現代人のウェルビーイングにつながり、高い関心が寄せられている"良質な睡眠"。忙しい日々を送るクリエイターは、どんな方法で質のいい眠りを保っている? 各ジャンルで活躍する18名に愛用する"ねむテック"を教えてもらった。
01 心地よい眠りへと導く、快適ウェア
香林居のWear/HARUNOBUMURATA 館内着
龍崎翔子さん(ホテルプロデューサー)
金沢のブティックホテル「香林居」の館内着は、デザイナー、ハルノブムラタが手がけている。「さらりとしたコットン混の素材は、通気性がよく布団の中でも衣擦れしません。シワができづらく、イージーケアなのも魅力的」。体を締めつけないシルエットながら、プルオーバーシャツによって端正な印象に。フロントの紐を絞るとギャザーが寄るデザイン。
PALMのCUP FRENCH NECK VEST
クリス-ウェブ 佳子さん(モデル・コラムニスト)
「肌なじみのよさが気に入り、一年通してパームのカップつきインナーをパジャマとして着用しています。洗うたびにどんどん柔らかさが増していくため、買い替えどきがわからなくなることも(笑)」。素材はコットン100%。ウエストにリブをあしらうことで、フィット感をアップさせている。長めの着丈が、ヒップ周りの透け防止にひと役買う。
ベネクスのスタンダードドライ+ロングスリーブクルーネック ジョガーパンツ
織田信成さん(プロフィギュアスケーター)
「話題の"リカバリーウェア"は、周囲でも多くのアスリートが着用しています。僕はデザインがシンプルなベネクスを愛用。体に寄り添うストレッチ素材が寝姿勢をじゃませず、動きやすい。同ブランドのリカバリークロス+もおすすめで、マッサージを受けるときに体にかけてます」。独自繊維による血行促進作用により、疲労の回復やむくみ、体のコリの改善が期待できる。
TENTIALのBAKUNE Pajamas Gauze
編集H
「美容家やビューティライターの方に教えてもらい、試してみることに。柔らかなガーゼ素材は、心地いい上にやさしい質感なので、肌への摩擦も起きにくそう。美容界隈で話題なのも納得です。ネイビーに白のパイピングのデザインもクリーンで、気分も安らぎます」。遠赤外線を輻射させる特殊繊維が血行を促進し、疲労回復が期待できる。敏感肌にもおすすめ。
正活絹の冷えとり靴下
タカシバユミさん(スタイリスト)
シルク、ウール、シルク、綿の4足を重ねて履くことで空気の層ができ、暖かく。華やかなカラー展開も人気。「真夏も快適に着用できるのでシーズン問わず、かれこれ10年近く愛用しています。足もとが暖かいと寝つきもよくなります。締めつけがなくノンストレス!」。
02 一日の終わりに体が喜ぶ寝具
西川のDots ヘルシーピロー
編集R
「朝起きるたびに、肩首が痛いのが長年の悩み。"#首のこりやすい方へ"というストレートなキャッチフレーズで話題のこちらは、ポコポコとした突起状の表面が特徴。頭や首を点で支えるので、頭の重みが分散し、首への負担が軽減! 首すじに沿う独自の形状が、やさしく支えてくれるのも心地いい」。西川の機能性寝具ライン、「西川睡眠ラボ」から誕生。横向き寝の肩にもフィットする形。側地は自宅で洗濯可能。
マニフレックスのエア・トスカーナ
タカシバユミさん(スタイリスト)
イタリアの高反発寝具メーカーが開発。柔らかさと確かな反発性を兼ね備えた、バランスのよさが人気。「ブランドの高反発マットレスのファンでしたがやはり枕も最高でした! やや硬めの使用感でしっかりと頭や首が支えられている感覚が快適」。
コアラのオリジナルコアラマットレスとコアラベッドフレーム
竹淵智子さん(スタイリスト)
