食いしん坊にはたまらない、味覚の秋の到来です。本来ならば、オクトーバーフェスト、四川フェスといった、秋のグルメイベントが目白おしのシーズンですが、今年はやむを得ず中止やオンライン開催となるところが多数。
そんななか、毎年楽しみにしている、「フランス レストランウィーク」が開催されるとのお知らせをうけ、プレイベントに伺ってきました。
今年で10周年を迎える「フランス レストランウィーク」は、全国のフレンチレストランで、ランチ・ディナーともに、¥2,500・¥5,000・¥8,000という価格設定でコース料理が楽しめるというもの。発足当初から取材をしていますが、新しいフランス料理、シェフ、お店との一期一会を楽しめるとあって、取材する側としてはもちろん、食べる側としても楽しみにしているイベントです。
伺ったのは、赤坂にある「フランス料理 タンモア」。今年の関東フォーカスシェフである田中いずみさんが切り盛りする、オープン3年目のフレッシュなお店です。
メニューはコース一択。シェフのお母さんが焼いたショープレートにはじまり、ご主人の出身地である秋田のいぶりがっことフレンチ食材を掛け合わせたアミューズ、南仏修業時の味をヒントにしたという冷製ブイヤベース、和食にインスピレーションを得た“大根の付け合わせ”が添えられたお肉料理……。どれもシェフが人生の道すがら出合った、人・もの・ことがエッセンスとしてぎゅっと閉じ込められていました。
思い出しました。私がフレンチのコースに魅了されるのは、これだったとのだと。味覚の韻律の楽しさは言わずもがな、シェフの“物語”を料理をとおして、席を同じくする人と一緒にシェアする一体感。それは“映画”の登場人物に思いを馳せるような、映画について仲間と語らうような感覚に近いでしょうか。お皿が奏でる物語は、どれも唯一無二でドラマティックで、生きるパワーをもらっていたのでした。
店名の「タンモア」は、“とろけるような柔らかい時間”を意味するフランス語。この日も、シェフ、ソムリエ、席をともにした人たちと、料理を通して、とろんとまどろむ時間を過ごせました。そして、この時間こそ、外食の楽しみのひとつだったと思い出しました。
フランス レストランウィークは、2020年9月25日(金)〜10月14日(水)、過去最長となる20日間開催。全国540店舗のフレンチレストランで開催されます。
ウイルスに対する対策はきちんとしつつ、新しい“物語”とのおいしい出合いを楽しみに、できるだけ足を運びたいと思います。
食べること、カラダを動かすこと、旅することが大好物のアクティブ派。その反動か、ワードローブは甘め嗜好。花柄アイテム&ワンピースがクローゼットを占拠しています。