なんとなく心身の不調や変化を感じても「病院に行くほどではない」と、後回しにしてしまった経験は、誰しもあるのでは? しかしその不調が、病気を知らせる重要なサインであることも。そのため一生を通して付き合える産婦人科の“かかりつけ医”を持っておくと安心。とはいえ「こんな程度で受診していいのか?」「産婦人科に行くのは恥ずかしい」などハードルを高く感じる人も少なくない。
そこで、定期的に産婦人科に通う、起業家で“モテクリエイター"のゆうこす(菅本裕子)さんと、産婦人科医の稲葉可奈子先生に、受診の必要性や身体のケアについてインタビュー。さらには読者293名からもリアルな声が寄せられた。産婦人科のかかりつけ医を持つことは、ライフステージの中で身体が変化し続ける私たちの人生において、相談相手を一人増やすことだ!
【vol.1 産婦人科のかかりつけ医を持つ】ゆうこすさんにインタビュー。産婦人科に通うことは、自己肯定感を上げて全力で生きる土台づくり
会社立ち上げをきっかけに女性の働きやすさや生きやすさを考えるようになり、それまで無頓着だった自分の身体をケアする大切さを知ったという、ゆうこすさん。ご自身のこれまでと現在の身体との向き合い方、産婦人科との関わり方、考え方の変化について話を聞いた。
【vol.2 産婦人科かかりつけ医のすすめ】産婦人科医・稲葉可奈子先生に聞く。産婦人科医は、女性の人生の伴走者。気軽に相談できる関係を
かかりつけ医に産婦人科医をもつことは、なぜ大切なのか? 産婦人科医の稲葉可奈子先生には、医師の視点からその必要性や、現状についてインタビュー。そして、自分がしんどい時は「そんなことで、と思われるかも」という考えがよぎったとしても自分がどう感じるかが大切なのだと背中を押す、心強いメッセージも頂いた。
1.産婦人科のかかりつけ医を持つことのメリットとは?
――日本では気軽に産婦人科受診をするにはハードルが高い、と感じている人も少なくないようです。それはなぜなのでしょうか。
最近は、生理や更年期など、これまでタブー視されてきた女性特有の症状について、社会の意識も変わりつつありますが、それでも「産婦人科医にかかるのは恥ずかしいこと」という感覚は、いまだ根強くあると感じます。産婦人科とはどんなところなのか、インプットする機会が少ないことも、受診のハードルを高くしているように思います。
海外では、10代の頃から包括的な性教育がしっかりとなされていることもあり、自分の身体や健康、性に対する自己決定権(SRHR)の意識が浸透しています。そのため初潮を迎えると、かかりつけの産婦人科医を持つのが一般的です。「恥ずかしい」なんてもってのほか、産婦人科医にかかることは、自分の身体や人生を考えるなら、当然のことという感覚があるのです。
――産婦人科のかかりつけ医を持つことのメリットとは、どんなことでしょうか?
大きく分けて、以下の5つが挙げられます。
【産婦人科のかかりつけ医を持つメリット】
●話しにくい不調も気兼ねなく相談できる病院を受診するのを躊躇してしまうようなちょっとした不調も、気軽に相談できるかかりつけ医に診察してもらえば、深刻な病気の発見が遅れるリスクを減らすことができる。また更年期が過ぎてからも、尿もれや子宮脱といったなかなか人に言いづらい症状が出た場合、付き合いの長い医師であれば気兼ねなく相談しやすい。
●忙しくても病院探しの手間いらず!
