それはひどい雨の日でした。家から一歩も出たくないのにどうしても郵便局へ行かなければならない事情ができてしまい、しぶしぶ出かけることにしました。足元をびしょびしょに濡らしながら近所の郵便局に着くと、いつもは比較的空いているのに、こんな日に限って混み合っていてゲンナリ。窓口の順番を待つ人たちも一様に物憂げな表情を浮かべていて、そこに追い打ちをかけるように外の湿気が入り込んでねちっこくまとわりつき、小さな局内には重苦しい空気が充満していました。
30分ほど待って、ようやく手続き終了。とっとと帰ろうと出口の方へ振り返ったそのとき、パッと目に飛び込んできたのがこの愛らしい切手でした。「スイミー」や「フレデリック」をはじめ、レオ・レオニの代表作を集めた「絵本の世界シリーズ」第4集。2017年から毎年発行されていて、これまでにも「はらぺこあおむし」や「ぐりとぐら」など名作中の名作が題材となってきた人気シリーズの最新集です。
レオ・レオニの絵本といえば、昔は国語の教科書に載っていた物語という印象しかありませんでしたが、自分が親になって再び出合ったときは、その素晴らしさに圧倒されました。繊細な色づかいや多彩な表現方法だけでなく、ストーリーにも奥深さがあり、何度読み返しても新しい発見があります。気がつけば我が家の本棚にもたくさん彼の作品が並ぶようになり、どちらかというと子どもよりも自分の方がハマっていました。
そんなわけで、ファンとしてはスルーできるはずがない、レオ・レオニ切手との突然の出合い。ぼうっとしていた頭に一気に血が巡るのを感じました。隣に陳列されていたムーミンの切手にも心を奪われ、けっきょく全部で5シートも購入。野暮用で向かった郵便局で思いがけない興奮を味わうことができ、帰り道は土砂降りの雨でも足取り軽やかになりました。
最近はすっかり使う機会も減ってしまった切手ですが、それでもいざという時にあると助かるんですよね。面倒な請求書の郵送業務も、好きな絵柄の切手を貼るだけでちょっと心が弾みます。せっかくかわいい切手を大量買いしたので、コロナ禍で久しく会えていない友人や年賀状を出しそびれた知人に、さりげなく手紙を送ってみるつもりです。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。