真田広之&アンナ・サワイ、エミー賞で快挙! 世界3大映画賞に名を刻んだ日本の12人

2024年9月15日(現地時間)に行われた第76回エミー賞授賞式にて、真田広之(63)がプロデュース兼主演を務めた人気米ドラマ『SHOGUN 将軍』(2024)が、作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、撮影賞、キャスティング賞など、エミー賞史上最多となる18部門を制覇! 日本人が主要部門を制したことや、スタッフを含め9人の日本人が初受賞したという歴史的快挙に、国内外で大盛り上がりを見せた。

昨年の第76回カンヌ国際映画祭では、『PERFECT DAYS』(2023)で主演を務めた役所広司(68)が男優賞を受賞したことが記憶に新しいが、過去のアカデミー賞授賞式、カンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭などで名を刻んだ日本人は数知れず。海外のエンタメシーンで功績を挙げた日本人たちを抜粋してお届け。

【俳優】真田広之(63)『SHOGUN 将軍』

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Photo:Getty Images

プロデューサー兼主演を務めた『SHOGUN 将軍』(2024)がエミー賞史上最多となる18部門を制覇した真田広之(63)。主演男優賞を受賞すると、ステージに上がった真田は英語でスピーチ。

「この場に立てることを誇りに思います。奇跡です。FX、ディズニー、Hulu、ありがとう。クルーとキャストの皆さん、『SHOGUN 将軍』に関わってくれた皆さん、最後まで私を信じてサポートしてくれてありがとう。この作品は東と西が(壁を越えて)出会う夢のプロジェクトでした。とても難しいプロジェクトでしたが、全員が一致団結し、奇跡を作ることができました。そして我々は共により良い未来を作ることができます。本当にありがとう!」

さらに作品賞で『SHOGUN 将軍』が呼ばれるとキャストたちに「一緒にステージに行こう」と手でジェスチャーをしてステージに向かった真田。

スピーチでは日本語に切り替え、「これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は、海を渡り国境を越えました」とコメントし、感動を呼んだ。

【俳優】アンナ・サワイ(32)『SHOGUN 将軍』

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『SHOGUN 将軍』で主演女優賞を受賞したアンナ・サワイ(32)は、2013年にダンス&ボーカルグループFAKYでデビューをするも、2018年にグループを脱退し渡米。『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021)で主要キャストを務めるなど、俳優として活躍している。

名前を呼ばれると涙を拭きながら壇上に向かったアンナ。

「名前が呼ばれる前から泣いていました。テレビジョン・アカデミーの皆様、素晴らしい賞をありがとうございます。すばらしい候補者の皆さん、ありがとうございます。私は皆さんを観て育ちました。(中略)クルーとキャストのひとりひとりの皆さん、そして真田さん、彼は私のような俳優にチャンスを与えてくれました。(中略)今まで支えてくれたお母さんありがとう。あなたのおかげで、私は鞠子(役名)を演じられて、今ここにいます。この受賞はすべての女性のためのものです」と締め括った。

【監督】宮崎駿(83)『千と千尋の神隠し』『君たちはどう生きるか』

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ジブリの創設者で、アニメ界の巨匠として有名な宮崎駿監督(83)は、黒澤明監督(88)と並ぶアカデミー賞受賞歴を誇る。『千と千尋の神隠し』(2001)、『君たちはどう生きるか』(2023)で長編アニメ賞を受賞、2014年には黒澤監督以来となるアカデミー名誉賞を受賞した。

『トイ・ストーリー』シリーズなどを手がけるピクサー・アニメーション・スタジオの元最高クリエイティブ責任者で知られるジョン・ラセター(67)は、「僕は宮崎駿の弟子」と公言していたほど、海外のアニメーション界に多大な影響を与えている。2013年に現役引退の会見を開くも、今なお現役として活躍し続けている。

【俳優】役所広司(68)『PERFECT DAYS』

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Photo:Getty Images

ヴィム・ヴェンダース監督(79)の『PERFECT DAYS』(2023)で第76回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した役所広司(68)。

ヴィム監督といえば、『パリ、テキサス』(1984)でパルム・ドールを受賞しているが、同じくパルム・ドールを獲得した今村昌平監督(享年79)の『うなぎ』(1997)をはじめ、『Shall we ダンス?』(1996)、『バベル』(2006)などの演技を観て役所との仕事を切願していたという。

日本人の男優賞受賞は、是枝裕和監督(62)の『誰も知らない』(2004)で獲った柳楽優弥(34)以来で、19年ぶり2人目の快挙となった。

【ヘア・メイク】カズ・ヒロ(55)『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『スキャンダル』

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左からカズ・ヒロ、ルーシー・シビック、デヴィッド・マリノフスキ、ゲイリー・オールドマン Photo:ED/JL/A.M.P.A.S/Camera Press/アフロ

第90回アカデミー賞授賞式にて、ゲイリー・オールドマン(66)主演の『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2018)でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロ。過去2度のノミネートを経て初受賞に輝いた。

過酷な労働環境のため2012年に映画界を引退するも、ゲイリー直々に「特殊メイクを担当してほしい、君でなければこの役は引き受けない」と懇願された復帰作での受賞となった。ちなみにゲイリーは同作で主演男優賞を受賞している。

