そもそもビタミンCとは? 自分の肌に必要なのはどのタイプ? 朝と夜のどちらに使うべき? etc.ビタミンCに関する基礎知識から、今さら人に聞けない(?)素朴な疑問まで、皮膚科医の友利 新先生と、自らビタミンCコスメもプロデュースする、スキンケア研究家の三上大進さんがズバッと解答!
Q1.そもそも、ビタミンCって何?
ビタミンCは、肌に限らず、骨や血管など全身のコラーゲン生成に欠かせない栄養素。成分名は「アスコルビン酸」と表記され、化粧品にも古くから使われてきた、信頼のおける成分。
Q2.ビタミンCの特徴は?
「ビタミンCのいちばんの特長は、優れた抗酸化作用。また、主役級のパワフルな成分でありながら、他の成分の働きを助けたり、相乗効果を発揮したりと、サポート的な役割りがあるのも、スキンケアにおいてビタミンCが重宝される理由です」(友利 新先生)
Q3.ビタミンCは何をしてくれるの?
①活性酸素の除去
②肌の保湿因子を増やす
③メラニン色素の産生を防ぐ
④コラーゲンの成熟を促す
中でも、一番パワフルに力を発揮するのが①活性酸素の除去。
「活性酸素はあらゆるエイジングサインの原因になります。ビタミンCはその活性酸素を除去=抗酸化力が高いので、さまざまな肌悩みに対応できるのです」(友利先生)
Q4.どんな肌悩みに効くの?
化粧品で対応しうる肌悩みのほとんどが上記Q2の①〜④に関わること。
「例えば、シミは③のメラニンへの作用で、たるみやたるみ毛穴は④のコラーゲンへの作用でアプローチできます」(三上 大進さん)
こんな悩みはビタミンCコスメにお任せ!
〇 詰まり毛穴
〇 開き毛穴
〇 たるみ毛穴
〇 テカリ
〇 ニキビ
〇 ニキビあと
〇 茶ぐま *血管が透けて見えてしまうことで起こる赤みや青クマには対応できない
〇 たるみ
〇 くすみ *メラニン色素が原因のくすみに。色素血行不良によるくすみには対応できない
〇 シミ
△ 肝斑 *肝斑の治療で、トラネキサム酸とともにビタミンCの内服薬が処方されることはあるが、ビタミンCがダイレクトに肝斑に効くとは言い難い。
Q5.ビタミンCの種類は?
主にピュアビタミンCとビタミンC誘導体
ピュアビタミンC
ビタミンC誘導体(水溶性、油溶性、両親媒性)
・水溶性ビタミンC誘導体→水に溶ける
・油溶性ビタミンC誘導体→油に溶ける
・両親媒性ビタミンC誘導体→水にも油にも溶ける
そのほかに、純粋なビタミンC=「ピュアビタミンC」に他の成分を組み合わせることで安定性を向上させ、浸透性や即効性などの機能を高めてあるものもある。
Q6.ピュアビタミンCとビタミンC誘導体。肌に対しては何が違うの?
「ピュアビタミンは力価が高い、パワフルな成分なので、ガツンと効果が欲しいときに最適。ただしパワーが強い分、刺激を感じやすいという一面もあるので、肌が揺らいでいるとき、花粉や乾燥などの影響で不安定なときには注意しましょう」(友利先生)
「水溶性の誘導体は即効性が高く、肌の浅い層のトラブル=毛穴、シミ、くすみに効果を発揮してくれるものが多いですね。油溶性の誘導体はゆっくりじっくり浸透するイメージ。肌の奥深くに働きかけるので、たるみやエイジングサインに強い印象です。両親媒性は、水溶性&油溶性のいいところどり。『進化型ビタミンC』、『超浸透型ビタミンC』という名称は、通常、両親媒性の誘導体を指しています」(三上さん)
●ピュアビタミンC
強み→パワフル! 即効性が高い!
弱点→刺激が強い。
どんな悩みにおすすめ?→シミ、ニキビ、くすみなど幅広悩みに。
●水溶性ビタミンC誘導体
強み→安定性・即効性。化粧品に配合しやすい。
弱点→浸透性が低い。
どんな悩みにおすすめ?→毛穴、シミなど、表皮の悩みに効果的。
●油溶性ビタミンC誘導体
強み→ 安定性・浸透性。肌の奥深くまでジワジワ浸透。
弱点→即効性には欠ける。
どんな悩みにおすすめ?→たるみやエイジングサインに。
●両親媒性ビタミンC誘導体
強み→即効性・浸透性。幅広い効果が期待できる。
弱点→安定性に欠けるものが多い。
どんな悩みにおすすめ?→幅広い効果が期待できる。ただし、他より高価。
Q7.化粧品に配合されているビタミンCの種類や効果を自分で見極める方法は?
「化粧品の成分表示を見て、『アスコルビン酸』と書いてあれば、ピュアビタミンC。「〇〇アスコルビン酸」、「アスコルビル〇〇」などの表記があれば、ビタミンC誘導体と考えられます。ただし、日本の原料会社が扱っているビタミンCは100種類近くもあり、すべてを覚えるのは現実的ではありません。お使いのコスメでビタミンCの種類気になる場合はその都度、WEBなどで検索してみると、その種類がわかることがあります」(三上さん)
「ビタミンCの成分の性質的に、化粧水には水溶性の誘導体が、乳液やクリームには油溶性の誘導体が配合されていることが多いですね。」(友利先生)
Q8.ビタミンCの配合率が高いほど、効果も高いの?
