家族の記憶に残る、リラックスしたウェディングをしたい。そんな思いを叶えるために赤堀薫さんが選んだのは、新緑の軽井沢でのファミリーウェディング。舞台となったのは建築美が光るイタリアンレストラン「飯箸邸」。エフォートレスなドレスをまとい、この日のためだけに作られたオーダーメイドのフルコースを堪能した、プライベートパーティの全貌をレポート。

Profile:赤堀薫さん アパレルメーカー勤務、西東京市出身。夫の赤堀竜海さんとSNSラジオ配信を通じて出会い、約2年半の交際期間を経て2023年9月に結婚。ビスポークウェディングを手がける「SaboraMi(サボラミ)」プロデュースのもと、2024年5月11日に軽井沢「飯箸邸」にて、親族11名を招いたウェディングパーティを開催した。現在、千葉県在住。

軽井沢の名建築「飯箸邸」が舞台。赤堀薫さのタイトルイメージ

軽井沢の名建築「飯箸邸」が舞台。赤堀薫さんの思い出を紡ぐ美食ウェディング【ハッピーストーリーvol.90】

家族の記憶に残る、リラックスしたウェディングをしたい。そんな思いを叶えるために赤堀薫さんが選んだのは、新緑の軽井沢でのファミリーウェディング。舞台となったのは建築美が光るイタリアンレストラン「飯箸邸」。エフォートレスなドレスをまとい、この日のためだけに作られたオーダーメイドのフルコースを堪能した、プライベートパーティの全貌をレポート。

Profile:赤堀薫さん アパレルメーカー勤務、西東京市出身。夫の赤堀竜海さんとSNSラジオ配信を通じて出会い、約2年半の交際期間を経て2023年9月に結婚。ビスポークウェディングを手がける「SaboraMi(サボラミ)」プロデュースのもと、2024年5月11日に軽井沢「飯箸邸」にて、親族11名を招いたウェディングパーティを開催した。現在、千葉県在住。

名建築のレストランを舞台にした、ふたりらしい結婚式

軽井沢の名建築「飯箸邸」が舞台。赤堀薫さの画像_1
「肩肘をはらずに、自然体でいたい」。そんなふたりが選んだのは、家族だけのスモールウェディング。

アパレル関係の職につく薫さんと、エンジニアの竜海さん。ふたりが縁を結んだのは、お互いが番組を持つSNSラジオ配信サービス。薫さんのライブ配信を試聴していた竜海さんが、配信に飛び入り参加をしたことが出会いのきっかけだった。偶然にも住まいが近所だったことや、古着が好きという共通点もあり、ほどなく交際がスタート。そして半同棲生活を始めて数ヶ月後に、ふたりに転機が訪れる。

「私の亡き祖母が住んでいた、千葉の住居をどうするかという話が家族の中で持ち上がったんです。当時ふたりで小さなアパートに暮らしていたので、祖母の住居を譲り受けることに。引っ越すタイミングで、入籍をすることに決めました」(薫さん)。 
その後、交際から2年の記念日に、竜海さんから正式にプロポーズ。アマン東京のレストランで食事をした後、手紙と一緒に「日常シーンでも使えるように」と、カルティエのホワイトゴールドのネックレスを婚約の証として贈ってもらったそう。

当初挙式の予定はなく、ウェディングフォトを残すつもりで、薫さんが探し始めたウェディングドレス。運命的に出合ったのは、「SaboraMi(サボラミ)」の一着だった。
「そのセンスやコンセプトに共感していたので、試着会のその日にドレスを購入(笑)。結婚式のプロデュースも手がけていることを知り、ディレクターの水戸守さんに相談にのってもらったのが始まりでした」。
ドレスだけでなく、パーティ会場に至るまでイメージが固まったというこの日。サボラミのプロデュースのもと、ウェディングに向けての準備がスタートした。

軽井沢の名建築「飯箸邸」が舞台。赤堀薫さの画像_2
元は「ドメイヌ・ドゥ・ミクニ」として営業していた場所が、「飯箸邸」としてリオープン。ふたりは新たな「飯箸邸」でのウェディング第1号の、記念すべきカップルに。

水戸守さんの紹介で巡り合ったのは、2023年1月に軽井沢にオープンしたイタリアンレストラン「飯箸邸(いいはしてい)」。近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事した坂倉準三による建築は、モダンな建物と目の前に広がるガーデンが調和した、ナチュラルなムードが魅力。パーティ中は大きな窓を開けて、会場とガーデンを自由に歩き回れるオープンエアな空間に。「リラックスしたパーティにしたい」と思い描く、ふたりのイメージにぴったりのロケーションだった。

