アンジェリーナ・ジョリーという生き方

9月19日(現地時間)、米女優アンジェリーナ・ジョリー(41)が、夫で俳優のブラッド・ピット(52)との離婚を申請したことが明らかになった。世界に衝撃が走ったビッグカップルの離婚騒動。成立すれば、アンジーは3度目、ブラピは2度目の離婚となる。ふたりの馴れ初めから現在に至るまでの12年間の歴史を、アンジーが選択した7つのターニングポイントとともに振り返る。

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【23歳:オスカー女優の称号】


2000年に結婚したアンジーとビリー・ボブ。Photo:Getty Images

1975年、米俳優ジョン・ヴォイトと米女優ミシェリーヌ・ベルトランの間に誕生したアンジー。幼少の頃から映画に親しみ、1982年には父が主演する映画『大狂乱』で映画デビューを果たす。1998年のテレビ映画『ジーア/悲劇のスーパーモデル』でゴールデングローブ賞主演女優賞を、翌1999年の『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を獲得し、実力派女優としての地位を確立した。私生活では、1995年に『サイバーネット』で共演した英俳優ジョニー・リー・ミラーと最初の結婚をするも1999年に離婚した。2000年には、『狂っちゃいないぜ』(1999)で共演した、20歳年上の米俳優ビリー・ボブ・ソーントンと結婚。当初、アンジーは左腕にビリーの名前のタトゥーを入れたり、互いの血液の入ったカプセルを身に着けたりとワイルドな行動が話題になるが、3年後に離婚する。


2000年に結婚したジェニファーとブラピ。Photo:Getty Images

ブラピは、24歳の時に『追いつめられて』(1987)の端役で映画デビュー。着々と話題作に出演し、1995年の『セブン』でブレイクし、同年の米娯楽誌『ピープル』の「最もセクシーな男」に選ばれた。1999年の『ファイト・クラブ』で名実ともにトップスターの仲間入りを果たす。私生活では、アンジー同様に共演者との熱愛が多く、有名なところでは、テレビ映画『トゥルー・ブルース』(1990)や『カリフォルニア』(1993)で共演した米女優ジュリエット・ルイスと5年間交際し、『セブン』で共演した米女優グウィネス・パルトローとは一時期婚約までしたが交際3年で破局した。そして、2年間の交際を経て、2000年に米女優ジェニファー・アニストンと結婚。米カリフォルニア州マリブでプライベートな結婚式を挙げた。

【26歳:現代のマザー・テレサ】

2001年、UNHCR親善大使に任命されるアンジー。Photo:Getty Images

2001年の『トゥームレイダー』で大成功を収めたアンジーは、一躍世界的な人気を獲得する。また同作の撮影で訪れたカンボジアで慈善活動に目覚め、同年UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に任命され、現代のマザー・テレサと呼ばれるほど精力的に現在も活動を行っている。また、その一環として、2002年に当時1歳だったカンボジア人のマドックスくんを養子として引き取った。

【28歳:ブラッド・ピットとの出会い】


2005年3月の『Mr.&Mrs.スミス』ランチョンパーティにて。不自然な距離をとるアンジーとブラピ。Photo:Getty Images

アンジーとブラピが殺し屋夫婦を演じた、2005年の『Mr.&Mrs.スミス』。当初、妻役には豪女優ニコール・キッドマンがキャスティングされていたが、スケジュールが合わず降板し、アンジーに白羽の矢が立った。公開前年の2004年5月にクランクインすると、撮影現場ではブラピがアンジーや息子のマドックスくんと親密になっていると度々メディアで報道された。するとブラピは当時の妻ジェニファーとの不仲説が囁かれるようになり、2005年3月にジェニファーが離婚を申請し、10月に離婚が成立。交際期間も含めて7年間のジェニファーとの関係に終止符を打った。また同年7月にアンジーは2人目の養子となる生後6ヶ月のエチオピア人のザハラちゃんを引き取り、離婚成立後の12月にブラピはマドックスくんとザハラちゃんの養父となる手続きをし、子どもたちの姓は「ジョリー=ピット」となった。当時は熱愛を否定していたふたりだったが、後に映画の撮影中に恋に落ちたことを認めている。この頃からメディアはふたりの名前をひとつにして「ブランジェリーナ」と呼ぶように。

【30歳:出産、8人家族へ】


2008年、双子を妊娠中のアンジーはカンヌ国際映画祭で美しいマタニティドレススタイルを披露。hoto:Getty Images

2006年1月、『ピープル』誌でアンジーは初めてブラピとの関係を公に認め、彼の子どもを妊娠していることを明かした。5月にアフリカのナミビアで実娘シャイロ・ヌーベルちゃんを出産。ちなみに「シャイロ」とは「救世主」「幸福なもの」の意。アンジーとブラピは、シャイロちゃん初公開写真の掲載権利を『ピープル』誌に410万ドル(約4.7億円)、英『ハロー!』誌に350万ドル(約4億円)で契約し、同年設立したチャリティ組織「ジョリー・ピット基金」を通して全額を慈善事業へ寄付した。


