2019.08.23

「であい」が欲しい? ならば、図書館へ #深夜のこっそり話 #1143

ロングラン上映中の映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を観てきました。自称“図書館フェチ”の私にとって、“聖地”のひとつであるNYPL(ニューヨーク公共図書館の略)の舞台裏が観られるなんて、「待ってました!」と言わんばかり。

メガホンをとったのはドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン監督。御年89才(!)。ナレーションもBGMも無しでの3時間25分という長丁場ながら、飽きることなく観客を惹きつけるセンス巧みな編集力は衰えることを知りません。

“人力Google”と呼ばれる司書のリサーチの素晴らしさには思わず歓声をあげそうになりましたが、さらに驚いたのは、NYPLの知られざる活動。点字・録音本の整備といったサービスから、就職活動支援といった市民のサポート、ピアノコンサート、著者トーク、ディナーパーティ、ダンス教室といったイベントまで。単なる書庫ではない、書籍と人、情報と人、人と人を繋げる多岐に富んだものでした。

「いまの社会における『情報』や『知識』を考えるきっかけをたくさん与えてくれる」と、映画ライター萩原麻理さんがレビューで書いていたように、世界有数の「知の殿堂」と呼ばれるNYPLが、現代におけるコミュニケーションの場として図書館の役割を浮き彫りにしていたのです。図書館に行けば、「何かにであえる」。そう、この「であい」こそが図書館の付加価値。

事実、私も幼い頃は好奇心の受け皿として、思春期は迷いが生じたときの駆け込み寺として、大人になってからも趣味・実用に関する知識を深める場として図書館を利用していました。今も変わらず私にとって“知のターミナル”でありながら、一冊の本を通して、その著者に興味をもちシリーズで読んだり、ときに同じ書棚にいる人と趣味の話に興じることがあったり、姿は見えずとも同じ本を手にした人とつながりを感じたり。機械的な制御やコントロールをうけない、偶然の「であい」がおりなす、コミュニケーションの場だったような気がします。

せっかくなので、私のお気に入り図書館を。時折通っているのが「東京マガジンバンク」がある都立多摩図書館です。専門性の高い一次情報の宝庫で、関心ごとを深めたいまたは広げたいときにお籠もりする場所です。合計6千タイトルの雑誌を最新号から過去1年分まで揃えています。また書庫には、雑誌約1万8000タイトルのバックナンバーが! 女性誌はもちろん、海外の雑誌が充実しているのがうれしいですね。併設のパン屋のスコーンが好みの食感&フィリングでこれも目当てのひとつ(笑)。

ほかにも、夜遅くまで開館している日比谷図書文化館、食堂目当てに通ってしまう都立中央図書館などがお気に入り。おりしも酷暑の今夏。快適な空調も図書館の魅力。ふらりと目的もなく図書館へお出かけしてみると、(趣味を同じくする好みの男性がいるなども含め)新しい「であい」が待っているかもしれませんよ!

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エディターYOSHIMURA

食べること、カラダを動かすこと、旅することが大好物のアクティブ派。その反動か、ワードローブは甘め嗜好。花柄アイテム&ワンピースがクローゼットを占拠しています。

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