MeToo運動やフェミニズムの高まりを受けて、セクシュアルハラスメントへの社会の目も厳しくなっている。それでも、軽い冗談から、深刻なものまで、被害に悩む人は少なくない。セクハラにはどう対処し、どう闘ったらいいのか。自衛隊での性被害を告発した五ノ井里奈さんと弁護士の上谷さくらさんに話を伺った。
※この記事の内容は、さまざまな被害を思い出すきっかけとなる可能性があります。 フラッシュバックなどの心配がある方はご留意ください。
五ノ井さんが加害者から謝罪を受けるまで
五ノ井さんは2020年、自衛隊に入隊し、9月に郡山駐屯地(福島県)に配属された。しかし駐屯地ではセクハラが常態化しており、男性隊員から日常的に体をさわられたり、ルックスを揶揄されるようになる。さらに2021年8月、宿泊訓練の際、3人の男性隊員から強い力で押し倒され、性的な接触を強要されるという性暴力を受けた。その場にいた上司も笑って見ていた。ショックから休職し、警務隊に被害届を出すと、3人は書類送検されるが不起訴処分に。一時は自死を考えるが思い直して、2022年6月、自衛隊を退職すると、YouTubeで性被害を告発して話題に。9月、陸上自衛隊のトップが五ノ井さんに謝罪。加害者4人が直接謝罪するに至った。また12月には、防衛省が関係者5人を懲戒免職とした。
「被害を“なかったこと”には、絶対したくなかったんです」五ノ井里奈さんにインタビュー
「少し笑顔でお願いします」とフォトグラファーにリクエストされると、五ノ井さんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。その印象は「闘う人」というより、どこにでもいるような23歳の活発な女性という感じ。「自衛隊にいた頃はいかつくて、“ごのい”ではなくて“ごつい”なんて呼ばれてました(笑)。でも最近は、鍛えていないから筋肉が落ちてしまって」と寂しげにうつむいた。
五ノ井里奈さん
ごのい りな●1999年、宮城県生まれ。4歳頃から柔道を始め、一時はオリンピック出場を目指していた。今も子どもたちに柔道を教えている。人を笑わせることが好きで、将来の夢はテレビ番組「世界の果てまでイッテQ!」に出演すること。特技は、アイスクリームの早食い! 現在、小学館より発売予定の著書を準備中。
五ノ井さんが自衛隊で受けた性被害について、YouTubeで告発したのは昨年6月。その行為の悪質さもさることながら、強大な組織に敢然と立ち向かう姿に多くの人が勇気をもらい、問題は大きくクローズアップされた。
「こんなにおおごとにするつもりはなかったんです。私が求めていたのは、加害者に罪を認め、謝罪してほしいということ。自衛隊を相手に闘っている意識はありませんでした」
そもそも五ノ井さんにとって自衛隊は憧れだった。きっかけは東日本大震災。当時小学生だった彼女は、出身地の宮城県東松島市で被災し、その後、避難生活を送った。
「そこに自衛隊の方々が災害派遣で来ていて、炊き出しをしてくれたり、お風呂を作ってくれたりして。そのときに出会った女性隊員を見て、人のために働くって、かっこいいなと憧れるようになりました」
また、子どもの頃から二人の兄とともに柔道を習い、高校では全国ベスト16入りするレベルに。自衛隊なら競技を続けられるという思いもあり、大学を中退して入隊。しかし、半年の教育期間を経て、郡山駐屯地に配属されると、セクハラ行為が始まった。
「その部隊はセクハラ、パワハラがひどいと聞いていたので、ある程度、覚悟はしていました。でも予想をはるかに上回るひどさでした」。
卑猥な冗談、体をさわるのは日常茶飯事。やがてそれはエスカレートして、“性暴力”と呼ぶべきレベルに発展していく。
