【セックスレスの悩み/体験談インタビュー】解消した人、解消したい人、レスでもいいけれど不安な人。読者3名のリアル【セックスレスを調べてみたら】#3

人には少し話しにくく、1人で悩みを抱えがちな“セックスレス”。どんな状況で、どんなことに悩み、どう解消しているのか? 色々な声を共有するため実施したアンケートの結果は、第1弾第2弾の記事で公開中。妊娠、出産、育児がきっかけでレスになった人や、「このままでいい」と思っている人が意外に多かったり、「でもやっぱりレスが続くのは不安……」と思っている人がいたりと、さまざまな現状を知ることができた。

第3弾となる今回はさらに踏み込んで、性に対して健康で心地よい状態であるために、自分はどうしたいのかに向き合う読者3名にインタビュー。それぞれの状況や想い、リアルな声をお届けする。

人には少し話しにくく、1人で悩みを抱えがちな“セックスレス”。どんな状況で、どんなことに悩み、どう解消しているのか? 色々な声を共有するため実施したアンケートの結果は、第1弾第2弾の記事で公開中。妊娠、出産、育児がきっかけでレスになった人や、「このままでいい」と思っている人が意外に多かったり、「でもやっぱりレスが続くのは不安……」と思っている人がいたりと、さまざまな現状を知ることができた。

第3弾となる今回はさらに踏み込んで、性に対して健康で心地よい状態であるために、自分はどうしたいのかに向き合う読者3名にインタビュー。それぞれの状況や想い、リアルな声をお届けする。

【セックスレスの悩み/体験談インタビューの画像_1

CASE1 【同棲後レスに。今は満たされているけれど、このままでいいのか不安】/梅子さん(20代後半)

4年付き合っていた彼と1年前から同棲を始め、次第にレスになっていったという梅子さん(仮名、25〜29歳)。

「一緒に住む前は、1週間か2週間に1回くらい、お互いの家に行くタイミングでセックスがあったのですが、同棲してからはなんとなくきっかけがなくなっていき、間隔が開くようになりました。
同棲して半年くらい経ったあたりから、『セックスが作業みたい、なんか雑になっているかも』と感じるようになり、気持ちよくないから“したくない感”を出すように。お互い不規則で忙しい仕事でもあるので、疲れていて気分が乗らず、どちらからも誘わなくなっていきました」

セルフの方が気持ちいいし、スキンシップで心は満たされている

【セックスレスの悩み/体験談インタビューの画像_2

「性欲が全くない、というわけではないのでそこはセルフで。その方が気持ちいいし、毎日のハグやキスなどのスキンシップで愛されている実感があり気持ちも満たされている。だから『レスかな?』と思い始めても、このままでもいいかなと、それほど気にならなかったんです。彼はすごく私の気持ちを大切に尊重してくれる優しい人で、それゆえレスでも自分からは何も言ってこないんだなと思っています。
それに、同棲するとレスになりやすいと、何かの記事で読んだこともあったし、よく考えてみると、すごくしたいわけでもないなと……」

今はレスでもいいけれど、この先もずっとは不安

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「レスでもいいかな、と思いつつも、『たまにはやっぱり彼としたい』と思うときもあります。私たちは記念日や誕生日は旅行に行くのがお決まりで、その特別感でセックスする流れがほとんどだったのですが、この前の誕生日旅行は彼が先に寝てしまって……。1人寂しく眠りにつくことになり、『こんな特別な日にも何もないなんて、これからずっとレスのままなんじゃないか』と不安になりました。

今のところ子どもが欲しいとは思っていませんが、30代半ばになって、やっぱり欲しいと思ってもうまくセックスできないかも、とか。レスのまま妊活を始めたら子どもをつくるためだけのセックスになってしまうんじゃないか、とか。何より今のセックスレスの状況が、2人の関係が破綻する原因になるんじゃないかとか、あれこれ考えてしまって……。

セックスレスになる前はピロートークタイムに、仕事の悩みや将来のことなど深い話をして、お互いが今どんなことを考えているのかを知ることができていたのですが、レスになってからは話もせずにただ寝る日が多くなってしまいました。一度『なんか最近してないよね』と切り出して、彼とレスについて話し合ってみようかな、と思い始めています」