いざ産婦人科医を受診しようとしても、まずは病院探しから……となると、なかなか大変なもの。以前から通っている産婦人科があれば、いつでも速やかに受診が可能。
●妊活のタイミングを逃さない
「いつかはほしいけれど、まだ妊活はいいか……」と考えていると、あっという間に年齢を重ねてしまい、自然妊娠が難しくなってしまうことも。かかりつけ医がいれば、診察の際に人生設計に合わせて的確な妊活のタイミングを教えてくれる。また、不妊治療のアドバイスもしてくれるはず。
●子宮頸がん検診を忘れずに受けられる
20歳からは2年に1回の受診が推奨されている子宮頸がん検診。ただリマインドがあるわけではないので、忙しく過ごしているとどうしても忘れがちに。かかりつけ医がいれば、タイミングを知らせてくれるので、忘れずに受診できる。
●母娘で通える
母親が信頼できるかかりつけ医を持っていれば、自分の子どもにも紹介でき、身体の変化を安心して見守ることができる。
2.“しんどい”と感じたらそれが受診のタイミング。周りと比べすぎず、自分の体感を優先して
――はっきりとした症状がない場合、「こんなことで病院に行くなんて……」と産婦人科にかかるのを躊躇してしまう人も多いと思います。こんなときは産婦人科医にかかった方がいい、というわかりやすいサインがあれば教えてください。
例えば、かゆみがある、経血量が多い、生理のたびに鎮痛剤が欠かせない、生理前になるとイライラしたり落ち込んだりしてしまう、不正出血がある……などは、わかりやすいと思います。ただそれが参考にすべき指標というわけではなく、自分が少しでもしんどいと感じていることがあるなら、それがサイン。一度、産婦人科を受診してみましょう。
読者293名にアンケート。「受診しておいてよかった!」「もっと早く受診すればよかった……」の声多数!
ここで293名の読者から寄せられた、産婦人科受診に関する体験談をチェック。実際、定期的に通院している人はどのくらいいる? どんな不調や違和感から受診しているのか? 通院しにくいのにはどんな理由があるのか?など、リアルな声を共有!
3.どう選べばいい? 自分に合ったかかりつけ医の見つけ方
読者のリアルな声を踏まえて、稲葉先生にかかりつけ医の見つけ方のポイントや、メッセージを伺う。
――長い付き合いになる産婦人科医との相性は大切になりそうだなと思います。産婦人科を選ぶとき、どんなことをポイントにすれば良いでしょうか?
どんな症状や悩みでも、産婦人科医であれば、どこを受診してもまずは問題ありません。実際に診察を受けてみて、異常に高額の治療をすすめられたり、医師の態度が高圧的であったりする場合は、要注意。「受診したほうがいいのかわからない」なら受診した方がいいのです。そんな時に症状や状況を説明しにくい、わからないことを質問しにくいなど、相談相手として少しでも不安を感じたら、別の病院を検討しましょう。事前にできることとして、病院やクリニックのホームページで、医師の雰囲気やプロフィール、独自すぎる治療を行っていないかなどをチェックしておくといいかもしれませんまた、ネットの口コミはあまり当てにしすぎずに。家族や友人の実体験と口コミを参考にしていただくのが最も安心だと思います。ただし治療法に関しては、個々の症状やライフスタイルに合わせていろいろ。そのため家族や友人など、身近な人たちの「良かった」が自分にとっても合うかはわかりません。口コミに頼り切りにならず、医師と相談しながら自分に合ったものを模索していけるとベストですね。
4.がまんを当たり前にせず、気軽に産婦人科に相談を!
――最後に、稲葉先生から読者へメッセージをお願いします。
生理痛も更年期症状も、「女性だから仕方のないこと」とがまんしてしまう方がとても多いと感じます。でも女性だって毎日快適に過ごせるし、過ごしていいのです。がまんを当たり前にせず、もっと産婦人科を活用してください。不調や悩みを解消できれば、日々のQOLはグンと上がるはずです。また、今は気になる症状のない人も、2年に1回の子宮頸がん検診は必ず受けるようにしてください。現在、全国の自治体で26歳まで(平成9年度生まれ~平成18年度生まれ)の女性を対象に、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンのキャッチアップ接種が実施されています。キャッチアップ接種は2024年度まで、半年かけて全3回接種するため、2024年の夏までに1回目の接種がおすすめです。これをきっかけに、自分に合ったかかりつけ医を見つけてみてはいかがでしょうか。











