助産師であり、性教育について発信するシオリーヌさんが、さまざまなジャンルで活躍する人と「ご自愛」を語り合う連載。今回のゲストは、子育てインフルエンサーの木下ゆーきさん。家庭での性教育を扱った著書を出版したばかりのシオリーヌさんが、9歳の息子、3歳の娘のパパ(取材時)として奮闘する木下さんに子育てや、性教育にまつわるリアルな体験談を聞いた。
子どもの前で、あえて弱い自分を見せる
S 木下さんは、著書で「子どもの前で、自分の弱い部分を意識的に見せている」と書いていますよね。すごく印象的でした。本当に大事なことだと思います。
K 子どもたちがつらいときに、家で悩みを吐き出せるようにしておきたくて。悩むのは普通のことなんだというのを行動で示すために、子どもたちの前であえて弱音を吐くようにしています。僕も離婚をしたときには、実家にものすごく助けられましたから。
S 自分の親の姿って、ものすごく影響が大きいですからね。子どもの頃は、親は完璧な大人だと思いがちですけど、弱みを見せてくれると「普通の人間なんだな」と安心できそう。
K なかなか酷ですけどね、TVの生放送を終えて帰ってきて、「今日は全然ウケなかったよ……」と子どもに打ち明けるのは(笑)。
S 人に弱みを見せるのは、相手が誰であってもなかなか大変ですよね。特に男性は、なにかと「男たるもの、強くあらねば」と思い込まされていることが多いのでは。木下さんは、そういう葛藤はないのですか?
K 僕は特にありませんね。やっぱり、離婚を経験したのが大きかったのかもしれない。最初は周りにどう思われるかと思い悩みましたが、いざ離婚してみたら、誰も僕のことに興味なんかない。「離婚した? ふーん、そうなんだ」で終わる話。それで、周りを気にする気持ちや変なプライドがなくなって、吹っ切れました。
大変だった思い出が未来の自分を支えてくれる
S 子育て中のストレスは、どうやって解消しているんですか?
K いま、僕はあまり子育てに不満やストレスを感じていないんです。これは本当に妻のおかげですね。とはいえ、子育てをしていると、ショッキングな出来事がしょっちゅう起こる。子どもが牛乳をぶちまけたとか、ティッシュを全部出しちゃったとか(笑)。僕はそういうのを全部メモしています。写真のフォルダにも「悲惨な光景」という項目を作って撮りだめしています。そのときは大変でも、半年後くらいに振り返るとめちゃくちゃ笑えるんですよね。
S 「このとき、ヤバかったな」と笑えますものね。そこで一歩距離を置いて、客観性が生まれるのがすごくいい。これは子育てに限らず大切なことですね。
K 本当にそうだと思います。喜怒哀楽の「怒」や「哀」は、ため込んだままでいると負の感情にしかならないけれど、誰かに話すと笑ってもらえる。「怒」や「哀」こそいいネタになるんです。だから僕は、嫌なことがあるたびに「よし、エピソードトークのネタゲット!」と思うようにしています。そのときはつらい出来事でも、あとから振り返ればきっといい思い出になる。未来の自分を助けてくれるツールになりますよ。
S つらいことも笑いのネタに昇華する。これ、すごく素敵なご自愛スキルだと思います。
K 気持ちに余裕がないとなかなかできないことですけどね。でも実は、子育てで笑いを生むちょっとしたテクニックはたくさんあるんです。ちょうど、それをまとめた本が発売になるので、ぜひ!
S それは楽しみです!
『世界一楽しい子育てアイデア大全』(KADOKAWA)
著者:木下ゆーき
イラスト:モチコ
木下さんの2冊目の著書が2021年12月24日に発売! 日々の子育てを楽しくする、手軽に実践できるアイデアが満載の一冊。
SOURCE:SPUR 2022年2月号「シオリーヌのご自愛SESSION」
interview & text: Chiharu Itagaki