さかなクンも参加! 子どもたちの海洋リテラシーの向上を目指す【SEA BEYOND】が上海で開催したイベントをレポート

プラダ・グループとユネスコの政府間海洋学委員会(以下IOC)によって、2019年にスタートしたプロジェクト「SEA BEYOND(シー ビヨンド)」。「SEA BEYOND」は世界中の若者たちと一緒に、次世代の海洋問題への理解を深めることを目的とした教育プログラムだ。現在その活動は海洋に関する科学研究の支援、地域社会との協働、そして政策提言といった新たな分野にも広がっている。今回は、中国・上海の「プラダ ロンツァイ」で初開催。2025年10月11日〜19日に実施された本プログラムは、オープンから2日間で約1300人が訪れ、大盛況を博した。日本から参加した魚類学者・アーティストのさかなクンが行ったワークショップや、環境写真家エンツォ・バラッコさんの写真展など、盛りだくさんの内容をレポートする。

プラダ・グループとユネスコの政府間海洋学委員会(以下IOC)によって、2019年にスタートしたプロジェクト「SEA BEYOND(シー ビヨンド)」。「SEA BEYOND」は世界中の若者たちと一緒に、次世代の海洋問題への理解を深めることを目的とした教育プログラムだ。現在その活動は海洋に関する科学研究の支援、地域社会との協働、そして政策提言といった新たな分野にも広がっている。今回は、中国・上海の「プラダ ロンツァイ」で初開催。2025年10月11日〜19日に実施された本プログラムは、オープンから2日間で約1300人が訪れ、大盛況を博した。日本から参加した魚類学者・アーティストのさかなクンが行ったワークショップや、環境写真家エンツォ・バラッコさんの写真展など、盛りだくさんの内容をレポートする。

参加者が海洋問題について、インタラクティブに学べる「オーシャン&クライメイト ヴィレッジ」

さかなクンも参加! 子どもたちの海洋リテの画像_1

会場は、プラダ・グループが上海の歴史的邸宅である「栄宅(ロンツァイ)」を修復し、2017年にイベントスペースとしてオープンした「プラダ ロンツァイ」。巨大なステンドグラスの天窓が美しい館内では、IOCが制作した没入型科学巡回展「オーシャン&クライメイト ヴィレッジ」を開催。地球温暖化による、海面上昇の危険性を示す「アップ シー ダウン」や、正常な海水と海水が酸化した状態での海洋生態系の違いを、模型に触って体感できる「フィール ザ チェンジ」など、多様なインスタレーションが展示された。

さかなクンが、海への情熱と「SEA BEYOND」の重要性を熱く語ったトークセッション

さかなクンも参加! 子どもたちの海洋リテの画像_2

司会を務めた、ポッドキャスターのチャン・ジーチーさん(写真右)と中国で俳優として活躍するバイ・ユーファンさん(写真左)。オンラインで参加したティトゥアン・ベルニコさんは、非営利団体コーラル・ガーデナーズの創設者であり、「SEA BEYOND」の親善大使の一人。

イベントの開催を記念し、10月10日に行われたテーマ別トークセッションでは、各分野の著名人が海の環境問題について、さまざまな意見を交わした。日本から参加したさかなクンは、サンゴの保護活動をしているティトゥアン・ベルニコさん、俳優のバイ・ユーファンさんらと対談。深刻化する海洋問題や、「SEA BEYOND」と連携した海洋保護活動、子どもたちへの教育の重要性について、さかなクンは以下のように語った。

「温暖化の影響で、東京湾や房総半島では海藻が減って、サンゴが増えてきています。お魚たちも環境の変化に合わせて住む場所を変えていて、獲れる種類にも変化が見られるんです。さらに、2050年には海のプラスチックの量が、お魚の総重量を超えてしまうともいわれています。でも、悲しいことばかりじゃないんです! かつて日本では、高度経済成長期の頃に“死の海”と呼ばれた場所も、微生物の力で水がきれいになって、お魚たちが戻ってきた例もあります。今、『さかなクン探究隊』は『SEA BEYOND』の支援を受けて、子どもたちと実際に海に行ったり、お魚に触れたりする活動を行っています。多くの子どもたちに、海やお魚について少しでも興味を持ってもらうことが、未来の海を守る、すギョく大切な一歩だと思います」。