体圧分散に加え、「ゼロ ディスターバンス®」技術が衝撃を瞬時に吸収する。「ちょうどいい硬さで快適に眠れます。振動が少なく本当に朝までぐっすり! フレームはネジなどがなく木材のみ。環境にやさしい上に、パズルのように差し込むだけで完成する手軽さも素晴らしいです」。
テイジンの掛け布団 シングル ミクロガード®
ヒラノマリさん(スリープトレーナ—)
「いい掛け布団の条件は、暖かい、軽い、湿気がない、長持ち、ドレープ性。その点こちらは、空気が留まり優れた保温効果を発揮する、軽量の中綿を採用。さらに側生地に配された波型の特殊キルトがドレープ性を高め、寝返りしても布団がついてきてくれます」。オールシーズンに対応。ネットに入れれば自宅で洗濯できる。
レガリアのインシグニア デラックス
松田陽子さん(「BYOKA」ディレクター)
「やわらかく心地よいフィット感と、動いても隣で寝ている人のじゃまをしないクッション性に惚れ込んでいます。ラグジュアリーホテルで採用されているマットレスと比較しても、こちらのほうが快適と感じるほど!」。優れた弾力性が、理想的な寝姿勢へと導く。2種類のコイルを組み合わせることで、荷重がかかる腰部分もしっかりサポート。
エアウィーヴのマットレスパッド エアウィーヴ 01
郡山雅代さん(プロップ スタイリスト)
「信じられないくらい、快適な寝心地に驚き! 仙骨の痛みと腰痛に悩まされていたのですが、体が沈み込まないので楽になりました。もう手放せません。ホテルでもエアウィーヴマットレスを選べるときはお願いしています」。適度な反発力のあるエアファイバー®が心地よさの秘密。肩まわりは柔らかいため寝返りも打ちやすい。
Sleepy Tofuのスリーピー・とうふ マットレス
龍崎翔子さん(ホテルプロデューサー)
2018年にクラウドファンディングでスタートした台湾のブランド。「現地のミレニアル世代から絶大な人気を得ています。理由はコイルマットレスとウレタンマットレスのいいとこどりをしている2層構造。アジア人の体格や体のバランスに合わせて開発されているので、安心して身を預けられます」。
03 おしゃれで気持ちのいいベッドリネン
トゥモローランド ホームのベッドリネン
ジゼル・ゴーさん(「DAMDAM TOKYO」ファウンダー)
「季節やインテリアに合わせられる豊富なカラーが魅力。私はベージュとダークブラウンを愛用。洗っても型崩れしにくいところもお気に入りです」。昨年冬にデビューした新ライン。ヨーロッパ産の亜麻を使い、ポルトガルで織りから縫製まで仕上げた。使い込むほどに風合いが増す。
スリープテイラーのノーブル カバーリング3点セット
郡山雅代さん(プロップ スタイリスト)
「色は無機質な白の無地、肌ざわりはしっとり、というこだわりを満たしてくれるシーツを探していて、たどり着きました。使い続けてもしなやかさが持続する点も素晴らしいです」。素材は日本製の綿100%。極細糸をサテン織りすることで、シルクのようななめらかな質感を実現。
エシャペのロウ スムース リネン
クリス-ウェブ 佳子さん(モデル・コラムニスト)
「100%リネンならではの心地よいシャリ感は、ベッドに入るのが楽しみになるほど。触れた瞬間、一日の疲れが吹き飛びます。ノンブリーチかつノンダイにこだわった、ニュートラルエクリュの美しさにも惚れぼれします」。温度や湿度の調節機能を持つ亜麻は、一年中快適な眠りを後押し。
マグニバーグのウォール ストリート オックスフォード デュべカバー
矢内麻友さん(スタイリスト)
ストックホルム発のベッドウェアブランド。上質なエジプト綿のオックスフォード生地を採用している。「寝室は家族みんなで寝る場所なので、ユニセックスな雰囲気のデュベカバーを愛用。ドライでなめらかな質感は、シャツに包まれているようで心地いいです。素敵な本の装丁のような箱に入ってくるのも特別感がありうれしい!」。
ラルフ ローレン ホームのHawkinsハーフブランケット
