[vol.36] 男の立ち位置は、セレブだってスーツに出る! 『ダンケルク』プレミアに集合した英国俳優のスーツ三人三様

9月9日に日本公開される話題作『ダンケルク』(クリストファー・ノーラン監督)のワールドプレミアが、ヘンリー王子を招いてロンドンのオデオンシネマで開催された。レッドカーペットには出演スターが勢揃い。特に注目されたのは、本作に俳優として出演したハリー・スタイルズだった。彼もこの日はスーツスタイルだったが、よく見ると同じように見えるダークスーツでも全員がどこか個性を持たせていて、彼らの立ち位置が見えるようで面白い。

まずは23歳のハリー・スタイルズ。体にフィットしたダブルのスーツなのにノーネクタイというラフさとフォーマルさの折衷路線。ポップスターらしく、もうひとつシャツのボタンを外したいところだろうが、胸元は軽めにはだけてネックレスはチラ見せするも胸のタトゥーは封印。もうひとりのロイヤルなハリー(王子)に対する配慮なのか、全体的にハリーにしてはおとなしめ。だが、そこは1Dいちの人気者、これでもかというほどに付けた指のリングと、金色のステッチが入ったエッジーな茶色のブーツでオサレさをアピールしていた。ライオンヘアも復活の兆しを見せて、行く手は明るい。

次にノーラン監督のお気に入りで、この日のスーツスタイルが誰よりもリキが入っていたトム・ハーディ39歳。アクションものもバキバキにこなす肉体派なイメージが強くて、イギリス人だというのを忘れがち。三つ揃いのスーツのベストがパンパンなのがちと辛い。もっと辛いのは、スーツの柄のみならず、ネクタイ、シャツ、ポケットチーフ、すべてに柄が入っとる! クドい、クド過ぎる! その着こなしは、彼のアクションに似て、熱さのてんこ盛りだ。キリアン・マーフィー41歳は、さらりと大人の男のスーツの着こなしを見せて清々しい。しかし、視線を彼の頭上に向けたらびっくり。きれい目なスーツに不釣り合いなユニークヘアはどうしたことか。サイドの刈上げに乗っかったようなこんもりとしたヘアは、まるでヅラのよう。ただのきれいな役者じゃないんだぜ、とでもいいたげな過激ヘアに個性が見てとれる。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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