祝・敬老の日! ということで、名作の韓国ドラマに欠かせない“祖父(ハラボジ)役&祖母(ハルモニ)役”といえば、誰を思い浮かべますか? 優しいハラボジから大企業の悪徳会長まで幅広い役柄をこなし、今年芸能活動65周年を迎えたイ・スンジェ(86)や、映画『ミナリ』で韓国俳優史上初のオスカーに輝いたユン・ヨジョン(74)、『ナビレラ−それでも蝶は舞う−』でシニアバレエダンサー役に挑戦したパク・イナン(76)など、良作に不可欠なシニアスター俳優をご紹介。彼らを知れば、もっと韓国ドラマ鑑賞が楽しくなる!
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キム・ヨンオク(83)/THE・韓ドラのハルモニ!
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現在Netflixで配信中の最新作『海街チャチャチャ』にも出演しており、良作に必ず出演していると言っても過言ではない。本作には大御所のヨンオクをはじめ、日本でも馴染み深いシン・ミナ(37)と、現在ブレイク真っ只中のキム・ソノ(35)の2人が主演として出演。さらに脇を固めた俳優陣がこれまた演技力に定評がある上に、脚本・演出も視聴者から大好評と、いま最もアツいドラマ。そんなベテラン俳優ヨンオクのキャリアというと、実はアナウンサー出身の声優。MBCが開局された後に移籍し、しばらく声優・女優の2本柱で活動するなど、まさに国民的なスター。『砂時計』の母役から始まり、『タルジャの春』の祖母、『花より男子〜Boys Over Flowers』の使用人役、『ショッピング王ルイ』の祖母役などで、日本の韓ドラマニアの心も鷲掴みに!
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パク・イナン(76)/若手注目俳優ソン・ガンとのケミストリーも注目
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演劇出身で、テレビデビューは1970年放送の『壬辰の乱』。その後ドラマ『ワンルン一家』で一気にブレイクしたイナン。そんなイナンの57年に及ぶ俳優人生のなかで、2021年は特別な1年に。というのも初主演作にしてシニアバレエダンサーという難しい役どころを見事演じ切った『ナビレラ −それでも蝶は舞う−』が配信され、大きな話題に。ブレイク俳優ソン・ガン(27)とのケミストリーも注目され、今後の活躍を益々期待してしまうシニアスター!
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ナ・ムニ(79)/今年はベテラン俳優イナンと夫婦役でドラマに出演
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ムニもMBC声優公採1期に選ばれ、長く声優として活動してきたひとり。ドラマが制作されるようになった1960年代後半から女優としても活躍し、1995年放送のドラマ『風が吹いても』の祖母役で大ブレイク。名作『私の名前はキム・サムスン』をはじめ、多くのスター俳優を世に送り出した『思いっきりハイキック!』や、『ディア・マイ・フレンズ』、そして今年にはイナンと夫婦役で出演した『ナビレラ −それでも蝶は舞う−』まで、まさに名作の韓ドラに欠かせない人物!
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ノ・ジュヒョン(75)/二枚目キャラクターから、奇妙な祖父まで
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若手時代は映画に多く出演し、いわゆるエリートなどの“二枚目”役が多かったジュヒョンだけれど、近年はユーモラスたっぷりな父、祖父の演技が話題。ドラマ『怪しい三兄弟』で演じたお茶目な父役や、圧倒的な人気を博した『結婚作詞 離婚作曲』の会長兼ハラボジ役も注目。幽霊となってなお復讐を望むハラボジ……かと思いきや、裸体でプールに入り、それを堪能する姿を見せるなど、視聴者が驚くようなユニークな設定も、ジュヒョンの演技力故に不思議と笑えてしまう!