「普通の社会では許されないことが自衛隊では許されている。絶対におかしい。間違っていることは、間違っていると言わないと」と、覚悟を決めて上司に訴えた。でも、調査はされたものの、目撃者は誰も真実を証言してくれない。確たる証拠もなかった。「詳細についての記録がなかったんです。すぐに誰かに被害をメールで報告するとか、ボイスレコーダーに発言を録音しておくなど、日時がわかるものを残しておけばよかったと後悔しました」
結局、訴えはうやむやにされ、精神的に追い詰められた五ノ井さんは休職。やがて生きることが苦痛になっていく。「2022年3月16日です。本気で死ぬ覚悟でいたところ、突然、大きな地震が起きて、東日本大震災のことがよみがえりました。生きたくても生きられなかった人たちを思い出して、ここで自分が死んではいけないと思ったんです。そこから徹底的に闘おうと火がつきました」
自衛隊を辞めると、すぐにYouTubeに出演して、実名・顔出しで被害を告発。弁護士も雇わず、自分で調べ、書類を作成した。
「被害をなかったことには、絶対にしたくなかったんです。今も同じような被害にあって苦しんでいる人も多いし、これから入隊する女性も同じ目にあうかもしれないと思うと、とても見過ごすことができなかった」
10万筆を超える署名を集めて、防衛省に再調査を求めた結果、昨年9月、被害事実を認めて陸上自衛隊の幹部が謝罪。10月には加害者からの直接の謝罪も受けた。
「やっとここまできたか、という思いでした。そもそも、騒ぎが大きくなったから謝罪するというのでは遅すぎます。加害者に『なぜすぐに認めなかったのか』と聞いたら、『妻にバレるのが怖かった』と。彼らには家族もいるのに、集団になると平気でセクハラをしてしまうんです。人間って怖いですね」
一方で「悪いのは男性だけではない」とも。「女性幹部も感覚が麻痺していて、部下の女性隊員がセクハラ被害にあっても無関心でした。これでは組織は変わりません。上が変わらなければ、下も変わらないんです」
「これからは“被害者”でなく、ひとりの人間として生きたい」
五ノ井さんの告発は、人々に勇気と希望を与えたが、代償も小さくなかった。特にひどかったのはネットでの誹謗中傷だ。
「被害妄想のように言われて、本当につらかった。実際セクハラの決定的な証拠がなかったので、もし加害者が無罪になったら、その中傷が肯定されてしまうのではないかと思ったりして、すごく怖かったです。また、私の容姿に関する中傷もすごくて……。『自分が告発したのは悪いことなのかな』と考えこみました」
「告発したことで、被害者が職場を追われたり、バッシングにあったりすることがあってはならない」と願う五ノ井さんだが、現実は二重、三重に苦しめられ、心の傷は深くなっていくばかりだ。最近は「被害者」というレッテルを貼られることにもうんざりしている。
「周囲から腫れものにさわるように扱われたり、逆に『やばい、こんなこと言ったら、訴えられちゃう~』みたいにちゃかされることも。地味に心のダメージになります」
12月には、防衛省が関係者5人を懲戒免職にするという処分を下した。「まだひと区切りついたわけではありません。加害者3人に対しては刑事告訴もしているし、防衛省が立ち上げた有識者会議も始まったばかり。闘いはまだ続いているんです。ただ、今までのように被害を発信することはもうしなくていいかなと。今後は、再発防止を働きかけていきたいですし、自分がどう生きていくかを真剣に考えたい」と五ノ井さん。
「『被害者』としてでなく、本来の五ノ井里奈として生きていきたい。人を笑わせるのが好きで、柔道が好き。そんなひとりの人間として、自分らしく生きていきたいです。実は今年、久しぶりに柔道の大会に出る予定です。悔いのないよう準備して、もう一度勝負したいと思います」と楽しそうに笑う。彼女の挑戦はまだ始まったばかりだ。
弁護士の上谷さくらさんに聞く。そもそもセクハラはなぜなくならないの?
