家族や大切な人たちとの時間をたっぷりと堪能したい。ヘアスタイリストとして活躍する梶川彩貴さんが叶えたのは、東京を一望できる場所での贅沢なプライベートウェディング。家族との繋がりを感じられる演出やセレモニー、歴史ある建築に映えるモードなドレスルックなど、こだわりの一日に密着。
profile: 梶川彩貴さん
ヘアスタイリスト。美容室に勤める傍ら、フリーランスとしてウェディングのヘアスタイリングを手がける。会社員の梶川和哉さんと2022年9月23日、東京・霞が関の霞山会館(KAZAN KAIKAN)にてゲスト96名を招いたウェディングパーティを開催した。
クラシカルな会場を完全貸切、幸せな時間に浸る
友人の紹介をきっかけに交際をスタートした彩貴さんと和哉さん。休日は美術館へ出かけるなど、インテリアやアートを好むふたりが結婚式の舞台に選んだのは、東京・霞が関にある「霞山会館」。昭和初期に建築された旧霞山会館を高層ビル最上37階に意匠復元させた空間だ。
彩貴さん:「品格のある内装と、ビルの最上階にあり皇居や都心を一望する景色がとても素敵で。ゲストの方に視覚としても、思い出に残してほしいと思ったのも、会場を決めた大きな理由の一つです」。
ウェディングのコンセプトは「記憶に残る結婚式」。ブライダルのヘアスタイリストを多く担当するという仕事柄、人とはかぶらないオリジナルなウェディングを目指したのだとか。挙式が始まる前には、親族とテーブルを囲んでお茶をしながら歓談を楽しみ、さらに両親からのビデオメッセージを視聴する時間が。
「ビデオは、ふたりが産まれた日から今までのエピソードを両親が語ったもの。ふたりと家族のこれまでの歩みや思い出を、ゲスト全員でシェアしてから挙式がスタートすることで“これからの家族のつながり”を深く意識できたし、結婚式の本質を感じられた瞬間でもありました」。
両親とのファーストミートから始めた、感謝を伝えるセレモニー
ふたりの人前式が行われたのは自然光が優しくさしこむ、セレモニースペース。ゲストの入場前に感謝の気持ちを伝えたいと、彩貴さんがセッティングしたのは両親とのファーストミート。
「振り返った瞬間から、すでに母は泣いていて……ここから式が終わるまでもうずっと、一日中泣いていました(笑)」。
ふたりがこだわったのは、家族へ感謝を伝えること。ゲスト全員が挙式スペースに揃うと、まずは両親へ花束を贈呈し、ふたりから、それぞれの家族へ向けた手紙の朗読で気持ちを伝えた。「家族」にフォーカスをしたプログラムにすることで、ふたりが家族を大切に思う気持ちがより伝わる、感動のセレモニーとなった。
マリッジリングは繊細なデザインで、普段のファッションにも馴染む「シハラ」、エンゲージメントリングには「エルメス」のエヴァー・ケリーをセレクト。
エフォートレスなムードをまとうクリーンなドレスルック
ドレスサロン「NUMBER 5(ナンバーファイブ)」で選んだドレスは、カリフォルニア在住の韓国人デザイナー・ジュリエット・キム氏が手掛ける「ニューホワイト」のもの。
「ドレスは直感で決めました! シンプルだけどモード感の中に少し甘さがあるデザインがお気に入りです」。
パーティでは途中、「mutin(ミュティン)」のセンシュアルなドレスにチェンジした。なんと彩貴さんの師匠にばっさりとヘアカットをしてもらい、ボブヘアで入場するサプライズも!
大好きなゲストたちを繋いでいくパーティに
ふたりにフォーカスしたウェディングにならないようにと、演出に工夫を凝らした彩貴さん。彩貴さんの職場であるヘアサロンのスタッフや家族にインタビューを実施したり、ふたりからゲストをひとりずつ紹介していくなど、自然とゲストにスポットが当たるプログラムに。
「当日に知り合ったばかりの友人たちが楽しそうに話していたり、友達の子ども同士が仲よくなっていたりと、大好きな人たちが繋がっていくきっかけになれたことが本当にうれしくて。大切な人たちが側にいてくれる、これだけで十分に幸せだなと心から思いました」。
笑顔に囲まれた“人生の集大成”のようなウェディング
結婚式後、自身のウェディングをきっかけに、「霞山会館」でのブライダルヘアを担当する機会ができるなど“新しい繋がり”が増えているという彩貴さん。
「人生も結婚式も、たくさんの人たちの支えや思いがあるから形になるんだと実感できる、よい機会になりました」。
コロナ禍をきっかけにサロンワークと並行して、フリーランスの美容師としての活動の幅が広がってきたという彩貴さん。ふたりを祝福してくれた人たちへの感謝の気持ちを胸に、美容師という仕事でも幸せの連鎖を生む人生が始まりそうだ。