メンタルヘルスついて、マリウス葉などに【ケイト・スペード ニューヨーク】のイベントで聞いた

大人からこどもまで、あらゆる世代の女性たちのエンパワーメントをミッションとし、その根幹となるメンタルヘルスのサポートに力を注ぐケイト・スペード ニューヨーク。国際女性史月間である3月に、マリウス葉さんや精神科医の星野概念さん、同社のソーシャルインパクト活動を主導してきたタリン・バードさんなどによる、メンタルヘルスやセルフラブに関するパネルディスカッションが開催された。

自分を見つめ、その思いを言葉にして届けるマリウス葉さんが考えるメンタルヘルスとの向き合い方とは? 今日からでも実践できる、いくつかのアイデアを教えてくれた。
そして、ヘルシーな心を維持するために自分が、社会ができることをタリン氏に取材。「良好なメンタルヘルスこそ、年代問わず全ての女性たちのエンパワーメントの基礎」だと話す彼女に、詳しく話を聞いた。

大人からこどもまで、あらゆる世代の女性たちのエンパワーメントをミッションとし、その根幹となるメンタルヘルスのサポートに力を注ぐケイト・スペード ニューヨーク。国際女性史月間である3月に、マリウス葉さんや精神科医の星野概念さん、同社のソーシャルインパクト活動を主導してきたタリン・バードさんなどによる、メンタルヘルスやセルフラブに関するパネルディスカッションが開催された。

自分を見つめ、その思いを言葉にして届けるマリウス葉さんが考えるメンタルヘルスとの向き合い方とは? 今日からでも実践できる、いくつかのアイデアを教えてくれた。
そして、ヘルシーな心を維持するために自分が、社会ができることをタリン氏に取材。「良好なメンタルヘルスこそ、年代問わず全ての女性たちのエンパワーメントの基礎」だと話す彼女に、詳しく話を聞いた。

マリウス葉さんらが実践する、セルフケアとの向き合い方

トークイベントのなかで、自身のメンタルヘルスケアについて「今の自分にはどんなことが必要なのか知るために、まずは自分を“スキャン”しています。一般的に良いとされているメソッドに頼るよりも、自分との対話の中で必要なものを探していくこと。それ自体がセルフケアであり、癒しにもなると思っています」と話したマリウスさん。

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左から、マリウス葉さん、精神科医の星野概念さん、昭和女子大学キャリア カレッジ学院長でケイト・スペード ニューヨーク ソーシャルインパクト・カウンシルメンバーの熊平美香さん、メンタルヘルスや社会課題を発信する「Blossom The Project」代表の中川愛さん

気持ちが落ちているとき、その中でJOY(喜びや楽しみ)をどう見つけるか?というトピックでは「以前は、JOY=ワイワイ楽しみ、笑顔でいないといけないと思っていた。けれど経験を重ね、今はそういう分かりやすい“JOY”だけでなく、自分だけの小さな“JOY”をどんなムードの中でも見つけられるようになってきた」という体験をシェア。

精神科医の星野概念さんも「感情の波はあるものだし、逆にないと心配なくらい。JOYを見つけられないときはそれでOK。焦らずに過ごしていけば、その中で小さなJOYを見つけられるようになって、心がリカバリーしていくもの」と話す。

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そんなマリウスさんが最近行っているセルフケアは、ダンスや歌。「好きな曲にノって体を動かしたり、ダンスをしたり。悲しい歌に共感しながら歌うことや、アグレッシブな曲では叫びながら歌ったりすることで、感情を発散することもあります」

一方クリニックに行ったりドクターに相談することについて、星野概念さんは「大切なのは、自分が安全だと感じる場所・空間で話せるということ。美容師を選ぶときと同じように、合わなかったら変えようというくらいの気持ちでドクターを選んで欲しい。必ずしも専門家が正しいわけではないから、自分が感じることを優先して」と話した。

イベントの最後は「自分のメンタルヘルスが良くないときは、無理せずにきちんとケアをして。誰しも1人ではないから、一度しかない人生を一緒に楽しんでいきましょう!」というマリウスさんのポジティブな言葉で締め括られた。