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新しくひとつの家族となった両家。この日の軽井沢は天気に恵まれ、庭でゲスト同士がゆっくりと対話をする時間も。

ふたりが招いたのは、お互いの親族総勢11名。もともと仰々しい従来の結婚式に抵抗があったという薫さん。結婚式を考え始めたのは、姉の結婚式に参列したことがきっかけだったという。
「親族と友人の数名を招待した小さな結婚式だったのですが、家族の記憶にずっと残っていたんです。結婚式って大切なものなんだなとその時に実感して。ささやかでもいいから、お互いの家族の思い出に残るような時間を過ごせたらいいなと思って、準備を進めていきました」。

結婚式の開催は、ゲストの移動のしやすさを考慮して、新緑が美しい5月に。薫さんの両親は式の前日から軽井沢に入り、親族は一軒家を貸し切って宿泊をするなど“家族旅行”としても思い出に刻まれた。

プライベートな空間で過ごす、幸せな祝宴

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風通しの良い会場は、必要以上に飾らない、ふたりのナチュラルなムードにぴったり。

パーティ開始前、ガーデンで母からのヴェールダウンを行い、父とふたりで会場まで歩みを進めた薫さん。竜海さんがバトンタッチする形で薫さんの手を取り、ふたりが大きな窓から入場する形で、和やかにウェディングパーティがスタート。

「開始前からゲストが思い思いに会話したり、庭で写真撮影をしたりするなどリラックスしたムードに。鳥のさえずりや木々のそよめきが、サボラミのサウンドディレクター古川さんのセレクトしたBGMに共鳴して、まるで天国にいるような晴れやかな空気感に包まれていました」(竜海さん)。 

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「VOICE」にお任せしたというテーブル装花は、シックなムードが魅力的。

レストランのテーブルは、軽井沢の柔らかな日差しにもよく似合う、ホワイトとグリーンを基調としたクリーンな色彩。テーブル装花とブーケを担当したのは、東京・神宮前のフラワーショップ「VOICE」。クールな印象のカラーや桔梗を潔く挿したシンプルな装花が、シンプルモダンな空間へ。

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パーティは向かい合わせのテーブルセッティングに。「それぞれの関係性をみて、一番バランスがいいと思う席次に配慮しました」。(薫さん)
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パーティ開始前。“母からの最後の身支度”とされるヴェールダウンのワンシーン。

家族のエピソードが着想源! 粋な料理を堪能

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幼い頃から、卵とひき肉のそぼろを、かき混ぜてから食べていたという薫さん。薫さんの一皿だけ、かき混ぜた状態でサーブされた。

この日のメインは、結婚式のために考案されたオーダーメイドの料理。どんなメニューになるかはふたりも当日まで知らされておらず、感動の嵐に! 料理は家族とふたりにまつわるエピソードから構成されたもの。スープに続いて提供されたのは、“薫の三寸”と名付けられた一皿。 

それは薫さんが竜海さんに作った初めての料理「茄子の揚げ浸し」、亡き祖母の故郷・秋田の郷土料理で冬の食卓によく出ていた「きりたんぽ」、そして幼い頃に薫さんが祖母と母によくリクエストをしていたという「卵とひき肉のそぼろ」の三品が、ひとつのお皿の上に表現されたものだった。
「ひとつひとつが、私たち家族のストーリーが詰まったお料理。当時の情景を思い浮かべながら味わう料理は感動的。一品一品が愛おしくて、思わず涙があふれた瞬間もありました」。(薫さん)
コースを完成させるために、ふたりとメールのやり取りを重ねたという飯箸邸のオーナー・宮部さん。当日は宮部さんが料理をエピソードとともに説明。ゲストは、ふたりのプロフィールや思い出を聞いているかのように、興味深く耳を傾けていたという。

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“竜海の三寸”では竜海さんのお皿のみ、お母様の春巻きを再現したビッグサイズ!

新郎の家族にちなんだ“竜海の三寸”は、竜海さんの母がよく作ってくれていたという大きな「春巻き」、ふたりが初デートで食べた「サワラの西京焼き」、そして竜海さんが薫さんに初めて振る舞った手料理「里芋の煮物」。
また、マヨネーズが昔から苦手という竜海さん。それを知りながらも、母が内緒でマヨネーズを混ぜ込んでいたという「たらこクリームパスタ」が“事件なパスタ”という名で登場。
「これは僕が小学生のときの事件(笑)。実はパスタにマヨネーズが入っていたという衝撃の事実を知り、小一時間くらい大泣きしました...」。(竜海さん) 家族しか知らないエピソードがどんどん飛び出し、ゲストは大盛り上がり!