「セクハラ」が新語大賞をとったのが1989年。それから30年以上たつが状況はあまり変わっていない。その理由を上谷さくら弁護士に聞いた。
かみたに さくら●弁護士(第一東京弁護士会所属)。桜みらい法律事務所所属。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。福岡県出身。青山学院大学法学部卒。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。女性の人生に寄りそう法律の本『おとめ六法』(共著、KADOKAWA、1,540円)も好評。
“セクハラ人間”は絶滅しない。今後も再生産されていく!?
――まずはセクシュアルハラスメントの定義を教えてください。
上谷 一般的にセクハラとは、「相手の意に反する性的言動」といわれています。「言動」ですから、その範囲は広くて、ちょっとした性的な冗談からレイプなどの性暴力まで、あらゆるものを含んでいると私は考えています。セクハラは、同じ会社内、取引先など、仕事関係はもとより、学内や就活中など、あらゆるところで起こります。セクハラとパワハラが結びついているケースも少なくありません。
――セクハラが社会問題になって、30年以上たちますが、なかなかなくなりません。根源には何があるのでしょうか。
上谷 支配欲、征服欲からセクハラする人、単に手癖の悪い人などもいますが、セクハラの加害者と話していると、「そんなに嫌がっていると思わなかった」「合意があると思った」という弁解をよく聞きます。これが嘘をついているのではなくて、本当にそう思っている節があるんですね。たとえば部下の女性ととてもいい関係だと思っていたとか。でも、弱い立場の人は、好きじゃない相手でも仕事だから我慢していい顔をしているのです。それに気づかないで、「俺は人気がある。何だったら男として好かれている」みたいな勘違いをする人がいるわけです。なぜそこで一段階上がるのかはわからないのですが(笑)。
よく「同じことをしても許される人と許されない人がいるのは納得できない」と言う人がいますが、そもそもセクハラはすべて、お互いの関係性から生じるものなので定型化しづらい。こういうことを言う人は、コミュニケーション能力のない人なんですね。
――しかし今や時代は令和。今のジェンダー教育を受けた若い人たちが大人になれば、セクハラも減るのではないでしょうか?
上谷 私も若い頃、上の世代がいなくなれば、セクハラもなくなると思っていました。でもなくならない。あとの世代がセクハラ加害者に育つためです。会社に就職した若者は、上司や先輩を見て育ちます。権力があって、「こんなことしても許されちゃう俺ってすごい」みたいに勘違いしている人が上にいたら、それが出世する人のモデルになります。一方、上司が堅物の後輩より、猥談に乗ってくるようなタイプを可愛がって引き上げることも。同じような人間が出世し、“セクハラ人間”は絶滅しない。再生産されていくんですね。
――恐ろしいことです……。その悪循環を止める手立てはありますか?
上谷 たとえば同僚や友人で、そういう人がいたら、早めに釘を刺しておくといいと思います。相手に直接指摘しにくいなら「そういうのもセクハラ認定されるみたいよ」「あの会社の人もそれで飛ばされたらしい」などと一般論として教えるのも手。その人が何げなくしている言動に「セクハラ」と名前をつけてあげることで、当事者の意識も少しは変わるのではないでしょうか。
「仕事をする上で、性的な言動は一切必要ないという意識を」
――では、実際に職場でセクハラ被害にあったとき、まず何をしたらいいでしょうか。
上谷 加害者に直接文句を言うのが難しい場合、まずは信頼できる上司に相談するのがいいでしょう。今は社内のセクハラ相談窓口だけでなく、外部相談窓口を設けている会社もありますから、そこに連絡するのもいいと思います。
ただレイプなど犯罪レベルの場合は、被害後すぐに警察に届けることをおすすめします。「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」などもありますが、警察も性犯罪被害への対応の訓練を受けています。警察に行く際、気持ち悪いかもしれませんが、シャワーを浴びたり服を洗ったりしないほうが、証拠となって後々有利に働く可能性が高いです。警察に行くと、状況に合わせて事情を確認の上、すぐに警察と提携している病院に連れて行ってくれます。そこで性感染症の検査やアフターピル(緊急避妊ピル)の処方など、必要な措置を受けられ、それらの費用は公金から支出されます。また、全国共通番号「♯8103(ハートさん)」もぜひ覚えておいてください。ダイヤルするとその電話が発信された地域を管轄する各都道府県の警察の性犯罪被害相談電話窓口に自動でつながるので、対応に迷ったらまずこの番号に電話するのもいいと思います。
――犯罪レベルというと、ほかにどんなものがありますか?