女性のエンパワーメントには、“VOICE”と“CHOICE”と”POWER“があり、主体性を発揮できる環境が重要

ケイト・スペード ニューヨークは世界に先駆け、大人から子どもまで全ての女性たちへのエンパワーメント支援に力を入れてきた。そのプロジェクトにおけるキーパーソンであるタリンさんに、女性が社会で輝くためにメンタルヘルスが重要な理由などをインタビュー。

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「あらゆる世代の女性たちへのエンパワーメント支援に一層力を入れ始めたきっかけは、2013年以来、ルワンダで女性支援をする団体へ資金と技術提供を行う『オン・パーパス』という取り組みを通してです。チャリティではなく、ケイト・スペード ニューヨークがクライアントとして、サプライヤーであるアバヒズィ・ルワンダに商品の製造を依頼。加えて、メンタルヘルスサポートをはじめとしたライフスキルトレーニングをその全従業員に行っています。

このプログラムを通し、東アフリカの女性たちが素晴らしい才能を発揮し、内面や外面の両方でエンパワーメントを図りながら、家族やローカルコミュニティに貢献していく様子を見てきました」

『オン・パーパス』で目の当たりにした女性たちの変化、そしてブランド創設者の自死を通して、女性のメンタルケアをサポートする必要性を再確認したというケイト・スペード ニューヨーク。さらに2023年には女性たちのメンタルヘルスの実態について、大規模な調査をした。

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ケイト・スペード ニューヨークが生み出した、あらゆる世代の女性たちの良好なメンタルヘルスにまつわる花のフレームワーク

「メンタルヘルスについてまず何をすればよいのか、誰にでもわかるフォーマットを作ろうと思ったのです。そして行き着いたのがお花のフレームワークでした。女性がエンパワーメントされている状態が、花がきれいに咲いている様子。そして、その根の部分が“MENTAL HEALTH”です。まず根の部分を手入れすることで初めて、自己肯定感と自信が手に入ります。そして花開けば、発言力が強化され、自分が進む道を選択する勇気を持てるようになり、自分の人生の舵取りができるようになのです。私たちは、この“VOICE”と“CHOICE”と”POWER“があることが大切だと考えています」

女性のエンパワーメントは過去10年間でより注目されるようになったが、その土壌となるメンタルヘルスケアは軽視されてきたと、タリンさんは指摘する。メンタルヘルスが良好であれば本来の力を発揮し、自分の望む方向へ人生をコントロールすることができる。それは個人や社会にとっても幸せなことなのだ。

“ファッションブランド”だからこそ、メンタルヘルスへの偏見を変えることができると信じている

メンタルヘルスへのダイレクトな支援は、資金提供をしているNPOを介して届けられる部分が大きいが、ファッションブランドという立場でメンタルヘルスの重要性を発信することに大きな意味があるという。

「メンタルヘルスについてはまだ、それを口にしてはいけない空気や、偏見があります。そのスティグマを拭い去り、女性のエンパワーメントとメンタルヘルスの向上という課題を、もっと見えるところに置くことが私たちの使命だと思っています」

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その目的にコミットするため、ケイト・スペード ニューヨークは、本社社員や、北米の小売に従事する社員全員に対して、メンタルヘルスに問題を持つ人に適切な初期支援を行うための『メンタルヘルス・ファーストエイド』の研修を提供している。日本でも研修への適応に取り組んでいる最中だ。

「『メンタルヘルス・ファーストエイド』の受講は、ケイト・スペード ニューヨークの店舗に来た方たちに“気軽にメンタルヘルスについて話してもいいんだ”と思ってほしくて始めたことです。正しい知識を社員全員が身につけることで、店舗での接客時にとどまらず、帰宅してからも夕食中などにメンタルヘルスについて自然と話せるような流れをつくることが大切だと考えました。これがおそらく草の根活動的に、メンタルヘルスへの意識を変えていくことでしょう」

ヘルシーな心を維持するために、自分だけの「癒し方セット」を作っておく

SPURで行ったメンタルヘルスにまつわる読者アンケートでは、仕事や職場環境に起因する悩みを抱える人が多いことが分かった。メンタルヘルスについて理解のある社会を作り上げていくために、私たちにできることは何だろうか? 

