みなさんは今年の夏、どう過ごされましたか? 旅が恋しかったコロナ禍2度目の夏休み、私の思い出に残っているのは、以前ギフトでいただいた筒井時正玩具花火製造所の線香花火「花」(感動のわりに写真を撮り忘れてしまいました。ぜひリンクをチェック!)。桐の箱を開けると、10本の花火の持ち手部分の和紙が花びらのように形作られており、まずはその美しい手仕事にびっくり。福岡県みやま市で90年以上玩具花火を作ってきた製造所ならではの職人技により、見た目だけでなく火の保ちも良く一本ずつを長く楽しめるので、一緒に入っていた「蕾」と合わせ、家族でたっぷり堪能できました。
子供の頃から親しんできたバラエティパック入りの手持ち花火って、すごく取りにくいテープを外して並べたり(笑)、次から次へとゴミを片付けたり、とにかく慌ただしいイメージ。フィナーレの線香花火もあっという間に終了し、なかなか風情を感じる余裕もありませんが、線香花火に繊細さ+華やかさを感じたのはここの花火が初めて。燃え方にも「蕾」「牡丹」「松葉」「散り菊」と4つの段階があるのだそうです。情緒がある!
というわけですっかり気に入ってしまい、せっかくなので他のシリーズも試してみました。 今回購入したのは、「東の線香花火 長手牡丹」と「西の線香花火 スボ手牡丹」。線香花火の東西対決です。
左が「東の線香花火 長手牡丹」、右が「西の線香花火 スボ手牡丹」。ともに15本入りで660円です。私はコスパ◎と思いました。
スボ手牡丹は線香花火の原型と呼ばれる、約300年の歴史を持つ花火で、なんと火薬部分を上に向けて遊ぶのですが、これが楽しい! 持ち手がワラスボなのは、関西では米作りが盛んでワラが豊富にあったことにちなんでいるのだとか。
ふーっと息を吹きかけたりして遊ぶのです。
一方の長手牡丹は、和紙の先端に火薬を包んだ、きっと全国的におなじみのタイプ。関西から伝わってきた際、当時の関東地方では米作りより紙漉きが盛んだったらしく、線香花火にも歴史あり、です。
この状態が「松葉」のはず……!
(私にとっての)初の線香花火・東西対決は、物珍しさとストイックなたたずまいにより、西の勝利!
どうやら最近、製造所がTVで取り上げられたようで現在は品薄気味とのことですが、雑貨店などでの取り扱いもあるようです。まだ暑い日も続きそうですが、夏の余韻を感じたい方はぜひお手に取ってみてください。線香花火の概念がきっと変わるはず。湿気のない場所で保存すれば、ワインのように「熟成」もするそうなので(柔らかく温かみのある火花になるのだとか。実は最初に紹介した「花」も、もったいぶっているうちに時間が経っていたのですが、湿気ている様子はなかったです…!)、来年の夏の楽しみに取っておくのもいいかもしれません。
モードとカルチャーの狭間で15年。音楽と鉱石とフレンチフライから逃れられません。