華のある生活に憧れて #深夜のこっそり話 #1000

先日知人とディナーをしていた際のこと。辛いものが苦手なはずの彼女が予約したのは、激辛の火鍋。不思議に思ったので聞くと、曰く「好きの反対は嫌い。得意の反対は苦手。私にとって辛い食べ物は、苦手であり好きなもの」なのだそう。矛盾しているようですが、理解できなくも無い話です。得意、不得意は生まれつきのもの。一方で、好き嫌いは様々な経験を通して培われる感性だからです。

言われてみれば思い当たる節があります。苦手だけど好きなもの。私にとってのそれは、花です。

苦手な理由は簡単。花粉症だからです。昔から慢性鼻炎に悩まされており、冬が終わる頃から、初夏あたりまでティッシュを手放せないほどの重症ぶり。桜の季節の花見なんてもってのほか。花より、団子より、アレルギーの処方薬が最優先だからです。

好きな理由も、これまた簡単。綺麗だからです。何年か前、NYブランドのADEAMが東京コレクションでランウェイショーを開催した際に、アフターパーティーのDJを務めさせて頂いた時のこと。ショーが終わった翌週にオフィスに届いたフラワーアレンジメントにいたく感激したのを覚えています。

実用性もなく、食べて美味しいわけでもない。ただ、そこにあるだけで豊かな気持ちになれる。花のある生活の素晴らしさに気づいた私は、それ以降、大切な人のプレゼントには花を選ぼうと決めたのです。

この記事は、母の日に合わせて掲載しようと思っていたのですが、急な海外出張により原稿が間に合いませんでした。皆さまは母の日、どのように過ごされましたか。もし何もできなかったという人は、今からでも素敵なブーケを誂えてみてはいかがでしょう。思いがけない花の贈り物、予想以上に嬉しいものですよ。

フローリスト越智 康貴さん @ochiyasutaka
祐天寺の花屋「イロトイロ」@irotoiro_
ヒップホップキッズが作るフラワーアレンジメント @ichihashiko