2011年、『マネーボール』のジャパン・プレミアのために来日する一家。Photo:Getty Images

2007年3月にベトナム人のパックスくんと養子縁組し、その翌2008年7月には、仏ニースで男児ノックス・レオンくんと女児ヴィヴィアン・マーシェリンちゃんの双子を出産する。今回も契約金を慈善事業へ寄付することを条件に『ピープル』誌と『ハロー!』誌に双子の写真を提供。この時の契約金は1100万ドル(約11.7億円)から1400万ドル(約15億円)と推定されている。同年、ギネス・ワールド・レコーズ社より「ハリウッドで最もパワフルなペア」に認定。2011年には『マネーボール』のジャパン・プレミアのため、家族8人で仲むつまじく来日する様子もキャッチされている。

【37歳:婚約と乳腺切除】


2014年3月、ブラピが製作を務めた『それでも夜は明ける』(2013)がアカデミー賞作品賞を受賞し、授賞式に夫婦揃って登場。Photo:Getty Images

2012年4月、アンジーとブラピは交際7年目にして正式に婚約したと代理人が発表した。夫婦という形にこだわりがなかったふたりだが、子供どもたちの後押しがきっかけになったと言われている。

その翌2013年5月アンジーは米新聞紙『ニューヨーク・タイムズ』に寄稿し、2月に乳がん予防のために両乳腺を切除する手術を受けたことを明かした。アンジーは母親のミシェリーヌさんを2007年に卵巣がんで亡くしており、乳がんと卵巣がんの発生が高くなるとされる遺伝子「BRCA1」に変異があり、「87%の確率で乳がん、50%の確率で卵巣がんを発症する可能性がある」と診断されたため、今回の決断を下したという。この予防手術の公表は世界に大きなインパクトを与え、「アンジェリーナ効果」と呼ばれた。3ヶ月に渡る手術と治療の間、ブラピはすべてに付き添い、アンジーは寄稿文で「ブラッド・ピットという愛と献身に溢れたパートナーがいて幸運だ」と感謝の気持ちを述べている。

【39歳:結婚と卵巣・卵管切除】


『ピープル』誌の表紙を飾ったアンジーのウェディングドレス写真。Photo:WENN/amanaimages

約2年の婚約期間を経て、2014年8月、南仏プロヴァンスにふたりが所有するシャトー・ミラヴァル敷地内の教会で、親戚のみ約20名ほどを招待したプライベートな結婚式を挙げた。アンジーのウェディングドレスは、「アトリエ ヴェルサーチ」のルイジ・マッシのデザインで、ヴェールには6人の子どもたちが描いた絵が刺繍されていた。また、ウェディングケーキはパックスくんが手作りし、ふたりは「家族にとってとても幸せな時間だった」と語っている。その足で、ふたりは子どもたちと一緒にマルタ共和国のゴゾ島に向かい、現在公開中のアンジーが監督・脚本・製作・主演を務める『白い帽子の女』の撮影を行った。倦怠期の夫婦を描いている同作だが、挙式直後ということもあり撮影現場は和やかだったとか。


2015年3月の「キッズ・チョイス・アワード」に長女ザハラちゃんと次女シャイロちゃんと一緒に参加したアンジー。Photo:Getty Images

そして翌2015年3月、アンジーは『ニューヨーク・タイムズ』紙に再び寄稿し、卵巣と卵管の切除を公表した。毎年受けている定期検査で、初期の卵巣がんの可能性があることを医師に告げられたアンジーは、卵巣と卵管の早期切除を決断した。手術で摘出した腫瘍は陰性だったが、アンジーは「私は自分と家族のためにこの決意をしました。これで私の子どもたちは『母は卵巣がんで亡くなった』と言わなくて済みます」と、アンジェリーナ・ジョリー・ピットという名で記事を寄せた。

【41歳:離婚】


2015年11月、「WSJイノベーター・アワード」表彰式に夫婦揃って登場。
Photo:Getty Images

ハリウッドを代表するビッグカップルだけに、度々離婚説は囁かれていたものの、2度の辛い手術を家族の強い愛で乗り越え、今年の7月には双子の8歳の誕生日をファミリーレストランで祝ったという報道もあり、危惧に過ぎないと思われた矢先に突如アンジーから発表された離婚申請。アンジーは6人の子どもたちの単独親権とブラピには面会権のみを与える訴えを起こしているが、ブラピは共同親権を求めているという。

そんな中、9月14日(現地時間)に一家がフランスからロサンゼルスへ帰国するプライベートジェット機内で、ブラピが子どもたちを虐待した容疑で捜査されたと、米娯楽サイト「TMZ」などのメディアが報じた。これに対して、真摯に調査に協力しているブラピは子どもたちに怒鳴ったことは認めるが、暴力はふるっていないと疑惑を完全否定していると『ピープル』誌は伝えている。アンジーはジョニー・デップやメル・ギブソンの離婚を担当した女弁護士ローラ・ワッサーを、ブラピはマイケル・ジャクソン、チャーリー・シーンの離婚を担当した弁護士ランス・スピーゲルを雇ったと言われており、親権を巡って泥沼化しそうな世紀の離婚騒動の行方はいかに。これまで都度、自らの強い意志で人生を選択してきたアンジーの今回の決断は吉と出るか凶と出るか。子どもたちにとってベストな結果であってほしい。

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