毎年クリスマスにスピーチを行っている英国のエリザベス女王(94)。2020年の今年は新型コロナウイルスによるパンデミックを振り返り、同日で最も視聴された番組になった。
クリスマスの恒例行事となっている、英国のエリザベス女王(94)のスピーチ。2020年の今年は、新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われた一年を振り返り、人々にエールを送る心温まる言葉を贈った。
2020年は「あらゆる信仰を持つ人たちが、それぞれの祝祭に、思うように集まることができなかった」と冒頭で新型コロナウイルスのパンデミックについて切り出した女王。
しかし、リモートによるコミュニケーションのお陰で、これまで出会うことがなかった人とミーティングをしたり、ソーシャルディスタンスを保ちながら花火を見て楽しんだりすることができた、というポジティブな面にも言及。さらに、この状況下で人々をサポートする医療従事者やボランティアを行う人々を称賛した。
また「この時期は、多くの人々が悲しみに包まれていることと思います。大切な人を失い、感染予防のため、友人や家族に会えず孤独を感じている人もいるでしょう。クリスマスに欲しいものは、抱擁、そして手をぎゅっと握ることだけなのに。もしあなたがそう感じているなら、あなたはひとりではありません。私はあなたのことを考え、祈っています」と、人々を思いやった。
そんなクリスマスのスピーチは、毎年放映後に発表される視聴者数も見所。エリザベス女王のスピーチは、全てのチャンネルで放映されるが、BBC1の視聴者数だけでも、今年は約630万人が視聴したという。
この数字は、同日のBBC1で放映されたドラマ『コール・ザ・ミッドワイフ ~ロンドン助産婦物語』の特別版(約540万人)やクリスマスまでのカウントダウンといった他の特別番組をゆうに突破。全チャンネルを含めると約810万人が視聴し、2020年のクリスマスで一番視聴された番組となった。
4月には、新型コロナウイルスの感染拡大のため、国民に向けた異例のスピーチを行ったエリザベス女王。「私たちが団結すればこの病気に打ち勝つことができます」と国民に結束を呼びかけ、約2,400万人という高視聴者数を記録した。
寂しい思いをしている人々に向けた、エリザベス女王の優しい言葉は、たくさんの人に勇気と希望を与えたはず!
text : Mariko Peeling