ホルモン補充療法で治療中のKさん:会社員(45歳)
― 更年期障害の症状を感じるようになったのはいつ頃ですか?
44歳の頃、頭の片隅にザワザワ感を覚えるようになり、仕事に集中できないことが頻発していました。加えてある時、店で試着をしようと思ったら、店員さんにも心配されるほど汗をかいてしまったんです。「もしかして更年期?」と思い、すぐに市販薬を検索。思い返せば元々かなり生理が重かったのですが、更年期の症状が出始めた頃から鎮痛剤を飲む量が減り、生理が軽くなってきたように思います。
― その後、病院には行きましたか?
まずはツムラ漢方の「桂枝茯苓丸」を購入。飲み始めて1ヶ月程度は症状が落ち着いていましたが、頭のザワザワ感がまた出てきたので病院へ行きました。遠回りせずに治療がしたかったので、症状と服用している薬、どうしたいかをあらかじめメモにまとめていき、先生に伝えました。すぐにホルモン値を測ってもらったのですが、やはり年齢の割にはホルモン値が低いことがわかり、漢方薬を処方してもらうことにしました。
― 今も治療を続けていますか?
3ヶ月ほど漢方を飲んでいましたが、今度は元々あった頻尿の症状が悪化しているのを感じて、先生に相談しました。更年期の症状が進行しているとのことで、ホルモン補充に「ジュリナ錠」と「エフメノカプセル」を処方してもらっています。服用すると症状も少なく快適なので、しばらくは続けるつもりです。肌の乾燥にも悩まされていましたが、それも落ち着き「自分の肌が戻ってきた!」と感じられたのも嬉しかったです。
― 更年期だとわかった時、どう感じましたか?
「生理とおさらばできてラッキー!」と思いつつ、平均より早く更年期と診断されたのは、少しショックでした。重い生理痛に悩まされてきたし、今から子どもが欲しいわけではないのですが、やはりなんとなく複雑な気持ちにはなりました。閉経時期を過ぎてもイキイキしていて素敵な方もたくさんいるし、更年期自体がネガティブなものではないとわかっているのですが。
― 更年期に悩む方へのメッセージを。
話せるなら身近な人にどんどん相談するといいと思います。そうするとたくさん情報が入ってきて、その中から自分に合う選択肢が出てくるはず。私は「薬を飲んでおけばよかった」という先輩の話も聞いていたので、まずは試してみて、自分に合わなかったらやめればいいかな、と思っていました。今悩んでいるなら、ぜひ一度病院に相談したり市販薬にトライしてみてください。
更年期の治療法を模索中のTさん:パラレルワーカー(47歳)
― 更年期障害の症状を感じるようになったのはいつ頃ですか?
はっきりと感じ始めたのは一年ほど前です。39歳で出産したので、産後うつとグラデーションを描きながら始まった気がします。さらに今は中間管理職として仕事も忙しく、その疲れも相まって症状を感じるようになりました。症状としては、冷えのぼせや、注意散漫といったもの。生理周期も以前より短くなり、明らかに身体が変わってきたことを実感しています。
― 症状が生活に支障をきたすことはありますか?
一番悩んでいるのは、頭のモヤモヤです。急に頭にノイズが入ったように混乱してしまい、今まではパッパッと判断できていたものができなくなってしまうんです。そのせいで「今ややこしい話をしないで!」と子どもに当たってしまったこともあります。
ある日、辛い仕事の帰りのバスで急に号泣して、泣き続けてしまったことも。立場上、イライラしたり感情を出したりしてはいけないと思っていたのですが、ずっと心の中に留めていたものが一気に出てきてしまいました。今までこんなことはなく、感情をコントロールしてきた方なので、余計にショックでした。
― 病院には行きましたか?
ピルの処方で通っていた婦人科の看護師さんに更年期の症状を話したら、「週一で更年期の相談ができる医者が来ているから、相談してみては?」と言われたんです。そこで一度ホルモン値を測ったところ、値的にはまだそこのクリニックが推奨するホルモン治療の基準に達していなかったようで、漢方薬の処方のみされました。でも症状が緩和されないので、個人的には早くホルモン治療に進みたいと思っているのですが。
― 症状に対して何かセルフケアはしていますか?
混乱している時は言葉を減らしたり、イヤホンでクラシック音楽を聴いたりして、周りをシャットダウンして、個の世界をつくっています。あとは何も考えなくてもいいC級ドラマを流し見しすることも(笑)。お気に入りのハンドクリームをつけたり、ネックレスのチャームだけ変えてみたり、自分の手の届く範囲で、ちょっとだけ幸せな気持ちになれることを実践しています。
― 更年期に悩む方へのメッセージを。
少しでも元気がある日に、クリニックに行ってみてください。薬や治療法と相性が良いのなら、治療をしながら更年期を過ごした方が楽。「更年期は苦しいもの」というのは、「痛みを感じて産まないと出産じゃない」という考えと少し似ているなと感じました。更年期をわざわざ苦しんで過ごす必要はないと思います。
更年期を乗り越えたYさん:フリーランス(65歳)
― 更年期障害の症状を感じるようになったのはいつ頃ですか?
45歳くらいからホットフラッシュの症状が始まりました。最初はのぼせているくらいでしたが、だんだん耳の後ろから滝のような汗が出るようになりました。お茶を習っていたんですが、いざお茶を点てるぞという時にいつも汗が噴き出てきたんです。大体緊張してから10〜15分くらいで症状が出始めました。
― その時はどう対処しましたか?
汗はある程度仕方ないと思っていたので、いつもハンカチと扇子を持ち歩くようにしていました。真冬でも暖房がきついと汗が出るので、その二つは一年中必須アイテム! ホットフラッシュは対処できましたが、50歳で閉経してからが大変でした。元は明るい性格でしたが、急に気分の落ち込みが激しくなり、倦怠感に悩まされました。何もしたくなかったけれどフリーランスなので仕事を辞めるわけにもいかず、毎日帰宅してから電卓と睨めっこの日々。将来を考え、試算しては「仕事はやめられない……」と落ち込み、さらに気力がなくなるという悪循環。
― 病院には行きましたか?
生活に支障をきたすほどの症状じゃないと思っていたので、病院に行くまでもないと感じていたんです。市販の漢方薬も高いからと躊躇してしまいました。いろいろ考えるのが面倒だったというのもありますが(笑)。ただ、知人に勧められて「命の母A」を飲み始めてみたら、なんとなく心が穏やかになりました。
― 更年期が終わったと感じたのはどのタイミングでしたか?
ひょんなことで「抜ける」と聞いていましたが、本当にある日、スコンと抜けたんです。きっかけは雑誌の占いでした。「何かから逃れようとして違うことをやり始めて、それがあなたに何をもたらしましたか? 戻ってきなさい」と書いてあって、読んだ瞬間に気持ちがスッと楽になったんです。ちょうど55歳の時。そこから電卓をたたかなくなりました。
― 更年期に悩む方へのメッセージを。
不安だと思ったら、ささいな症状でも婦人科や専門のクリニックに行っていいと思います。私は行かない選択をしたけれど、もしかしたら行ったほうがよかったのかも?と、更年期を終えた今だからこそ思います。病院に行って何もなかったらなかったでいいことだし、気軽に相談できる場所を見つけておくに越したことはありません。