上野真依さん(ライター)
「カシミヤ100%ゆえの、とろけるような肌ざわりに日々癒やされています。大判サイズにすっぽり包まれる瞬間はまさに至福! シックなネイビーのワントーンは、ベッドやソファに何げなく掛けておくだけで様になるのも魅力的です」。エッジには、ブランドのイニシャルをグラフィカルに表現した「RL」のスタックロゴを配した。
04 巡らせ、整える。ほぐしグッズ
官足法究楽部の赤棒
タカシバユミさん(スタイリスト)
「仲里依紗さんがYouTubeで紹介されているのを見て購入。それ以来官足法にハマってしまい、認定講師資格まで取ってしまいました!(笑)。この赤棒は太もも、膝裏、ふくらはぎから足裏までくまなくほぐせるほど万能。特に足裏を揉むと目覚めが本当に変わります」。足全体にアプローチすることで全身の血行が促され、自己治癒力や免疫力のアップが期待できる。
マイトレックスのアイリズム
飯島朋子さん(スタイリスト)
「仕事柄出張が多く、機内で過ごす時間を快適にするために使用。アイマスク感覚で着用すると、癒やしのBGMとともに目まわりを刺激するやさしいマッサージが始まります。リラックスしつつ眼精疲労も解消」。眼輪筋に沿った16個の突起でタッピング。
ニューピースのモーションヘッド
ヒラノマリさん(スリープトレーナー)
「ワイドヒーターがコリやすい後頭部から首の後ろを温め、内蔵されたエアセル(空気の袋)が頭をストレッチする優れもの! 自律神経を気軽に整えることができ、自宅にいながらヘッドスパに行ったような感覚を味わえます」。プレスの仕方が変わるスリープ、ヘッドスパ、リフレッシュの3コースを搭載。強さのレベルも3段階で切り替えられる。
05 入眠を促す、癒やしアイテム
アマナマナのチベットシンギングボウル
ジゼル・ゴーさん(「DAMDAM TOKYO」ファウンダー)
専用のスティックで金属製の器を叩いたりこすったりすると、ヒーリング効果があるといわれる倍音を奏でられる。「側面にあまり彫りのないシンプルなデザインが気に入っています。心の奥深くまで響く音を聞いていると、とても落ち着きリラックスした状態で眠りに入れます。日々のメディテーションに欠かせません」。職人が手打ち鍛造で一つひとつ丁寧に製作。
グラスハウスのフレグランスキャンドル「KAKADU DREAMING」
CRAZY COCOさん(コメディアン)
オーストラリア生まれの手作りアロマキャンドル。2つの芯でワックスをまんべんなく溶かし、香りを早く部屋全体に広げる。「親友のオーストラリア人CAが自宅で使っていて、あまりの香りのよさに思わず手にしたのがきっかけ。ウォーターリリーを基調とした甘さと爽やかさが絶妙で、心が安らぐ。6年ほど前から愛用しています」。
ルピシアのエルダーフラワー&カモミール
CRAZY COCOさん(コメディアン)
「お笑い芸人になる以前、外資系航空会社のキャビンアテンダントとして働いていたのですが、当時、時差がつらく、寝つきが悪かったんです。フライト中も休憩で仮眠を取るのですが、先輩クルーに『カモミールにはちみつを入れて飲むと眠れる』と教えてもらい、習慣化しました。カフェインレスだから、寝る前も安心です」。エルダーフラワーとジャーマンカモミールのブレンドが爽やかでやさしい風味。
バンクチュールの和蝋燭 キャンドルボックスセット
龍崎翔子さん(ホテルプロデューサー)
オートクチュールバスルームブランド「バンクチュール」が展開するオリジナルプロダクト。「快眠に不可欠なのはリラックスできるお風呂時間。10分と20分の短い燃焼時間の和蝋燭は、入浴中に瞑想しながら心の落ち着くひと時を過ごせます」。セットのキャンドルボックスは、余剰タイルから作られた陶磁器製。蓋は裏返すと、キャンドルトレーとして使用できる。
