フランスを代表する美しき家族として、数々の伝説を残しているゲンズブール一家。作曲家のセルジュ・ゲンズブールとその妻で女優のジェーン・バーキンの間に生まれ、小さな頃から女優として脚光を浴びてきたシャルロット・ゲンズブールだが、実は自分の容姿について根深いコンプレックスを抱えていたのだという。子供時代のシャルロット(左上)と家族。父セルジュ・ゲンズブール(右上)、母ジェーン・バーキン(右下)、異父姉ケイト・バリー(左下)とともに。©amanaimages
13歳の時にカトリーヌ・ドヌーブの娘役で映画デビューして以来、『なまいきシャルロット』(1986)の演技等で脚光を浴びたシャルロット。瑞々しくアンニュイな美貌で愛されていたが、当の本人は自分のことを「醜いアヒルの子」のようだと思っていたという。彼女が『THE CUT』誌のインタビューで語ったところにれば、彼女のコンプレックスの元は、父親のセルジュ・ゲンズブール譲りの立派な鼻にあった。
10代の頃から映画女優として注目を浴びて来たシャルロット。©amanaimages
自分の鼻を醜いと気にする思春期のシャルロットに、あるとき父セルジュがアドバイスを授けたのだという。「父はいつも、大きな鼻は個性だと言っていました。私は鼻をお直ししたかったし、自分の鼻が嫌いで、とても恥ずかしかった。でも父は鼻を直すことは最悪の過ちだと言うのです。ジュリエット・グレコは素晴らしい立派な鼻を持っていたけれど、彼女が整形手術をしたら、二度と彼女には見えなくなった、と。だから、立派な鼻はいいもんだって(笑い)」。女性の魅力を知り尽くした希代のモテ男セルジュの言葉だけに、説得力もひとしおだ。
容姿を気にする愛娘シャルロットに、コンプレックスである鼻は個性なのだと説いた父セルジュ・ゲンズブール。©amanaimages
45歳になった今、「若い頃の自分の写真を見ると、素敵だと思える」と語ったシャルロット。「もう少し自分に対して安らかな気持ちでいられさえしたら、はるかに自分自身を楽しむことができたでしょうね」。コンプレックスに悩まされていたシャルロット・ゲンズブールの「鼻」を救った父のアドバイスは、美や個性の捉え方についての大きなヒントになるはず。
コンプレックスを受け入れ、素敵な大人の女性に成長したシャルロット。©GettyImages