そもそもピュアビタミンCはビタミンCの含有率が100%、ビタミンC誘導体はビタミンCに他の成分を組み合わせた成分。その点からもビタミンCコスメの良し悪しを配合率だけでジャッジするのはナンセンス。
「配合率より、メーカーの技術や処方を選ぶ指針にしたいところ。ロート製薬の『オバジCセラム』は、安定性が低いピュアビタミンCの特性を独自の技術で補い、高濃度で配合することに成功。例えば、『ドクターケイ』はビタミンCと他の成分が補完し合い、何度でも抗酸化力が復活するシステムを確立。『ドクターシーラボ』は両親培性の誘導体である『APPS』の研究を極めています」(友利先生)
「化粧品に配合されるビタミンCは原料会社から調達し、処方されますが、そのビタミンC原料によって、推奨されている配合率や具体的な効果が違います。だから、ビタミンCの濃度を必要以上に高めても、肌への効果は変わらないのに、刺激のリスクが増えてしまうこともあるんです。こういった細かいデータをユーザーが全て把握するのは、ほぼ不可能。だからこそ、どんな理念を持って誰が作った化粧品なのか、メーカーの誠実さやもの作りに対する姿勢を知った上で、製品を選んでいただきたいですね」(三上さん)
Q9.ビタミンCのピリピリ刺激やカピカピ感が苦手…。我慢して使うべき?
「長く楽しく使えること、気持ちも高めてくれることが化粧品の醍醐味なので、我慢して使い続ける必要はありません。肌が落ち着いたらまた試してみるか、刺激が少ないビタミンC誘導体を配合したコスメを使ってみては」(友利先生)
「ビタミンCはアスコルビン酸という成分名からもわかるように、酸の一種なので、どうしても刺激を感じやすいのです。ですが最近は、刺激を抑えたものや、保湿成分を組み合わせたビタミンC誘導体も使い心地の優しさから注目を集めています。」(三上さん)
Q10.プチプラにデパコス、価格も様々なビタミンCコスメ。やっぱり高価な方がいいの?
「どんなビタミンC原料が使われているか、原料の原価、配合率量、その他の配合成分なども価格に反映されます。新しい成分である両親媒性の誘導体は、ビタミンCの中では原価が高い成分として知られています。ただし、メーカーによって価格設定の基準は異なるので、一概に、高価なほどいい製品であると言いきることはできません」(三上さん)
「例えばお寿司屋さんに例えると、おいしさやネタの新鮮さ、お店の雰囲気、そしてお会計もお店によってまちまちですよね。化粧品も同じように、自分が何を重視したいのか考えて選びましょう。ただし化粧品で大切なことは、きちんと継続して使うこと。無理して買った数万円の化粧品を1か月だけ使うより、プチプラでも自分に合ったものを長く使い続けるほうが、高い効果が得られるはず」(友利先生)
Q11.流行りの「朝C+夜A」「朝C+ナイアシンアミド」、本当に効果的?
人気の、朝にビタミンC、夜にビタミンA(レチノール)やナイアシンアミドを取り入れるケア。
「朝はビタミンCで日中のダメージに備え、夜はレチノールやナイアシンアミドでダメージをリペアするイメージ。理にかなっていますが、朝だけでなく夜もビタミンCを使うとさらにいいと思いますよ。日本の薬事法で販売が許可されている化粧品では、ビタミンCと併用NGな成分はありませんし、日々のケアに組み込みやすいのもビタミンCの魅力です」(三上さん)
「私も20年近く、朝晩ビタミンCを使っています。ちなみに、ひと昔前に『朝のケアでビタミンCを使うとシミになる』という説は、誤解が生んだ都市伝説。恐らく柑橘類に含まれる『ソラレン』という成分とビタミンCが混合されて広まったものと考えられます」(友利先生)
Q.12ビタミンCコスメを使う上で、注意することは?
「ビタミンCは酸化しやすいデリケートな成分なので、取り扱いに注意。開封したら放置せず、間を置かずに使い切ること。なるべく空気に触れないようにキャップもすぐ閉めて。開封してから何ヶ月も経ったものは、本来の効果が期待できません」(友利先生)
また、よかれと思って大量に使用すると、逆効果になることも!
「何種類も美容液を大量に重ねるのは、実はあまりおすすめできません。理由は、それぞれの化粧品に含まれている防腐剤など、肌にとっては本来不要な成分も何種類も取ってしまうことになるからです。そういった観点では、複数の種類のビタミンCを配合した製品や、多機能な両親媒性の誘導体を配合した製品がおすすめです。また、肌が乾燥している状態でビタミンCを使うと、刺激を感じることがあるので、きちんと保湿をしてから使うとなおよいと思います」(三上さん)
Q.13ビタミンCは塗るより飲む方が効果的?
「塗る&飲む、内外どちらも併用することがおすすめです。ビタミンCを飲むケアでは全身の代謝や内臓の抗酸化に役立ち、塗るケアではダイレクトに肌にアプローチできます」(三上さん)
「ビタミンCを飲むことで紫外線ダメージや炎症は防止することはできるのですが、実は直接的に美肌になる、シミが改善されるなどのエビデンスはありません。とはいえ全身の酸化を防ぐためにも、積極的に摂取することが望ましいでしょう」
摂る量やタイミングは?
「毎日、サプリメントで1000mgを摂る、など決める必要はなく、自分の体がどれくらい酸化しているのか、例えばライフスタイル、食生活、ストレスの有無などで調整を。1日1回まとめて摂るより、こまめに摂るのが効率的です」(友利先生)
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