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クリスマスに薫さんが自宅へ帰ると、レストランのようなしつらえでコース料理を振る舞ってくれたという竜海さん。ふたりの思い出を再現した料理のタイトルは「クリスマスディナー」。

メインを飾ったのは、クリスマスに竜海さんが作ったというディナーを再現した、牛ほほ肉の赤ワイン煮。そしてコースの最後に出てきたのは、薫さんと父の思い出のアイスクリーム。
「幼い頃、父と遊園地に行ったときにアイスクリームを買ってもらったんです。うれしくて飛び跳ねたはずみで、落としてしまって。再び買ってもらったけれど、また落としてしまい......さすがに3回も買えないと、ついには食べ損ねてしまったアイスクリームでした」。(薫さん) 
父娘の思い出をなぞった「三度目の正直」と名づけられたアイスクリームが、ウェディングメニューを優しく締めくくった。 

おいしい料理を楽しんでほしいという思いから、特に演出は用意しなかったというふたり。その代わりに、一人ずつから自己紹介を兼ねて一言話してもらう時間をプログラムした。
「ゲストからの励ましやお祝いの言葉は、胸にくるものがありました。自分のことを陰ながら見てくれていたり、応援してくれる存在がいてくれることに勇気をもらった気持ちです」。(竜海さん)

シンプリシティを極めたこだわりのドレススタイル

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試着したその日に購入を決めたというサボラミのドレス。「素材感のある洋服が好きで、シルクの素材感と、着心地の良さもお気に入りです」。

普段はナチュラルなファッションを好むという薫さん。最良の日に選んだのは、シンプルでいて、上質なシルク100%を使用した「サボラミ」のスレンダードレス。飯箸邸のモダンな建築や、軽井沢の大自然に馴染む一着をセレクトした。耳元は「アークオブジェクツ」のセラミックジュエリーで飾って、ミニマルなスタイリングに。

「シックで清らかなデザインに一目惚れ。着用後に黒く染め直して、ずっと着られることにも心を打たれて選びました。等身大の自分を美しく魅せてくれる特別な一着です」(薫さん)。 

ヘアメイクは渡辺みゆきさんが担当。ラフな印象を残したヘアアレンジに、マットなメイクで大人の表情をプラス。初夏の軽井沢のムードにもよく似合う、自然体で軽やかな花嫁姿を完成させた。

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ふたりの程よく力の抜けたクラシカルなコーディネートが、ロケーションによく似合う。竜海さんがセレクトしたアイテムは「ディオール」のシャツ、「ヴェルサーチェ」のネクタイ、「サンダース」のシューズ。

パーティの途中のお色直しでは、インドオーガンジーで仕立てられたサボラミのブラウスをオン。また、竜海さんのスーツは、普段から通っているというヴィンテージショップ「WORN Vintage Clothing」で購入したヴィンテージのセットアップで、シックな装いに。

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シンプルで品のあるアイテムを組み合わせて、自分らしいドレススタイルを表現。

足元はノーブルな印象の「Mame Kurogouchi」のヒールパンプスをセレクト。ふたりがお揃いで購入したというマリッジリングは下北沢のアクセサリーショップ「frank and easy(フランク アンド イージー)」のハンドメイドジュエリーに。 

「以前から好きなお店で、記念日にふたりでアクセサリーを贈りあっていました。オーダーメイドで色々とリングがオーダーできるのですが、たまたまお店に行ったときにサンプルでこのリングが並んでいて、即決! ぷっくりとしたフォルムがお気に入りです」。(薫さん)

結婚式の価値を体感した、忘れられない一日に

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ふたりと両家をリラックスムードへと運んだ、森林に包まれたレストラン。

ウェディングを終えて、結婚式をすることの価値がわかったと語る薫さん。 
「ふたつの家族がひとつになるというだけでなく、これから共に生きていく“ふたりの意識”を共有する場だと感じました。また、素敵な料理と空間の中で、おしゃれを楽しむことは人生の中でもなかなかない、特別な瞬間です」。(薫さん) 
今後は理想の住居で、新しい家族との暮らしを夢見ているというふたり。門出を祝福してくれたゲストとの思い出を胸に、ふたりの新しい物語が始まりそうだ。

[WEDDING DATA]
場所:飯箸邸 プロデュース&ドレス:サボラミ 撮影:松木宏祐 ヘア&メイク:渡辺みゆき 装花:VOICE サウンドディレクター:古川尚篤

FEATURE
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