晩餐会をテーマに、食やファッションに携わる仲間や家族に囲まれて、恵比寿のレストラン「Q.E.D.CLUB」にて結婚式を行った遠藤美穂子さん。「ゲストファースト」をモットーにふたりらしさを表現した、ウェディングの形とは?
 

Profile:遠藤美穂子さん 会社員。東京・学芸大学でヴィンテージのセレクトショップ「TEMPORARY」を経営する中島拓也さんと約5年の交際を経て結婚。2025年3月16日にQ.E.D.CLUBにてゲスト約60名を招待したウェディングパーティを開催した。

食事とワインのマリアージュを堪能。遠藤美のタイトルイメージ

食事とワインのマリアージュを堪能。遠藤美穂子さんの洗練レストランウェディング【ハッピーストーリーvol.95】

晩餐会をテーマに、食やファッションに携わる仲間や家族に囲まれて、恵比寿のレストラン「Q.E.D.CLUB」にて結婚式を行った遠藤美穂子さん。「ゲストファースト」をモットーにふたりらしさを表現した、ウェディングの形とは?
 

Profile:遠藤美穂子さん 会社員。東京・学芸大学でヴィンテージのセレクトショップ「TEMPORARY」を経営する中島拓也さんと約5年の交際を経て結婚。2025年3月16日にQ.E.D.CLUBにてゲスト約60名を招待したウェディングパーティを開催した。

 

ゲストが笑顔になる絶品グルメのウェディング

舞台に選んだのは、格式高い絵画と調度品に囲まれたレストラン「Q.E.D.CLUB」。
舞台に選んだのは、格式高い絵画と調度品に囲まれたレストラン「Q.E.D.CLUB」。

大手メーカーに勤め、マーケティング事業などの分野で活躍する遠藤美穂子さんと、目黒のヴィンテージセレクトショップ「TEMPORARY」オーナー・中島拓也さん。おいしい食事とワインが大好きなふたりが出会ったのは、目黒の人気レストラン「Kabi」。ポップアップストアを開催中だった中島さんと、店内で出会ったのが始まりだったそう。

「当時『Kabi』の近所に住んでいたこともあって、お店に度々通っていたんです。よく海外一人旅へ出かけるのですが、初めて彼と会った時は、ダークツーリズムを織り交ぜた歴史を巡る東欧3カ国から帰国した直後。お店の買い付けで海外経験が豊富な彼はその話を驚かずに聞いてくれたり、行きたいと思っていたジョージアに既に行ったことがあったりして、周りにはいないタイプで面白いなと思ったことを覚えています」。 

その後、交際へと発展したふたり。約3年後の遠藤さんの30歳のバースデーでは、湯河原の料亭旅館で彼からのプロポーズが。「夫婦別姓の形をとりたかったので、約2年間は事実婚として一緒に暮らしてきました。“選択的夫婦別姓“にはまだ時間がかかりそうなことと、大好きな祖母にドレス姿を見せたくて、結婚式をすることを決めました」。

その後約6ヵ月の期間をかけて、会場やドレス選びなど結婚式に向けて本格的に始動。グルメ好きの友人が多いふたりが舞台に選んだのは、フレンチをベースとした本格ガストロノミーが堪能できる「Q.E.D.CLUB」。アートギャラリーのような洗練された空間で「今この瞬間を大切に」というふたりの価値観をコンセプトに、大好きな人たちに感謝を伝えるウェディングを実現した。

洗練ムードあふれる2着のホワイトルック

人前式では「プロノビアス」のドレスに、レースのフードベールを合わせて可憐な装いに。
人前式では「プロノビアス」のドレスに、レースのフードベールを合わせて可憐な装いに。

「結婚式らしく特別感のあるものを」と、遠藤さんがこだわってセレクトしたのは2着のホワイトドレス。セレモニーではバルセロナ発「プロノビアス」のミカドシルクを贅沢に使ったウェディングドレスを着用。プレーンなAラインのデザインにレースをあしらったフードベールを合わせ、ロマンティックなスタイルを完成させた。

「装飾がなく削ぎ落とされたデザイン、それでいてギャザーや長めのトレーンで存在感があり、まさに特別なドレスでした。憧れていたフードベールは、ショップで偶然出合って歓喜したアイテム。あまりに可愛くて、大満足の選択でした」。 

ヘアメイクは友人の一人でファッションや広告撮影などプロのヘア&メイクアップアーティストとして活躍している池田奈穂さんに依頼。2着それぞれで印象が異なるヘアアレンジに。

「センスが光るヘアメイクに感動しきりでした。2着目のドレス用に持参したピアスが壊れてしまったハプニングがありましたが、彼女が着けていたゴールドのピアスをとっさにつけてくださり、それが衣装にぴったり。ゲストにたくさん褒めてもらえたのは池田さんのおかげです!」。

シンプルなドレスに、ヘアメイクと小物で変化をつけたウェディングスタイルを完成させた。
シンプルなドレスに、ヘアメイクと小物で変化をつけたウェディングスタイルを完成させた。

2着目にセレクトしたのは、上品な光沢を放つシルクの、シンプルながらユニークなつくりのドレス。オンラインで購入したというウクライナブランドのドレスを、遠藤さんらしく気取らず等身大な着こなしで登場。足もとはTEMPORARYのストックからセレクトしたというホワイトブーツをプラスして、スタイリングのアクセントに。シニヨンを立体的にまとめエッジーにアレンジしたヘアスタイルに、エターナルなボルドーリップをまとう都会的なコーディネートを披露した。