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アンケート結果を紹介した第1弾の記事でも、〈パートナーとセックスなし〉と回答したうちの58%がパートナーと〈仲が良い〉と答えている。また、セックスレスの人たちに【その状況をどう思っているか】聞いたところ、25〜29歳の26%が〈レスのままでいい〉と思っていて、35歳以降になるとこれが多数派に

【セックスはパートナーとの関係維持に大切だと思うか】という第2弾の記事での質問には、1,004人のうち465人が〈思う〉、369人が〈やや思う〉と答えている。

“仲良しだけどレス”状態で、今の状態のままでいいと思っていたという梅子さんの話からもわかるように、必ずしも「セックスレス=不満」とは限らない。けれど関係継続のためにも、セックスがあったほうがより良いかも、という意見もあるようだ。

集計対象:25〜44歳

CASE2 【産後、夫を性的に見られなくなり、どうしたらいいか探り中】/さくらもちさん(30代後半)

第1弾の記事で公開した【さまざまなレスのきっかけ】の複数回答で、〈多忙により気持ちに余裕がない、疲れている〉に続いて2番目に多かったのが、〈妊娠・出産による生活習慣の変化〉。そして〈自分の性欲減退〉、〈妊娠・出産による性欲、セックスへの意識の変化〉と続いていた。
さくらもちさん(仮名・35〜39歳)の場合も、同様だ。

「結婚して10年ですが、約6年間妊娠せず、不妊治療で授かりました。治療中は気分が盛り上がってするのではなく、排卵日に計画的にするので、セックスが“楽しむもの”から“妊娠のための義務”に。セックスの楽しいイメージが薄れたままだと、産後にできなくなるかもと本能的に感じ、安定期に夫を誘ってみたのですが、もしも何かあったら怖いからと断られてしまいました。

結果、妊娠中の予感が的中。産後は出産による身体的ダメージや育児による疲労、ホルモンバランスの変化などから自分の性欲がなくなり、レスが続くようになりました」

それでも最初は、そのうち解消されるだろうと、あまり重く考えていなかったさくらもちさん。けれど性欲が戻ったと思ったら、今度は夫を性的対象に見ることができなくなってしまったそう。 

友達みたいな関係で仲良しの夫。だからこそ、できない

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「夫は家事にも育児にも協力的で、共に家族を創り上げていく同志のような感覚で仲がいいんです。仲良しだからこそ、夫とのセックスを考えると“家族とセックスする”みたいな気分になって、気恥ずかしいというか、ムズムズするというか、ちょっと気持ち悪いな、と思うようになってしまって。誘われることを私が嫌がると思って、夫は我慢してくれているのがわかるので、応えたい気持ちはあるのですが……」

セックスは絆を深くすると思う。だからなんとか解消したい

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「セックスは、相手を想い合っている、心を許し合っていることを感じられるコミュニケーションの一つではないか、と思うんです。2人の絆を深くするためにも大切なことだと。それに私自身は、いつまでもレスにならない関係を理想の夫婦像として描いていたので、レスになって約3年、そろそろなんとかしたいと思い始めています。もう一度、夫にときめきたい!

子どもが産まれる前は名前で呼び合っていたのに、今はパパ、ママと役割で呼び合っているし、家では常に子どもと3人の空間。まずはもう一度名前で呼び合ったり、子どもを預けて2人でデートしたりする機会を持ってみようかなと考えています」

第1弾の記事で紹介したアンケート結果では、〈セックスレスのきっかけが明確にある〉と答えた人の約35%が、〈妊娠・出産経験による変化をレスのきっかけに含む〉と回答している。中には、「家事や育児に非積極的で、相手に対するストレスが募り、興味や期待がなくなったから」とコメントしていた人も多かった。

CASE3 【産後レスが、コミュニケーション不足の改善で解消へ】/Mimiさん(30代後半)