自然の美しさを切り取った、環境写真家エンツォ・バラッコの写真展

さかなクンも参加! 子どもたちの海洋リテの画像_3

会場では、エミー賞にノミネートされた環境写真家のエンツォ・バラッコさんが「SEA BEYOND」のサポートのもと、南極大陸、ガラパゴス諸島、アラスカ、ハワイで撮影した作品を展示。溶けゆく氷山や、自然界でたくましく生き抜く野生動物など、気候変動が地球に与えるさまざまな影響を、迫力ある写真を通して伝えた。

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世界中を旅しながら美しい自然を撮影している、環境写真家・気候アーティストのエンツォ・バラッコさん。photo:Prada Group

「SEA BEYOND」の親善大使の一人として活躍するエンツォさんは、環境写真家としてのやり甲斐についてこう語る。「写真に翻訳は不要。今起こっていることを、ダイレクトに伝えるパワーが写真にはあると思います。海は私たちと切っても切り離せない存在です。皆さんにとって私の写真が、海の環境問題を考えるきっかけになればうれしいですね」。

さかなクンのワークショップは、子どもたちに大人気!

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さかなクンの帽子を模した、ハコフグのバンダナを被った子どもたち。

会期中は、実践的な学びの機会を子どもたちに提供する、さまざまなワークショップも実施。さかなクンが行ったワークショップには、中国内陸部の貴州省から訪れた小学生のグループなどが参加した。

さかなクンも参加! 子どもたちの海洋リテの画像_6

ワークショップの後半には、日本から持参したクレヨンを使って、子どもたちが思い思いに魚を描き、出来栄えや感想を発表した。

映画『ファインディング・ニモ』で知られる、クマノミの驚くべき生態をイラストで説明したり、中国の代表的な魚をクイズ形式で紹介したりするなど、さかなクンならではの熱量とユーモアを交えた内容に子どもたちは興味津々。知的好奇心を巧みに刺激するワークショップは、一緒に参加していた親や教師も熱心に聞き入るほど、終始大盛況だった。

海や魚のことを知ってワクワクする気持ちが、子どもたちの学びに好循環を生む

さかなクンも参加! 子どもたちの海洋リテの画像_7

イベントを終えてさかなクンは次のように語ってくれた。「ワークショップに参加した子どもたちが真剣に話を聞き、一所懸命にお魚を描いている姿を見て、とてもうれしかったです。お魚に興味を持つと『自分の目で見てみたい!』『このお魚を食べてみたい!』という気持ちが生まれて、次のステップにつながる。実際に海に行って、触れて、感じることで、“ギョ感(五感)”を通して心に残り、どんな専門書を読んだり話を聞いたりするよりも、生きた学びになります。そうした体験が『海を守りたい』という気づきにつながるんです。今回初めて上海を訪れ、『SEA BEYOND』が真剣に取り組んでいる活動に参加できたことを光栄に思います」。

若者世代への海洋リテラシーの向上をミッションに掲げた「SEA BEYOND」の活動に、今後も期待が高まる。

さらに、海や魚の魅力を通して子どもたちが自然環境について学ぶ「さかなクン探究隊」による、スペシャルイベントが2025年12月14日(日)に開催決定。下記の応募フォームから詳細をチェックして、ぜひ奮ってご参加を。

さかなクン探究隊のスペシャルイベント

さかなクンと東京海洋大学の内田圭一教授による、「海の生物とプラギョミ」のトークセッション

・日時 2025年12月14日(日)午前10時〜11時30分(終了予定)
・会場 東京都港区港南4-5-7 東京海洋大学品川キャンパス 楽水会館 
・参加費 無料。交通費は自己負担
・募集人数 1組4名まで(小・中学生は保護者とともにご参加ください)/定員100名(応募多数の場合は抽選となります)
・応募締め切り 2025年11月21日(金)23時59分まで
・応募方法 下記の応募フォームから、必要事項をご記入の上ご応募ください

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