マックス・リヒターのCD「フロム・スリープ」
瀬川誠人さん(「SEEALL」デザイナー)
ポスト・クラシカルを代表する作曲家、マックス・リヒター。このCDの曲は、神経科学者へのリサーチを経て、良質な睡眠のために書かれた。「聴くのではなく、空間を埋めるように無意識下で鳴り続ける音楽。ベッドで読書などをするときにかけ流し、そのまま寝ています。今では聴き始めると、入眠のスイッチが入るように」。
クオカのエピキュアブレンド ワイルドピーチ ハンド&ボディローション
郡山雅代さん(プロップ スタイリスト)
「本当にもぎたてのピーチのようなフレッシュさ! 初めて使ったときからこの香りのとりこに。スキンケア成分も配合されているので保湿力も高く、かゆみが出るほど乾燥した脚もしっとり潤います。癒やされながらゆっくり休めるようになりました」。保湿成分としてホワイトトリュフと白樺の樹液を配合。
ヨハクのアロマオイル モンクツリー
小笠原夏未さん(スタイリスト)
400年以上の歴史を誇る日本香堂が、2021年に始めたフレグランスブランド。モンクツリーは、日本のヒノキをベースにゼラニウムなどのフローラルノートを加え創香している。「ヒノキの香りが好きで、就寝前にウッドチップに数滴垂らしてリラックスしています。ほかの香りの主張が控えめで、木をしっかり感じられるところがお気に入り」。
デイリリーのEAT BEAU-TEA
クリス-ウェブ 佳子さん(モデル・コラムニスト)
原材料は、大きめにカットされたナツメチップス、龍眼、黒豆。「和漢素材によるノンカフェインの食べられるお茶。お湯の中でふやけた龍眼がライチのようにジューシーで、小腹も満たせて体もぽかぽか。リラックスしたい夜は欠かせません」。スナックのようにそのまま食べたり、ヨーグルトのトッピングにするのもおすすめ。
ソーデンライトのPL1 ポータブルライト
矢内麻友さん(スタイリスト)
英国生まれのデザイナー、ジョージ・ソーデンが手がけた。「読書灯として使っています。やさしい光なので、寝る前でもじゃまになりません。シリコン製の傘は子どもが触れても安心。デザインや色の種類も多く、幅広いテイストの部屋に合わせやすいです!」。天面がタッチ式のスイッチになっており、長押しで調光も可能。260gと軽量で気軽に持ち運べる。
スリープトレーナーに聞く、快眠の秘訣最前線
良質な睡眠は、心身の健康だけでなく、コミュニケーション能力や仕事効率のアップにも関係していることが研究結果で判明しています。そんなQOLを高めてくれる睡眠は、7時間以上が理想。しかし、日本人の睡眠時間は、世界ワースト1位で、約40%が6時間未満というデータも。では、睡眠の質を上げるためにはどうしたらいいのか。自律神経や体内時計に働きかける食事や運動といった〝体の内側〟と、ベッドや枕といった〝体の外側〟、両面からのアプローチが必要です。どちらか片方だけを整えても意味をなさない。外側からのアプローチとして効果的な快眠グッズや寝具は積極的に取り入れるのがおすすめです。
特に寝具は日々進化を遂げており、なかでも良質な素材と最先端の科学技術を掛け合わせたものや、サステイナブルな構造のアイテムが注目を集めています。たとえば、枕の場合は、忙しい現代人の脳の温度を下げる設計や素材を採用したもの。マットレスは、環境への負荷を軽減するコイルレスや、分別が容易なものがトレンドです。
また寝具ブランドといえば、ベッド文化が根づく欧米発であることが大半でしたが、近年は、帝人発の「YUAMI®」をはじめ、アジア発の寝具ブランドも増加しています。
日本で唯一のアスリート専門の睡眠パーソナルトレーナー。メジャーリーガーの藤浪晋太郎投手や、卓球の平野美宇選手をはじめ、数多くのプロアスリートに睡眠指導を行なっている。