産後レスを解消しつつあるMimiさん(仮名・35〜39歳)も、レスの原因を〈妊娠・出産経験による変化をレスのきっかけに含む〉と回答した一人。

「2019年に1人目を出産したのですが、コロナ禍という慣れない環境と、育休後すぐにフルタイムで仕事復帰したことから時間的にも気持ち的にも余裕がなく、セックスの回数が月に1回程度に減りました。その約2年後に2人目を出産。1人目の出産でした会陰切開の傷跡も気になってセックスが怖くなっていたのと、育児と家事に追われてメンタルが弱っていたことも重なり、誘いを断り続けました。

そうこうしているうちに夫は仕事が忙しくなり、次第に一緒に過ごす時間や会話が減って、気持ちもすれ違い、求められることもなくなっていった結果、1年半くらいレスが続きました」

母の一言で、夫とじっくり話し合ったことが、解消への大きな1歩に

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「それまでしたことがなかった喧嘩を、1人目出産後からするようになり、2人目の産後には感情的に言い合うように。お互いにスキンシップが好きだったのですが、この頃は『触るのも触られるのもイヤ』『同じ空気も吸いたくない!』と思うくらい、夫に対して勝手にイライラを募らせてしまっていたんです。

あるとき、私の母が家に遊びに来ている最中に大きめの言い合いになり、母が『あなたたち、大丈夫? 子どもたちは見ているから、2人で外で話してきなさい』と言ってくれて。渋々2人の時間を持ったのですが、これがレス解消のきっかけとなりました。
この際だからと思って『レスなのは私にもう興味がないからでしょ?』とか、踏み込んだ話までしました。すると彼から『言いたいことは言ってもらわないとわからない、察してくれと思われていてもわからない』と言われ、お互いに『理解し合えていなかった』『もっとコミュニケーションを取るべきだった』と気づくことができました。それ以来、毎週土曜日の子どもが寝たあと、2人で“ミーティング”を開くようにして、今、モヤっとしていることを共有しています。価値観が違うのは当たり前だから、それを無理に相手に合わせたり、合わせてもらったりするのではなく、『折り合いをつけるようにしようね』というのが目的。このミーティングを開くようになって、お互いが考えていることを共有できるようになり、レスが少しずつ解消されてきています」(Mimiさん)

セックスを心から楽しむために、気持ちはきちんと伝え合う

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「セックスって、言葉とは違うコミュニケーションだと思うんです。セックスの後は、相手のことをより大切に思えるし仲良くできる。だから相手を喜ばせたいし、楽しい気持ちになってほしいと自然に思うようになる。そして相手のその様子を見て、自分も幸せな気持ちになりたい。
そのためには、セックスにしっかり集中する、没入できるようにすることが大切だと思うようになりました。“こうしてほしい”ということをきちんと伝え合って、どちらかだけが楽しい、一方通行なものにならないようにしています」

第2弾の記事で紹介している、〈セックスレスを解消しようとした〉と答えた人に聞いた解消方法の中にも、正直に話し合う取り組みをしているというコメントが目立っているけれど、Mimiさんもまさにその一人。自分と相手、それぞれが「どうしたいのか」を正直に話し合えるということも、レス解消に向けた第一歩になりうるのかもしれない。


「セックスレス」といえど、その背景や状況、そして思っていることは人それぞれ。けれど3人の話に共通していたのは、セックスレスの状況が「性やパートナーとのコミュニケーションにおいて、自分はどうしたいのか」を、考えるきっかけになっているということ。さらにそれを人に話していくと、自分の気持ちが整理され、どんなアクションをしたいのか、したくないのかが、少しずつ見えてきていた。正直まだまだ話しづらいトピックである「セックスレス」。けれど、話してみることで得られる気づきもありそうだ。

自分の中のモヤモヤに向き合い、「どうしたいのか」をじっくり考えたり、パートナーや友人、婦人科医やカウンセラーなどの専門家に話を聞いてもらって考えを整理するのもきっと良いこと。性に対して健康で心地よいと感じられる状態を作るためにも、自分自身が安心できるかたちで、自分の性に向き合うようにしていきたい。