京都といえば日本料理のイメージがありますが、実はパンの消費量が多い都市でもあるんです。京都で生まれ育った私自身、物心ついてから実家での朝食はずっとパンでした。長年の習慣はなかなか抜けないもので、今でも朝に和食を食べるのは元旦と旅行中くらい。高カロリーな食生活を続けてきた自覚はあるのですが、仕方ないんです。だって京都には美味しいパンがたくさんありますから。たとえば志津屋という有名チェーン店の名物「カルネ」。これはもう京都人のソウルフードといっても過言ではありません(上京したての頃は、このカルネが食べられない朝に何度涙を流したことか)。ハムと玉ねぎを挟んだだけのシンプルなフランスパンなのに、なぜこんなに美味しいのか不思議です。それから昭和3年創業「ベーカリー白川」の食パン。トーストしなくてもしっとりとした食感で、今流行りの生食パンの草分け的存在だと私は思っています。食べ盛りの10代を支えてくれた、素朴で優しい味わいです。
こうしてひとつひとつピックアップしていくと枚挙に暇がありません。京都には昔懐かしい老舗パン店が多い一方、最近はおしゃれな新店も急増していて、帰省のたびにひとりパン祭りを楽しんでいます。中でもここ数年、実家に帰るたびに必ず立ち寄っているのがFlip Up!(フリップアップ)ベーカリー。こじんまりした店内は、いつ行ってもお客さんであふれています。種類豊富なベーグルやサンドイッチが人気なのですが、私が一番好きなのはここの抹茶パン。抹茶を生地に練り込んだ、実に京都らしいスイーツパンです。外側はバゲットのような香ばしい生地ですが、中はふわっふわ。ほどよく弾力もあり、この上に寝転がりたいという衝動に駆られます。抹茶のほろ苦い風味に、白豆のホクホク食感とホワイトチョコのまろやかな甘みが絡み合い、三者のバランスは見事。大好きなお笑いトリオ「東京03」の熟成された掛け合いを舌で感じているような気分になります。一切れがわりと大きいのですが、ひとりでペロリといけてしまうキケンな逸品。これがお取り寄せできる日がくることを切に待ち望んでいます!
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。