おお ばらよ おまえは病んでいる!
嵐の吼(ほ)える
夜中に飛ぶ
目に見えぬ虫が
おまえのねどこを見付けた──
くれないのよろこびの──
そして その虫の暗い 秘められた愛は
お前のいのちを滅ぼす。
【解説】バラは古来、人を魅了してきた。魅惑的な花と、めまいを起こさせるような甘い香り。うっかりすれば突き刺さるとげ。ヨーロッパでは、バラは沈黙の象徴ともされてきた。病んでいるバラと、引き寄せられて抗えない虫のイメージには、陰鬱さと底のない甘美さがあり、読む者を誘い込む。
出典:『平凡社ライブラリー ブレイク詩集 無心の歌、経験の歌、天国と地獄との結婚』(平凡社) 土居光知訳
香りの哲学者、ルタンスは語る──。このバラの香りは純粋な発明である。非常にとげとげしく猛烈でスパイシーなバラの香り。自己主張するのになぜか落ち着く複雑な香り。ベルリンの少女を、とげを持つ花にたとえ、その美しさと激情を香りに変換した。
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2016年2月号掲載
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