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イェ・スジョン(66)/主演映画『69歳』で見せた圧巻の演技力
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今年配信された『Mine』では、大財閥ヒョウォン家で起こった殺人事件の発見者であり、一族の秘密を知る唯一の人物でもあるシスター・エマを演じたスジョン。『今週、妻が浮気します』『刑務所のルールブック』『SUITS/スーツ〜運命の選択〜』など数々のドラマで母親役、祖母役として安定した演技力を披露。2019年釜山国際映画祭で観客賞を受賞し、高齢女性への性的暴行事件を基に人間の尊厳を描いた主演映画『69歳』が大反響! 主演としての存在感はもちろん、脇役としての空気感まで自在にコントロールする、唯一無二のシニア女優。
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パク・クニョン(81)/存在感まで自由自在のカメレオン俳優
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最新作はイ・ジェフン(37)主演の『模範タクシー』。のちに宿敵となる闇金業界のゴッドマザー、ペク・ソンミ(チャ・ジヨン 39)の夫役として出演していたクニョン。過去には名作ドラマ『砂の城』でキム・へジャ(80)演じるチャン・ヒョンジュの夫役として出演し、一気に注目を浴びた。憎たらしい父、祖父役が多いものの、韓国の旅行リアリティ番組『花よりおじいさん』で見せる愛妻家な姿に、心がほっと癒される。素の優しさ溢れるクニョンを忘れそうになるくらい、圧倒的な演技力で物語を牽引するカメレオン俳優。
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パク・ウォンスク(72)/どんな役でもこなすマルチプレイヤー
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2019年にはなんと、映画『パラサイト 半地下の家族』でお馴染みパク・ソダム(30)と親戚関係であることも明らかになったウォンスク。大人気ドラマ『コーヒープリンス1号店』では主人公ウンチャン(ユン・ウネ 36)の母役として親しまれ、『百年の遺産』では意地悪な姑役を演じるなど、一般庶民から大企業の会長役までこなすカメレオン女優。実は私生活において、2003年に最愛の息子を事故で亡くすという悲しい過去も。しばらく鬱状態が続いたものの女優として復帰し、今もなお一線で活躍している。今年は『Mine』で感情の起伏が激しいヒョウォングループ会長の妻役を演じたことでも話題に!
ユン・ジュサン(72)/主演ドラマ『オーケー、グァン姉妹』が話題に
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現在韓国で放送中の長編ドラマ『オーケー、グァン姉妹』において、デビュー50周年で初となる主演に抜擢されたジュサン。離婚協議中に起きた妻殺害事件により、3人の娘含め家族全員がいきなり容疑者に! ミステリー、ラブコメ、ヒューマンとジャンルの垣根を越える脚本に、視聴者からの反響も大きい人気のドラマ。その他過去作品は『IRIS–アイリス–』『君の声が聞こえる』『華麗なる2人』など良作において、名脇役としての実力を発揮。
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イ・ヒョチュン(71)/王道のヒロインから、姑息な母役まで
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1974年放送のKBSドラマ『波』でデビューしたのち、王道のヒロイン役で数々の作品に出演したヒョチュン。ドンファンとは『冬のソナタ』にて夫婦役で共演し、ドンファン同様に本作で日本での知名度も急激にアップ! 『ヨンジェの全盛時代』『怪しい三兄弟』『あなただけが私の愛』など名作に次々と出演し、今年にはすでにシーズン3の配信が望まれている『結婚作詞 離婚作曲』まで。サ・ピヨン(パク・チュミ 48)の母役として、病気に侵されながら娘との和解を心から願う、切ない母の姿を披露。
チョン・ドンファン(72)/空白の時を経て、現在も一線で活躍中
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波瀾万丈な人生を過ごしながら演劇の世界で育ち、今日テレビドラマにも多く出演しているのがドンファン。日本では『冬のソナタ』のサンヒョク(パク・ヨンハ 享年32)の父役として一躍有名に。2019年に放送されたIU(28)主演のドラマ『ホテルデルーナ〜月明かりの恋人』では、IUと親子役で親しまれた『最高です!スンシンちゃん』以来6年振りに再共演! 共演してからずっとIUはドンファンの舞台を欠かさずに観に行ったり、年末年始に贈り物をし合ったりと長く親交を深め、ドンファンはIUとの共演とあって、台本を読むことなくドラマの出演を決めたそう!
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ユン・ヨジョン(74)/『ミナリ』で韓国俳優史上初のオスカーを獲得!
