自分の声があまり好きではありません。ちょっぴり甲高くて幼くて。今はだいぶなれましたが、取材時のテープ起こしで自分の声を聞くたびに、落ち込むこともしばしば。
そんな自分の声が、生活に欠かせないバディとして活躍する日がくるとは。市川渚さんがコラムで音声配信について語っているように、音声テックシーンが盛り上がりをみせるなか、私にも声を使った“新しい生活様式”が訪れました。
そのきっかけとなったのは、我が家にやってきたスマートスピーカー 「Google Nest Mini」 。自粛生活で自炊する機会が増えたことを機に、キッチンのパートナーとして迎え入れました。一番の目的は“手ぶら計量”をするため。4人前を2人前で、人が集まるときは4人前を6人前と、レシピにある材料や調味料の分量をアレンジするとき、「25gの1.5倍は?」「500gの30%は?」 と聞けば、音声で答えてくれます。また、塩分の“黄金比”といわれれる、材料の0.6〜0.8%も、質問するとすぐに割り出してくれてとっても便利。おかげで、作る料理の“味のブレ”がだいぶなくなりました。
もちろんエンタメ領域もカバー。料理している間のBGMや、ラジオ、ポッドキャストの再生も声ひとつ。また、料理しているとふとアイデアがひらめくことがよくあるのですが、そのときもスピーカーに話しかければ記録しておいてくれます。
朝は「おはよう」の一言で、時刻、天気、スケジュール、最新のニュースなど、自分が予めセットアップしたアクションをチャキチャキとこなします。インプットもアウトプットもお手のもので、加えて音声の選択を男性にしているせいか、こちらはバディというより頼れる執事のよう(笑)。
仕事のシーンにおいてのエボリューションは、音声入力。Macユーザーだったらファンクションキーを2回叩くだけで、メールやチャットはもちろんほとんどのアプリケーションで音声入力ができます。文章によって適切な変換がなされ、話すスピードにもしっかりついてくる。昔の音声入力機能のそれと比べて、性能が格段にアップしていました。
気持ちを声にだすことで、思考がまとまったり、想いもよらないフレーズがでてきたりといったうれしい副産物も。資料を見ながらの入力にうってつけだから、企画書作りにはもってこいです。何よりもキーボードを叩く割合が減ったので肩こりも軽減しました。まだの人には、折り紙に太鼓判を連打しておすすめしたいです。
発売中の『SPUR』9月号のテーマは、バディ。自分の声がコマンドとなって、暮らしが動き、世界とつながる。声という相棒がもたらすライフスタイルの変化を、引き続き楽しみたいと思います。
食べること、カラダを動かすこと、旅することが大好物のアクティブ派。その反動か、ワードローブは甘め嗜好。花柄アイテム&ワンピースがクローゼットを占拠しています。