さよならルコント! ありがとうルコント! #深夜のこっそり話 #1598

見るからに高級そうなお菓子は幼稚園児の子どもでもわかりました。手土産でいただいた箱を眺めながら、「これはいつものとはちょっと違うぞ。早く開けたいな」と美しい包装紙にゴールドの細いひものリボンの箱が気になっておりました。ある日は、ケーキをいただき、「食べるのがもったいない。こんな細い首できれいな白鳥のシュークリームを見たことがない」と思わずあんぐり。夢を運ぶお菓子が「ルコント」でした。

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”子どもたちも楽しくなるお菓子を”という想いから誕生した、ネズミのスウリ―も食べたかった! スワンも本当に優雅なルックス。

大人たちが美味しそうに頬張る姿に我慢できず、「どうしても食べたいから、お願い、お願い」と懇願して、ルコントの人気看板商品である、フルーツケーキを食べた時は衝撃的! まさかこんなにもラム酒がきいているとは夢にも思わず、平静を装うことを試みても無理で、すごい勢いで紅茶を流しこみ、それでも驚きは隠せませんでした。びっくりした顔をしている私を見て、家族はほっこり大笑い。今でも食いしん坊と言われる由縁になったエピソードです。大人が食べているものは100倍輝いてみえる年頃ですから、仕方ありません。そんな青春体験を味わせてくれた特別なフルーツケーキ、今では大好物に。こんなに贅沢にドライフルーツが入り、ラム酒の香る美味しいパウンドケーキは他にあるでしょうか。賞味期限がなかったら、100個は買いたいところです。

というのも、フランス人パティシエ、アンドレ・ルコントさんが日本で初めてのフランス菓子専門店をオープンさせたのが1968年、今から54年前。長きにわたり愛されたルコントが2022年8月31日をもって、閉店することになったのです。

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レモン風味のマドレーヌは昔のままに。「おいしいもの」という意味をもつフリアンはバターの香りたっぷりの美味しさ。

それを知り急いで、8月30日に夕方16時ごろ、松屋銀座に走ったのですが、生菓子は完売。マドレーヌとフリアンがひとつずつ入った50周年の缶セットをかろうじて手に入れました。この缶を見て、ふとした時に思い出してはうるっとしてしまいそうです。

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忘れられない洋菓子といえばこれかもしれません。まるで宝石箱!!

他に類を見ないスペシャリテのパウンドケーキは賞味期限が10月25日ということで、奮発して10個買うことにしました。ざっくりと週1ペースで10個食べきる計算ですが、はたして、計画通り消費は進むのか。センチメンタルな気分が勝って、みんなにも食べて欲しくて配りそうな気もします。

ルコントさんが54年前に日本にフランス式お菓子を紹介してくれて今があること。そして、今も変わらず、ルコントのフランス菓子はとても美味しいこと。感謝をもって、忘れません。そして、いつの日かどこかでまた食べたいなと思い続けます。

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松屋銀座は8月30日までですが、日本橋三越店は明日8月31日まで。お近くの方はぜひ、足を運んでください!
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エディターTARUI

気づいたらメガネやサングラスを集めてました。しかし、何年か寝かせてからかけるという癖あり。ひとりっぷ®修行中。セレブやK-POPを語りがち。

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