「まず、組織においては、上司が部下のメンタルヘルスに与える影響が大きいということを、みんなが知っておくことが大切です。ともに働く者同士がお互いのメンタルヘルスについて気遣えるように、企業全体の取り組みとして、基本教育の中で伝えていくことが重要だと思います」

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セルフケアについてもアイデアを教えてくれた。
仕事をする上で、ある程度のストレスがあるのは仕方がないこと。肝心なのは、ストレスを対処する方法を持っておくことだ。タリンさんはそれをツールボックスと呼ぶ。

「状況に応じて、“このときはこの道具で自分自身をケアしよう”というオプションをいくつか用意するようにしています。心の癒し方は人それぞれで、誰かの方法が自分に当てはまるとは限りません。理想のセットはどこにも売っていないから、ツールボックスの中身は、常に自らアップデートしていく必要があります」

自分の癒し方は、学校では教えてもらえない。自分自身でトライアンドエラーを繰り返しながら、心地よいと思える方法を探っていくのだという。
そこでタリン氏に、自身がいま使っているツールボックスの中身を教えてもらった。

「1つめは鍼の施術を受けること。2つめはランニングです。3つめはアドバイスをくれる仲間に会いにいくこと。相談する内容によって“これはこの人に話そう”ということを決めているのですが、友人に限らず、コミュニティがあることは私にとってとても大事なことなのです。4つめはジャーナリング。5つめはエッセンシャルオイルを使ってリラックスすることです。そして6つめ、今日はどうしてもムリ!という日には大好きな子犬に囲まれて、自分を癒しています」

それぞれレベルの違うツールを用意し、すぐにできるものや週1で使えるものなど、使い分けているそうだ。

「これ以上は無理」のラインを超える前に、自分を見つめてケアをすることが大切

最後にタリンさんは、自分の限界を知っておき、メンタルヘルスの不調が出る前にしっかりケアすることを忘れないでほしいと話してくれた。

「私が個人的に大切だと思うのは、限界ギリギリまで頑張って、“これ以上は無理”というラインを超えないようにすること。それが近づいたら“危ない”と気づけるように、自分の心を見つめてあげてください」

ケイト・スペード ニューヨークには、「病欠」の代わりに「ウェルネス・デー」がある。これは、体調を改善すべく休暇を取るときがあるのと同じように、従業員がメンタルヘルスを健やかに保つために休息をとり、ケアするための休暇。日本の従業員には「生理休暇」や「ボランティア休暇」が設けられている。壊してしまう前にメンタルをケアすることも、日本の社会に必要な考え方かもしれない。

仕事においても、パートナーとの関係性や家庭の中でも、肝心なところで自分の想いを伝えられないことは多い。自分が困っていることや、嫌だと感じたことなど、素直な気持ちを表現することが、周囲とヘルシーな関係を築く力になり、自分らしく花咲く基盤になっていくはず。メンタルヘルスについてもっと気軽に語り合える世界を目指して、まずは自分の心の声をキャッチすることからはじめてみよう。

タリン・バードプロフィール画像
ケイト・スペード ニューヨーク ソーシャルインパクトチーム エグゼクティブ・ディレクタータリン・バード

アメリカ商工会議所財団で女性の経済的エンパワーメントとグローバル企業市民プログラムを創立・指揮。2013年に、ケイト・スペード ニューヨークのソーシャルインパクト担当として入社。同時に、内戦で荒廃したルワンダの女性たちの自立を支援する『オン・パーパス』の中心人物としてプログラムを推進。2024年には『女性のメンタルヘルスのためのグローバル基金』の立ち上げに尽力。2030年までに、25万人の全世代の女性たちにメンタルヘルスとエンパワーメントの各種手段を直接利用できる機会を届けることを目標に掲げている。

「ソーシャルインパクト」について、詳細はこちら

グローバルファンド・フォー・ウィメンズ・メンタルヘルス
日本支援先:非営利団体「BOND プロジェクト」
https://bondproject.jp/ 

ケイト・スペード カスタマーサービス
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