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今年4月、映画『ミナリ』で助演女優賞に輝き、世界中にビッグサプライズニュースを届けてくれたヨジョン。アジア系俳優がオスカーを手にするのは実に63年ぶり。農業で成功することを夢見る韓国系移民家族の物語で、ヨジョン演じる、毒舌で破天荒な祖母スンジャの演技が大好評。韓ドラマニアはご存じであろう『愛の群青』『がんばれ!クムスン』『棚ぼたのあなた』など、圧倒的な韓ドラ界の母&祖母役として有名。スンジェ同様に若手たちから、ソンセンニムと呼ばれ親しまれている。
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ハン・ジニ(72)/デビュー当時から変わらぬ佇まい
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2020年に配信されたドラマ『青春の記録』では、パク・ボゴム(28)演じるサ・ヘジュンの祖父役として愛されたジニ。芸能界で成功するために奮闘する孫を心から応援しながら、自身もシニアモデルとして活動するなど、劇中でも微笑ましい姿を見せてくれた。デビュー当時からその美貌を生かした厳格な父や会長役が多く、ドラマ『清潭洞<チョンダムドン>アリス』や『ナイショの恋していいですか!?』を通して、日本でも知名度がアップ。
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ソン・スク(77)/若手からの信頼も厚い演技派
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1968年にデビューして以来多くの良作に出演し、近年では『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん』や『まぶしくて –私たちの輝く時間–』など、日本でも人気のある作品でお馴染みのスク。2020年放送のドラマ『産後ケアセンター』では、オム・ジウォン(43)演じるヒョンジンの母役で出演。初孫に喜びながらも、誰よりも産後のヒョンジンを心配し、大切に思う姿を劇中で披露。
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チャン・ハンソン(74)/元祖“名脇役”として物語を牽引
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ハンソンは1970年にデビューして以来、味のある脇役として今日まで一目置かれる俳優。日本の韓流ブームの火付け役となったドラマ『冬のソナタ』では、現場監督役で出演! さらに2014年に放送されたドラマ『傲慢と偏見』で演じたベテラン検察捜査官の演技が話題となり、ミレニアルからZ世代まで、幅広い世代で知られる存在に。今見るとチェ・ジニョク(35)やペク・ジニ(31)、チェ・ウシク(31)などキャスト陣が豪華!
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キム・ヘジャ(80)/独特なオーラと圧倒的な演技力
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日本ではドラマ『宮〜Love in Palace』で演じた、皇太子シン(チュ・ジフン 39)の祖母役のイメージが大きいのでは? 演劇の世界で活躍しながらテレビドラマにも度々出演し、存在感を示してきたへジャ。1980年から放送されたドラマ『田園日記』の演技が大好評となり、「国民の母」と親しまれるように。その後様々な作品で名を馳せながら、2019年には主演ドラマ『まぶしくて −私たちの輝く時間−』がまたしても大好評に。次なる出演作の情報が待ち遠しい!
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ピョン・ヒボン(79)/深みのある俳優として、作品のスパイスに
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イ・スンギ(34)とシン・ミナ主演のドラマ『僕の彼女は九尾狐<クミホ>』で、頑固だけれど孫の幸せを切に願う祖父役として、日本での知名度も急上昇。実はヒボンのキャリアも、ヨンオク同様に声優からスタート。70年代には“奇抜な役柄専門の個性派”と呼ばれ、映画『グエムル–漢江の怪物–』や『Okja/オクジャ』など、ポン・ジュノ作品にも多く出演している実力派。
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パン・ヒョジョン(78)/日本では『華麗なる遺産』で大ブレイク
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デビュー当時からジャンル問わずに様々な作品に出演しており、年齢をまったく感じさせないパワーと演技力に定評があるヒョジョン。日本では第二次韓流ブームを巻き起こすカンフル剤になったハン・ヒョジュ(34)とイ・スンギのドラマ『華麗なる遺産』の祖母役としてもお馴染み。ちなみにヒボンとはドラマ『家族を守れ』で夫婦役で共演している。近年は『ハイバイ、ママ!』『霊魂修繕工』、今年は『オーケー、グァン姉妹』『赤い靴』など、コンスタントにドラマに出演中。
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イ・スンジェ(86)/芸能活動65周年を迎えた大御所
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韓ドラ好きならば言わずと知れた名俳優で、ソン・スンホン(44)をはじめ多くの俳優たちから「ソンセンニム(先生)」と呼ばれ親しまれているスンジェ。1956年『私も人間になろうとしているか』でデビューを果たし、時代劇『イ・サン』で日本でも大ブレイク。下の写真はドラマ『リーガル・ハイ』のときのもので、主演チン・グ(41)とソ・ウンス(27)に囲まれた微笑ましいショット。現在もドラマや映画に引っ張りだこで、今年10月末からはスンジェの芸能活動65周年と母校ソウル大学の演劇部が中心となる劇団・歓楽劇会の10周年を記念し、共同主催による演劇『リア王』が上映開始に! 86歳になった今もバリバリ現役で活躍する姿に、勇気と感動を貰える。
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