「ウェディングらしくないスタイリングは彼からも好評で、わたしもお気に入りのコーディネート。ブーケは彼のお店で飾ったりとお世話になっている、目黒のフラワーショップ『花すけ』さんにオーダーしました」。

斬新なアイデアで食事をより楽しく

ケーキではなく3段重ねのチーズの登場にゲストからは驚きの声が。チーズのファーストバイトの演出にも注目が集まった。
ケーキではなく3段重ねのチーズの登場にゲストからは驚きの声が。チーズのファーストバイトの演出にも注目が集まった。

パーティのテーマは「Everything is temporary, yet now lasts forever」。彼の店名“TEMPORARY”にちなみ「今という瞬間を大切に」という想いを込めたもの。心温まる時間を大切に過ごせるように、イベントを最小限にプログラムした。

「普段会って食事をしているときのような、リラックスした雰囲気をイメージ。ソムリエやシェフの友人にも楽しんでもらえるよう料理とワインには特にこだわりました。シャンパンとワインはヴァンナチュールからセレクト。彼がパリで購入してきたものや、自宅のストック、行きつけのワインショップで相談しながら選んだものを組み合わせて持ち込みました」。

おいしい料理とお酒を楽しむことをとことん重視したパーティは、ゲストの話題の中心に。
 

産地直送の野菜や旬の食材を使用した、上品なフレンチを心ゆくまで堪能して。
産地直送の野菜や旬の食材を使用した、上品なフレンチを心ゆくまで堪能して。

料理は旬の食材を使った古典フレンチの技法がベースとなったフルコース。色彩や香り、食感、温度感にこだわり、芸術作品のような一皿一皿をゲストと共に楽しんだ。

パーティのムードを盛り上げたのは、中島さんがセレクトしたBGM。インストゥルメンタルからクラシックまで、音楽好きの友人たちにも好評だったとか。
パーティのムードを盛り上げたのは、中島さんがセレクトしたBGM。インストゥルメンタルからクラシックまで、音楽好きの友人たちにも好評だったとか。

パーティ中は高砂を設けず、自ら歩き回ってゲストと乾杯をしたり、会話を自由に楽しんだふたり。ボルドーのアンスリウムを差し色にキャンドルを飾り、大人の晩餐会のような雰囲気に。自作のウェルカムボードやメニュー表にもボルドーを取り入れるなど、統一感のあるディスプレイに視線が集まった。

ウェルカムボードなどのアイテムは遠藤さんの自作。ふたりで旅したポルトガルの歩道の写真をデザインに。
ウェルカムボードなどのアイテムは遠藤さんの自作。ふたりで旅したポルトガルの歩道の写真をデザインに。

パーティの終盤、新郎の挨拶で中島さんが語ったのは、“今の連続で未来へつながるからこそ、今を大事に過ごそう”というふたりの根本にある本質であり、パーティのテーマ。

「『いつかは終わりを迎えるけれど、今を大切に積み重ねていきたい』という言葉に、ゲストはざわついていましたが(笑)、私たちにとってとても意味のあるテーマ。大切な人たちと過ごした時間は、ずっと大事にしておきたい記憶に残る時間になりました」。

セレモニーでキュートなリングボーイを務めてくれたのは、遠藤さんの甥っ子。
セレモニーでキュートなリングボーイを務めてくれたのは、遠藤さんの甥っ子。
孫の結婚式に参列するのが今回初という遠藤さんの祖母。大好きな祖母との会話も思い出のひとつに。
孫の結婚式に参列するのが今回初という遠藤さんの祖母。大好きな祖母との会話も思い出のひとつに。
ゴールドのマリッジリングはカルティエの「1895 ウェディングリング」。それぞれ太さが異なるデザインからセレクト。
ゴールドのマリッジリングはカルティエの「1895 ウェディングリング」。それぞれ太さが異なるデザインからセレクト。

ひとときの時間の大切さを、再確認した一日に

人前式でのワンシーン。稲穂と胡蝶蘭、新しい発想の装花が会場のアクセントに。
人前式でのワンシーン。稲穂と胡蝶蘭、新しい発想の装花が会場のアクセントに。

引出物には日用品や美容品など10種類を用意し、マルシェ形式で自由に選べる演出に。お色直しの間にくじ引きをして帰る順番を決め、ギフトが平等に渡るよう配慮した。

「いわゆる“結婚披露宴”という型にははまらないパーティにしましたが、新鮮だった、楽しかった、という友人の反応もうれしかったです。『チーズとワインの相性のよさを初めて理解できた』と言ってくれたゲストがいて、色々考えて用意した甲斐があったと感じました。年を重ねると新たな境地の発見は少なくなるけれど、そういった経験を提供できたことは思わぬ喜びでした」。

結婚式を通し、「側にいる友人の温かさと大切さに改めて感謝の気持ちが大きくなった」と振り返る遠藤さん。  

今後は休暇を合わせて、ブラジルやアルゼンチンなどへ冒険旅行をするのが近い目標というふたり。しきたりにとらわれない形でウェディングを実現したように、ふたりらしく感動を求め続ける人生は今始まったばかりだ。

[WEDDING DATA]
会場:Q.E.D.CLUB ドレス:プロノビアス  ヘア&メイクアップ:池田奈穂 写真:koyuki ブーケ:花すけ