もやもやするあのニュースや、頭にくるあの問題。誰かと話したいけど、何から始めたらいいのか。武蔵野市議のさこうもみさんにお話を聞いた
1994年東京都生まれ。武蔵野市議会議員。国際基督教大学卒業。アパレル企業を経てクラウドファンディングCAMPFIREに参画。子会社GoodMorningの代表に25歳で就任し社会課題解決に取り組む。2023年4月、無所属で現職に立候補し新人トップで初当選。
生活の中で感じた違和感を 身近な人と共有してみる
「『政治の話』というと難しいものと思いがちですが、『給料が上がらない』『妊娠した上司が他部署に飛ばされた』『奨学金、返すのしんどい』……これ全部政治の話なんですね。みんなが困っていることを解決して、暮らしやすい社会にしていくことが政治の役割なんです」
そう話すのは、武蔵野市の市議・さこうもみさん。「政治=生活」だからこそ、政治に関心を持たないと、暮らしで不利益を被ることになると言う。
「たとえば市議の仕事というのは、市民の代表者として、市役所の仕事をチェックすることです。だから市議の年齢や性別などが偏ると、監視機能がうまく果たせないんですね。先日も市の防災課の方と話していて、『災害時の生理用品は、1日何人が何個使う想定で備蓄していますか?』と尋ねて、調査のうえで適切な個数を決めていただきたいと伝えました。市議に当事者がいないと、チェックが疎かになってしまうんです」
ちゃんと選挙に行って、自分の利益を代表して守ってくれる人を議会に送ることが、とても大事なのだ。
「また自治体によって税金の使い方にはかなり差があり、私たちの生活にダイレクトに関わってきます。たとえば武蔵野市は16歳~39歳までは1年に1回、健康診査が受けられますが、自治体によって大きな差がある。自分の税金がどう使われているのかを知ることで、政治はもっと身近なものになるのではないでしょうか」
とはいえ、「政治の話って、なんか気まずい――と尻込みする人の気持ちもよくわかる」とさこうさん。
「まずは生活の中で感じた違和感みたいなものを親しい人と共有するというところから始めるのがいいと思います。この前、友達と昔の洋館を見に行ったら、夫の部屋は超豪華で日当たりもいいのに、妻の部屋は狭くて、日当たりも悪いんですよ。『差別だね』って二人でムカついて。そういう思いを人と共有できると力になりますよね。だから『性差別についてどう思う?』なんて友達に議論をふっかける必要はなくて、友達と映画を観て、『あれっておかしくない?』って話したり、読んだ本の感想を言い合ったりすることから、まずは始めてみてください」
話をして仲間とつながれば、 人の力になっていく
一方、思いをパワーにするには「横のつながり、連帯が必要」とも。さこうさんは、選挙のときから始めた市民との小さな対話集会「むさしのダイアログ」を現在も続けている。
「環境、性教育、戦争など毎回テーマを決めて、喫茶店や会議室などで、お茶を飲みながら気軽におしゃべりするという感じ。『政治について話したかったけれど場所がなかった』という方が多くて、最初はぎこちなくても最後のほうは『わかるわかる~!』とめっちゃ盛り上がります(笑)。
どんな社会にしたいかというビジョンが共有できていると、安心して話ができる。まずは自分の考えに近いグループや団体をみつけてアクセスしてみるのもいいかもしれません」
また今の時代ならではのSNSを通じたつながりにも期待している。
「市議選のとき、私のインスタライブを見て、翌朝、応援にかけつけてくれたボランティアの方が結構いたんですね。一人で参加していた人たちが選挙活動を通して、すっかり仲よくなったりもして。『この人は応援したい』と思う政治家がいたら、選挙を手伝ってみるのもいいと思います。文化祭感覚で楽しめますよ。話をすることで仲間とつながっていく。そんな連帯が今、政治には必要だと思います」