつては、老人性膣炎とか、萎縮性膣炎と言われていた外陰部の萎縮に関して、老人だからと言って諦めるべき事柄ではなく、クオリティ オブ ライフを脅かす大変な状態だと訴え、閉経期泌尿器生殖器症候群と名前を変え、さまざまに議論されています。セックスが快適にできなくなるということは、欧米では大問題。セックスカウンセラーも多くいますし、医療もそこに介入していこうという流れがあります。
いずれにしろ更年期の女性に対しては、周囲の人の思いやりが、やはり必要だと思います。そのためには当人だけでなく、家族も同僚も周囲がもっと更年期について知っておくことも大切。「ホルモンのゆらぎの時期は、もっと労わるといいよ」と周りが優しく声掛けしてあげるといいですね。