上谷 刑法犯、条例違反に当てはまる行為ですね。たとえば肩に手を回す、手を握るというのは犯罪には当たりませんが、性的部位をつかんだり、執拗にさわったりすると、刑法の強制わいせつに当たる可能性があります。また、犯罪行為には問えなくても民事上の損害賠償を求めることができる場合があります。ただ、訴訟にはリスクも伴うので、弁護士など専門家によく話を聞いて、納得できる解決方法を探ってください。(以下のコラム参照)
――最近は、女性の社会進出に伴って、女性上司から部下へのセクハラも増えていると聞きます。加害者にならないためには、どんなことを気をつけたらいいのでしょうか。
上谷 パワハラは、時には指導のために叱咤激励が必要なこともあるので、指導とハラスメントの境目が難しいです。でも、その点セクハラは、はっきりしています。仕事をする上で性的な言動はまったく必要ないですよね。ですから職場では、性的な言動は控えること。そして常に相手の立場に立って物事を考えることを心がけてください。
いざというときのために知っておきたい
会社に訴えて解決しなかったら、とることのできる選択肢3
任意交渉 民事訴訟 民事調停
「まずは任意交渉がおすすめ。弁護士に内容証明郵便を出してもらい、書面で『慰謝料を払ってください』等と伝えるんです。それをきっかけに相手方と交渉し合意書を作れば、それほど費用も時間もかかりません。もし、任意交渉が決裂した場合、民事訴訟があります。セクハラが原因で休職した場合の休業損害や、精神的な苦痛等による損害賠償を求める裁判です。ただ、時間も弁護士費用もかかる上、ひどい誹謗中傷合戦になりがち。もし、損害賠償が認められても日本は金額が低いですし、相手に財産がなければ1円も回収できないリスクがあり、相応の覚悟が必要です。『民事訴訟までは……』という場合は、民事調停もあります。民事調停は調停委員が双方の主張を聞いて、紛争を解決するもの。裁判ほど厳密な証拠が求められず、調停委員が仲裁してくれるので、民事訴訟ほど激しい争いにはなりにくいです。ただし、相手に出廷義務がなく、無視されたら終わり。事案に応じて納得できる手段を探してください」(上谷さん)
どう対処すべき? ケーススタディ
実際にセクハラに直面したら、どう対応すればいいのか。4つのケースの対処法を上谷さんに教えてもらった。
CASE 1 職場の飲み会にて
男性の比率が高く、旧来の価値観が色濃く残る会社に勤めています。50代の男性部長は、飲み会で20代の女性社員にお酌をさせたり、太ももに手を置いたりとやりたい放題。酔っぱらうと全裸になることもしばしば。さすがに、そろそろやめてほしい。どうしたらいいでしょうか。(メーカー・35歳)
「いまだにこういう人がいるんですね。愕然とします。太ももをさわるのはもちろんセクハラですし、毎回女性社員にお酌をさせるのもジェンダーハラスメントにあたりますから、やめるべきです。『部長、それダメです!』ってビシッと言うのが理想的ですが、若い社員はなかなか部長に『やめてください』と言いづらいもの。ですので、やはり先輩である相談者が、率先して信頼できる上司に相談するのがいいでしょう。このとき、できるだけ何人かの集団で相談に行ってください。団結したほうが力になるし、より説得力があります。また、部長のご乱行を撮影したり、録音したりしておけば、証拠になります。今、企業が最も恐れているのはSNSの炎上。"こんな写真がSNSで拡散でもしたら……"と無言の圧力にもなって、会社は絶対に対応すべく動くはず。部長本人もシラフで自分のご乱行写真を見たら、きっと反省すると思いますよ」
CASE 2 フリーランスの場合