その後、シャーリーズ・セロン(49)、ニコール・キッドマン(57)などが出演した『スキャンダル』(2019)でも同賞を受賞した。

【監督】是枝裕和(62)『万引き家族』『怪物』

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Photo:新華社/アフロ

日本の貧困を描いた問題作『万引き家族』(2018)で、今村昌平監督(享年79)の『うなぎ』以来21年ぶりとなるパルム・ドールを獲得した是枝裕和監督(62)。

2023年開催の第76回カンヌ国際映画祭では、『怪物』が脚本賞を受賞した。そして、今年開催された第77回カンヌ国際映画祭では、コンペティション部門の審査員に抜擢。日本人が選ばれるのは、2013年の河瀬直美監督(55)以来11年ぶりで、映画監督としては2人目となった。

【俳優】柳楽優弥(34)『誰も知らない』

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一番右が柳楽 Photo:Getty Images

人生初のオーディションとなった是枝裕和監督(62)の『誰も知らない』(2004)が大ヒットし、国内外で高評価を獲得した柳楽優弥(34)。同作では第57回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。

当時14歳で史上最年少での受賞となり、かつ日本人初という快挙を達成。授賞式は学校を優先したため、代わりに是枝監督がトロフィーを受け取った。

【衣装デザイン】石岡瑛子(享年73)『ドラキュラ』

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プレゼンターを務めたカトリーヌ・ドヌーヴ(80)と Photo:AP/アフロ

石岡瑛子は資生堂でのアートディレクターを経て、1970年に独立。渡米前、フランシス・フォード・コッポラ監督(85)から『地獄の黙示録』(1979)の映画ポスターを依頼されたことを機に、世界で活躍するクリエイターとして海外でも名を刻むことに。

1980年に渡米すると、コッポラ監督の『リップ・ヴァン・ウィンクル』(1987)で美術監督に起用される。その後、コッポラ監督の『ドラキュラ』(1992)で衣装デザインを任されると、第65回アカデミー賞で衣装デザイン賞に輝いた。

活躍の場は映画界に留まらず、ジャズトランペット演奏者マイルス・デイヴィス(享年65)のアルバム『TUTU』(1986)のジャケットデザインを手がけ、第29回グラミー賞も受賞。2008年の北京五輪では、50種目2万着をデザインした。

【作曲】坂本龍一(享年71)『戦場のメリークリスマス』

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左から坂本龍一、デヴィッド・バーン、蘇聡 Photo:Getty Images

デヴィッド・ボウイ(享年69)と共演した『戦場のメリークリスマス』(1983)のテーマ曲『Merry Christmas Mr. Lawrence』(1983)で英国アカデミー賞作曲賞を受賞した坂本龍一。

その4年後、坂本、デヴィッド・バーン(72)、中国人作曲家の蘇聡(スー・ツォン・67)の合作となる『ラストエンペラー』(1987)でアカデミー賞作曲賞を受賞した。

2023年3月に永眠すると、坂本の“最後の演奏”を、息子で映像作家の空音央(33)が記録したドキュメンタリー作品『Ryuichi Sakamoto | Opus』(2023)が第80回ベネチア国際映画祭で上映され、また第96回アカデミー賞授賞式のイン・メモリアルにも登場し、追悼された。

【衣装デザイン】ワダ・エミ(享年84)『乱』

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Photo:ZUMA Press/アフロ

黒澤監督の『乱』(1985)は、監督賞、衣装デザイン賞、撮影賞、美術賞がノミネートされていたが、衣装デザイン賞のワダ・エミのみ受賞。主役からエキストラまで、1400着すべての衣装デザインを手がけたという。

当時はまだ衣装デザインとしての経験は浅かったものの、黒澤監督がシェイクスピアの『リア王』(1606)を題材にした新作映画の撮影準備をしていると話を聞きつけると、監督自らにアイデアを提出。そこからの大抜擢となった。

アカデミー賞ではプレゼンターを務めたオードリー・ヘプバーン(享年63)からオスカー像を授与された。

【監督】黒澤明(享年88)『羅生門』『デルス・ウザーラ』

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第62回アカデミー賞授賞式にて、プレゼンターを務めたジョージ・ルーカス監督(80)、スティーヴン・スピルバーグ監督(77)と Photo:Getty Images

海外の賞レースでいち早くその才能が認められ、日本のエンタメ界を牽引してきた黒澤明監督(享年88)。

第24回アカデミー賞では『羅生門』(1950)、第48回アカデミー賞では『デルス・ウザーラ』(1975)が、ぞれぞれ国際長編映画賞(当時は名誉賞、外国語映画賞)に輝いた。1990年には長年の功績に対して、アカデミー名誉賞を受賞。

さらに、第12回ベネチア国際映画祭で『羅生門』が金獅子賞を、第15回ベネチア国際映画祭で『七人の侍』(1954)が銀獅子賞を、第33回カンヌ国際映画祭では『影武者』(1980)がパルム・ドール賞受賞も果たしている。

華やかな受賞歴に反して、『トラ・トラ・トラ!』(1970)の製作中に米映画会社から解任され、再起をかけた『どですかでん』(1970)が酷評されるなど、キャリアが低迷した時代もあった。

【俳優】ナンシー梅木(享年78)『サヨナラ』

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プレゼンターを務めたアンソニー・クイン(享年86)と Photo:Getty Images

ナンシー梅木は、北海道小樽市生まれのジャズシンガー兼俳優。1948年に上京し、日本のジャズギターの父と呼ばれた角田孝(享年93)の専属ヴォーカリストとして活動する。26歳で渡米し、28歳のときに米兵と恋に落ちる女性を演じた『サヨナラ』(1957)でハリウッドデビューを果たすと、その年の第30回アカデミー賞で助演女優賞を受賞。

主要部門での日本人初受賞という功績は今も塗り替えられていない。