仕事を最も発注してくれる会社の人から、しつこくごはんに誘われしぶしぶ行ったら、帰り際「送っていくから」と同乗したタクシーをホテル前につけられました。走って帰りましたが、怖かったです。仕事がなくなるのは困りますが、これって誰かに訴えられるのでしょうか。(フリーランスwebデザイン・28歳)
弱い立場の人をターゲットにした典型的なハラスメントですね。まず、セクハラ被害を受けたとき、大事なのは、「NO」の意思表示をはっきりとすることです。その場で言えなくても「あれは不快でした」「今後やめていただけませんか」ということをちゃんと伝える。このとき、一連のやりとりを証拠化することも大事です。メールしたり電話を録音したりして記録を残す。日記やメモでも証拠になりますが、あとから信ぴょう性を疑われることがあるので、時期が明確になるような証拠を残すことが大事です。NOと言っても加害者が変わらなかったら、証拠をつきつけて、先方の上司に「担当を替えてもらえませんか」と言っていいと思います。「そんなことをしたら仕事を失うかも」という気持ちもわかりますが、自分の意思次第で嫌な相手との関係を切れるのがフリーランスのいいところ。もっと自分を信じて、きっぱりと立ち向かってほしいと思います。
CASE 3 これもセクハラですか?
35歳、独身でつき合っている人もいません。そのことを職場の上司からたびたびいじられます。「クリスマスも暇でしょ?」「早く結婚しないと、親に孫の顔を見せられなくなるよ」など。私は気にしないようにしていますが、やっぱり不愉快です。これもセクハラですよね?(流通・35歳)
「これは判断が難しいですね。"不当"ではあるけれど、"違法"ではない、グレーという感じ。このケースはセクハラというより、プライバシーの侵害に近いかもしれませんね。もっと性的な発言の場合はまた異なり、卑猥な冗談を言うくらいでは犯罪には当たりませんが、性的な誹謗中傷をしつこく繰り返すと民法上の不法行為に当たる可能性はあります。どちらにしろ不快なのは間違いないので、『そういう話、不快なので、やめてもらえますか』と直接相手に言うか、信頼できる上司や会社の相談窓口に連絡するのがいいでしょう。それにしても『親に孫の顔を見せられない』って、妊娠が難しい体質の人などもいるのに、思慮に欠けるという点でダメな上司です。もし相談しても何もしてくれないようだったら、会社を辞めるのもひとつの手。"逃げ"とマイナスに捉えるのではなく、転職してもっと楽しい職場に移ることも選択肢に入れてください」
CASE 4 セクハラを目撃したら
先日、他部署の20代男性社員が私の部署にやってきたとき、40代の女性課長が「超やせてイケメンになったね!」とはやし立てました。彼は苦笑いでやり過ごしていましたが、後日「あれって性別が逆ならわかりやすくアウトだよね……」と一言。私には何ができるのでしょうか。(アパレル・26歳)
「上でも話した通り『やせたこと』は仕事には関係ないので、職場の話題としては不適切ですよね。もちろん、もし男性のほうから『ダイエット中なんです』という話が以前にあったのなら、「やせたね!」というのはごく自然の会話。『セクハラだ!』と、むやみに騒ぎ立てるのではなく、健康を損ねている可能性があるなら『大丈夫?』『何かあったら力になるよ』と伝えるくらいで十分だと思います。一方、会社は職場環境を快適にする義務があります。以前、ある企業内のAさんとBさんのやりとりについて、当事者はあまり深刻に思っていなかったけれど、第三者であるCさんが職場でイジメが起きていると感じ会社に通告した事例を聞きました。今回のケースの相談者も職場で『やせた』と騒ぎ立てる状況を不快に感じたのなら、そのことを共有したほうがいいかもしれません。ただ、シビアな態度に出すぎてもギスギスして息苦しいので、ほどほどに」